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こんにちは。
前回の続き。 我国の原子力発電所の稼働率が振るわない理由のうち、定期検査に関わるものは前回述べました。 今回は定期検査以外の停止、つまり「計画外停止」について述べたいと思います。 計画外停止は定期検査(定検周期、過剰な点検、安全系の点検)ほどは稼働率への影響は大きくありませんが、稼働率向上を目指すのであれば、改善の余地のある部分です。 我が国の原発の稼動率が低い理由その3、「軽微な事象でいちいち止める」。 実は、我国の原子力発電所の計画外停止の「回数」の少なさは、世界トップクラスです。 緊急性の高い「スクラム」は、我国では発生しただけでマスコミや反対派は大騒ぎしますが、実は海外ではもっと頻繁に発生しています。 それでも、海外のメディアは日本ほど騒いだりはしていません。裏返して言えば、それだけ我国ではスクラム回数が少ない、という事なのです。(ちなみに、日本のメディアはスクラムを「緊急停止」と表現することが多く、またカルト反原発の人は「スクラム=危険」と言う表現を好みますが、スクラム信号は複数ある安全装置の一部が働いて発生するものですから、必ずしも「スクラム=危険」という訳ではありません。) このスクラムを含め、我国の発電所の計画外停止の頻度は世界的にも非常に低いものとなっています。 しかも、JNESの「原子力施設運転管理年報」等の公表資料を基によく調べてみると、その「計画外停止」の中に、「安全には問題がないが念のために止める」ケースが相当数含まれていることが解ります。 この「安全には問題がないが念のために止める」ケースで多いのが、沸騰水型の原子炉再循環ポンプの軸シール(メカニカルシール)の機能劣化です。 沸騰水型軽水炉の原子炉再循環ポンプは、原子炉内の水の流量を調節することで、蒸気の発生量、つまり原子炉出力を調節するものです。 このポンプには、回転軸とポンプ本体のケーシングとの間(グランド部)からの原子炉水の漏洩を抑えるため、外部から高圧水を注入すると共に、ラビリンス構造を持つメカニカルシールが使用されています。 高温・高圧のハードな環境で使用されるため、この部分は漏洩のリスクを抑えるために2段構造になっており、温度や圧力は中央制御室等で常時監視されています。また、漏洩があった場合には外に漏らさずに小口径配管を通って排出されます。 ポンプ点検時には必ず交換される部品であり、いわば「消耗品」に近い扱いとなっています。 2段構造の片側が劣化してももう1段同じ構造のシールががあるため、外部への漏れも、安全への影響も全くありません。 しかしながら、沸騰水型の原子炉を持つ我国の電気事業者は、1段目の機能劣化の兆候が圧力変動等の形で目に見える状況となった場合に、「念のため」と称して止めることが多々あります。 各発電所ではこの様な場合に備えて予備品を持っているため、交換には大した日数はかかりませんが、それでも1週間位は運転を停止することになります。 同様に、「念のため」に止めるケースが多いのが、燃料集合体からの漏洩の疑われる冷却水の放射能の変動です。 九州電力の玄海発電所では技術的な事を全く知らない一部の反対派(苦笑)の方が大騒ぎしていた様ですが、これについてはまた今度。 (続く) ちょっとこれから池袋まで行かなければなりませんので、今日はここまでにさせていただきます。(長男の絵が全日本学生美術展で佳作になり、飾られているとのことなので) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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