民主主義のための科学理解
こんばんは。またまた、東京大学 科学技術と社会安全の関係を考える市民講座2009 第五回「科学技術と教育を考える」・・・に関連した話です。 国立教育政策研究所総括研究官の小倉康氏から、「科学技術はなぜ理科から消えたのか」とのタイトルで、理科教育の中身の変化,子供達の学力,(理科の必要性に関する)意識等に関する話があったのは、前回・前々回で紹介した通りであります。 「科学教育・科学リテラシー」は今、最も個人的に興味のあるテーマ。 しかしながら、いつまでもこの市民講座の話題で引っ張るのもなんですので、今回でとりあえず一区切りつけます。 今回紹介したいのは、同講座の中で紹介のあった、Robin Millar 氏による、"Towards a science curriculum for public understanding"(School Science Review, Vol.77(280), pp.6-18)です。「人々の科学への理解が必要な理由」●経済的理由- 国の富と人々の科学の理解とが関連する。●実用的理由- テクノロジーの進んだ社会では、科学の理解が実用上有益である。●民主主義的理由- 科学の理解は、科学に関わる諸問題についての意志決定に参加するために必要である。●社会的理由- 科学の理解は、科学以外の文化と科学の関係を密接にし、科学が社会から支持されるために重要である。●文化的理由- 科学は今日の文明の主たる成果であって、すべての若者がそれを理解し価値を認められるようにすべきである。 なかなか良いことが書かれていると思いました。 とくに「民主主義的理由」は、技術立国である我国の方向性を決める上で非常に重要だと思います。 国民や政治家の理解が不足したままで投票や政策決定が行われると、後々無駄な社会的コストが発生してしまいます。 さらにそればかりではなく、結果的に我が国の国力低下に結びついてしまうのではないかと懸念しています。 間違っても、科学や技術について全く知識のない一部の政治家によって、コンピュータ開発やすばる望遠鏡、Spring8、その他の各種基礎研究、小中学校の理科支援員の予算が削られる・・・などという馬鹿げたことはあってはならないことでしょう。 ところで、検索していたらこんなのが見つかりました。 科博の有識者会議の作成した報告書です。「科学リテラシー涵養活動」を創る ~世代に応じたプログラム開発のために~(中間報告)http://www.kahaku.go.jp/learning/researcher/pdf/literacy.pdf