第00話-3「じゃぁ何をしてろってんだ?」まるで「ぶーたれた」ような顔でロディは面倒そうにつぶやいた ネスはすたすたと歩き、出入り口近くのポットに手をかけた ティーポットに紅茶の葉を入れ、静かに湯を注いでからため息混じりに言う 「経営難なの分かってるんでしょう?・・内職でも大道芸でもなんでもやって、少しは稼いでくださいよぅ!」 「何で俺がそんな事しなくちゃならねーんだよ?」 するとネスの顔・・モニター表示された表情が怒りマークとつり上がった目のものに変わった 「原因作ったのがあなただからですよっっ!!!!!」 「・・この前の間違って「駅一つ爆破しちまった」一件か?」 「・・いいえ、「暴走特急を止めようとして面倒だから爆破した」一件とか「テロリスト撃滅のつもりが勢い余って自分が潰した」一件とか・・・・っと!」 ネスは手にした紅茶がこぼれそうになったので少し慌てた 「とにかく!あなたが暴走して全ての被害を生んでいるんですからね!?わかってます!?いや、わかってるならもうどーにかしてる!わかってな・・・・」 がちゃ・・ 再び吼えかけたネスの後ろで、ドアノブが静かに回った、そして・・ ずどがっ!!!!!! 「うぉぶぅぅっっ!?」 どんがらがっしゃーん!!・・と転がるネス 彼を勢いよく吹き飛ばしたドアは、開ききる所、もう外れんばかりのトコまで行ってしまった。 ロディも驚きのあまり目を丸くする 「おっはよー♪」 そこへあっけらかーんとした笑顔で、一人の少女が飛び込んできた 黄色い大きなリボンに緑の長い髪、ラフスタイルらしく青いロングシャツとスパッツを着ている 女の子らしからぬラフな服装、声のトーンからしてもかなり元気なお子様のようだ 「はれ、ネス?・・そこで寝ちゃダメだよぉ?」 少女はつかつかと歩き、ネスの前でしゃがみこんだ 「おーい、どーしたのー?・・朝ゴハン作ってよー?」 「・・バカ、昼メシだぞ」 ロディが突っ込む。 しかし、自分がネスを吹き飛ばした事にも今が昼だという事にも気付かない少女 「ふぇ?・・あ、ホントだ・・ボク、お昼まで寝てたんだ・・(苦笑)」 少女は舌を出して笑う 「で・・メイ、いつもネスに言われてる事忘れてるだろ」 「ふぇ?」 少女・・「メイナード=リィオン」は「何のこと?」と言った様子 そう・・「メイ」はいつもこういう反応をするのだった 「ドアは静かに開けろ」・・って!やっぱ忘れてんじゃねーか!!」 「あう」 あいたたた・・という感じでバツの悪そうな苦笑い 「そ、それはともかく・・なんでネスは寝てるの?」 ロディはぷつん、という音を聞いた気がした ・・自分の堪忍袋の緒が切れた音だ ごんっ!!! 「い・・いったぁぁいっっ!!!!」 「おめーがドア開けた時にぶち当たったからに決まってンだろーがっ!!理屈くらい理解しろ大ボケ娘っ!!」 「ふぇ~・・(泣)」 目から涙をぼろぼろこぼし、ロディに叩かれた頭をさするメイ 普段からロディは彼女に手加減というものをしていないのである 「ひどいよ~・・何でいつも叩くのぉ~?」 「口で言ってもわからないなら、身体に分からせるしかねぇだろーが」 ロディは再び椅子に座り直すと、ほおづえをつきながらネスに目を落とす 「ったく~・・・・ネスよ、お前ももう少し注意しろ・・こいつに」 ネスの目・・モニターはノイズが走ったような状態になっていた 「ええ・・ですがメイ様も悪気があるわけでは・・」 ようやくネスの目が元に戻り、両手をついて彼が起きあがる ・・その間にメイは涙を手でぬぐっている ロディは再びぼーっとした表情を浮かべてぼやいた 「・・考えてみれば・・バカ騒ぎができる程暇だよな、俺ら」 「ええ・・我々の仕事は確実ですよ、だけど、最近依頼数が落ちる一方で・・」 「ロディがいつも物壊すからだよね?」 先を読んだかのような言葉に、ロディはずるり、と頭を机に落とした 「て、てめー・・」 「だってネス、いつもそー言ってるモン」 ロディはメイをもう一度殴るくらいのつもりだったが、はっとして握った拳をほどいた ・・そうそう、こうして怒っていてもそういいことはないンだっけ・・ それこそ彼の学習した数少ない教訓の一つだった 「そーだな・・ネス、全員呼んでこい」 「呼ぶ・・?」 「だから、ここに集めればいいんだ」 ロディがいきなり集合をかけたので、ネスはいささか疑問を覚えた 別に仕事に出かけるというでもないのに、何故皆を集める必要性が・・?? しかし、ネスはその答えに反論した 「シュウ様は今地下室にこもりっきりですし、シード君とセラ様はパン屋に行ってるんです。ましてサクラ様は今日本にいらっしゃいますしぃ・・・」 ロディ、メイ、ネス以外には社員は以上の四人いる 一人は「シュウ」・・「滝村 修」。 発明家を自称する腕利きのメカニックで、よく地下室にこもっては妙な発明に精を出している 一人は「サクラ」・・「滝村 さくら」。 名字の通りシュウの姉で、ユニオンの非常勤社員である 普段は日本・・京都のとある大学で講師をしながらそこの研究室に居候している そして・・ 「ただいま、お兄ちゃん」 「おっはよーさん、よーやっと起きたかぁ?」 今事務所のドアを開けて入ってきた二人・・正しくは一人と一匹が残りの社員である ・次ページ ・選択に戻る |