第04話-2

大会当日・・スタート地点へ向かうブレードバッシャーのブリッジ・・・


「あのジジイ・・何が目的だ?」

「は?・・・目的・・と言うと?」


ロディは艦長席で腕組みをしながら、少し真面目な顔でつぶやいた

別に誰に言うでもないので、ネスの質問には答えない


・・賞金目当てか、それとも俺たちに賭けて一気に儲けるつもりか・・・


「・・ま、高額もらえるってんだからそんなんどーでもいいな♪」

「・・だから、何を独り言・・」


ブリッジは二人の声しか聞こえなかった(ネスはもちろん別室であり、通信による会話であるが)

メイだけでなくセラもお疲れの様子でお休み状態

シュウはバイザーを下げてなにやらネットワーク作業に没頭中

サクラは・・今回サボり(笑)

ガンマは一応いるのだが、今し方素振りをしに出て行ってしまった。


「おいシュウ、ワームドライブのタイミングじゃないのか?」


・・気が付いたロディは、ジト目でシュウを睨む・・

・・しかし、シュウは全く反応しない


「・・・聞け。」


無言で近づき、ぱこんと一発叩く

シュウは頭をさすりながら、くる・・と振り返り


「あ・・おはようございます、ロディさん・・・」

「・・・寝てたのか、お前は」


しかも寝ながら構築していたネットワークが完成寸前・・どこにもミスのない状態

・・すごいんだかすごくないんだか・・


「・・まぁいい、とにかくワームドライブ・スタンバイ。」

「あいあい。」


寝ぼけ眼だがしっかり手が動くシュウ


「目標・前方一直線方向・・前部レール展開終了後、主砲「メイオウ」発射態勢へ

「この大寝ボケめっ!!」


どがすっ!・・とレイノスの台尻が直撃し・・シュウは再び頭をさする(普通は気絶します。)


「あ・・おはようございます、ロディさん・・・」

「・・さっきと同じリアクションはいいからとっととワームドライブ・スタンバイ!!」

「了解です~・・・」


・・今度こそ、ブレードバッシャーは目的地へ向かってワームドライブに突入できた。


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会場・・まずはスタート地点となる衛星港「ドライセン」に多くの艦船が集合した

多くというのは並の「多い」ではない

数百から数千もの数の艦船が集合し・・衛星港は恐らく、設立以来の賑わいに包まれる


・・参加者達はロビーに集められ、かなりの人数でごった返す


「集まりましたねー!皆様ぁ~!!」


こういう時はお約束なのか、どーかは知らないが・・

なぜか司会者は決まって死ぬほどハイテンションな輩だ。

そのハイテンションな司会者・・ばーんと派手な服を着た女は、やはりマイクに向かって叫びまくっていた


「ニューヨークへ!行き・・・」


何世紀前か分からないようなバカネタ・・・司会者は叫ぶ直前で周囲から飛んできた「物」に叩きのめされた


「・・し、しつれいしましたぁ・・・(汗)改めて私、司会のアリシア=プリスと申します~」


目から涙を流しながらも顔は笑っている


「わかりやすく愛称で、アリスちゃんって呼んでくださいね~♪」


そのアリスに向けられる視線は・・冷め切っていた。

いいからとっとと始めろ、という囁き、いい年してよくそんな格好してられるねぇ・・という囁き

色々な軽蔑の声が聞こえてきて、今度こそ彼女の顔が完全に泣き顔になる


「あう・・・あうううう・・・」

・・そんなこんなでレース実行委員会が開会宣言をし、レースの説明が始まった


「・・なんなんだよ、さっきから妙なスタッフ多いな・・このレースは(汗)」


ロディはあからさまに「司会者」の事を言って、苦笑した


レースの参加条件はギアに搭乗していること、他には参加資格は限定されていない

レース中にやってはいけない事は、基本的に相手選手を「殺害」すること

他には何をしても構わない、まさに何でもありのチキチキマシン猛レース状態!!(うわ)


「・・何をしてもいいんだな?」


ニヤ・・・とロディの口元がつり上がる

となりにいたメイはその顔を見て・・


「・・ロディ、顔怖いよ~・・(泣)」

「・・・・何をしてもいい・・これ以上ない言葉だねぇ・・くくく・・」


すでに悪役面のロディを見て、周囲の参加者の数人がぎょっとした顔になる

・・危ない人を見た時の、避けるようなまなざし・・


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「まもなくレースが始まります、参加者はスタートラインに・・」


参加者は色々・・ユニオンの場合は三人がエントリーした

ロディ、メイ・・それからガンマである


デストロイなんて大型を出して大丈夫なのか、という問いもあるだろうが・・

大丈夫なのだ、周囲にはもっと大きな戦艦級のギアすらもいる(200メートル強)


「準備はいーですねぇー!?・・5・・4・・・3・・・・2・・・1・・・・・」


司会者アリスのカウントが、ゼロに到達する

途端に聞こえてくる、シグナルの低い音・・・


そのシグナル・・レース開始の合図は一瞬・・・

しかし、その一瞬にロディはまず一つ目の行動を起こしていた


オプションのついたゼファーの両腕が、二色の光を放つ・・!!


「氷・嵐・焼・尽・弾ぁぁぁぁん!!!」


氷嵐焼尽弾・・・

古くは烈光の技に由来するという氷と炎の混合奥義


二色の光は一つになり、ゼファーの周囲360度・・いや、四方八方あらゆる方向に拡散していく!

氷の塊がギアを砕き、炎がそれらをまるごと溶かし・・・


スタートした直後に、早速半数以上のギアがリタイアに追い込まれた。


「大丈夫ですか、ご主人?」

「ふぇぇぇ・・ロディが怖いよ~(泣)」


デストロイに抱えられていたおかげで難を逃れたドーマ

しかし・・メイは勝負への執念に取り付かれたロディに怯えてしまっていた


「全員・・蹴落としてくれよう・・くっくっく・・・・」


ロディはそれこそ悪の帝王・・いや、シスの暗黒卿も飛んで逃げ出しそうな企みを抱いていた

久しぶりにレースなどという勝負の場に出たのが間違いだったのか・・

それとも何でもあり・・バーリ・トゥードのルールがまずかったのか・・・


いずれにせよ参加者達はレースのラストまで、この男の行動に恐怖する事になる・・・!

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