小野田坂道は千葉県の総北高校の1年生。毎週ママチャリで秋葉原に通うアニメが大好きな気弱な少年が仲間と出会い自転車競技部に入部。試練を乗り越え才能を開花させていく......原作、渡辺航の自転車ロードレース漫画の第2期。
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第1話~第14話あらすじまとめ
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弱虫ペダル 全話あらすじまとめ」
弱虫ペダル GRANDE ROAD ~グランロード~
第15話 「鳴子!真骨頂!」
スプリンターの鳴子が上りで前に出て引いている。今泉は、どうなってるんだと驚く。「もらったチャンスは生かさせてもらいますわ金城さん。わいが浪速の赤い弾丸、天才ロケッター、鳴子章吉や」沿道に応援に集まった人々が湧く。スプリントに特化した男がスプリントクライム。1年生レースで失速した峰ヶ山の上りを克服しようと練習していたのは今泉も隠れて見ていて知っていたが違うと思った。
上れるようになるのと速く上れるようになるのとは違う。あいつは今、このインターハイのラストステージの上りを速く上っている。あいつ、面白いっしょと巻島。小野田とは違う意味で目が離せないと言うと坂道は、ほんと凄いですね、何か美味しいものでも食べたんですかねと言った。
あいつにとっちゃご馳走だろうよ、この状況が。箱学に追いつけよと沿道から手が伸びる。危ないと思った瞬間、鳴子はハイタッチをしていた。「おおきに」と観客とハイタッチしながら進む鳴子。カメラを構える人にもカメラ目線でポーズ。沿道が湧く。「自転車乗りは目立ってなんぼ、派手に生きんとおもろない。湧け、それが全部、力になる」
声援が胸に響いてこみ上げて来る力を坂道は感じた。そいつが俺が言った状況だと巻島。インハイ3日目は最後の優勝争いを見ようと前の二日間とは比べ物にならない程の人が集まる。けどただ走っているだけでは客は応援しない。変なやつ、頑張ってるやつ、目立つやつ、そういうのに目と声が集まる。バカが付くほど派手好きの鳴子に今の状況はピッタリだと今泉も思った。
「名付けて、ビックリ、ドッキリ、鳴子必殺、デーハーどやどやクライム」沿道から総北に、鳴子に声援が飛ぶ。後方で並走する田所と新開も鳴子の話をしていた。単に派手好きでお調子者と思ったら驚くぜと田所。あの赤い豆つぶはおそらくこの上りでもう一段速くなる。
観客を巻き込み派手に進む鳴子。お祭りみたいだねと坂道。今泉は大丈夫なのかと心配していた。鳴子はスプリンター、勢いだけの全開クライムは長く持たない。失速するのではないか。ダンシングで酷使している足をサドルに腰をおろして休めた時が最後だ。疲れが見えた鳴子に坂道が呼びかける。すると鳴子は振り向いて、そのセリフを待っていたと言った。
今泉に派手好きの意味がわかってないなと鳴子。「ここってとこまで取っておくのが一番派手。ヒーローの必殺技はみんながピンチのときに出すもんや」鳴子がサドルの先端に腰をずらして腕を曲げた。「行くで、これが派手っちゅうもんや、そうでしょ、おっさん(田所)」
インターハイメンバーに選ばれた鳴子は田所に話があると呼び出された。スプリンターの先輩としてアドバイスだと田所。「登れ」と言われた。山はタイム差が出やすい重要なステージ、体重がものをいうから豆つぶのお前がやれと。鳴子はインハイでド派手な最速男としてデビューするから上りの練習はしないと言ったが、スプリンターなのに上れるって派手な男だと思うけどなと田所は言った。
絶対にやりませんよと言った鳴子だが、早朝から峰ヶ山に来ていた。上りの練習をする。ダンシングを力まかせに行ってもダメ、スプリントクライムにも限界があるし、シッティングだと速度が落ちる。他に使えるところはないか。練習し悩み、スプリンターの特性をそのまま生かせばいいと気づいた。
サドルの先端に座って筋力を維持、腕をゴール前スプリントのように左右に振って推進力をつける。「鳴子商店自社開発、アームストロング・クライム」加速して山を上る。田所のところにも風に乗って歓声が聞こえていた。真面目で真っ直ぐで派手好きで、やっぱりお前は生粋のスプリンターだよと田所は言った。
チームメイトの俺たちにまで魅せるのか、素直に嫉妬するぜと今泉は思った。鳴子が飛ばす。先頭まで絶対に俺が追いついて鳴子劇場の総仕上げ。前髪の人(東堂)はゴールまで20kmきっちり走るつもりだろうがそういう気はない。片道切符の途中下車。「乗ってけ、小野田くん、スカシ(今泉)、巻島さん、箱学行きの最速、特急鳴子号や」
鳴子のスピードがまた上がった。が、ガードレールに接触して流血していた。走りがヤバい。坂道が前を代わるよと声をかける。今泉も下がれと言うが鳴子は、お客さん、走行中は手や足を出さないようにと言った。「鳴子列車の、チームの先頭はわいの特等席や」つり革やハンドルにしっかりおつかまりくださいと先頭を走る鳴子。今泉は意地を張るなローテで行くぞと言う。
意地は張ってなんぼ。生やさし過ぎるぞと鳴子。レースで勝つのは常にひとり、わいの知っている今泉スカシはもっとクールやろ。鳴子は限界を通り越して視界が狭くなっていた。沿道の旗に当たった。坂道と今泉も鳴子の目が見えてないのに気づく。足は動く、道路の白線だけを頼りに進む鳴子。
坂道が僕が引くからと言う。鳴子は坂道が見えてなかった。心配しすぎや、初めに3人でトップゴールするって約束しただろう。箱学に追いつくまで風よけに入って温存しとけやと鳴子。でもひとつ頼みを聞いてくれるかと言った。スプリンターで山は苦手で頭を下げて走ってしまうから、後ろから次のカーブを言ってくれと。
坂道が鳴子の後ろについてカーブを知らせる。50mくらい行ったら左...しばらく真っ直ぐ...右...涙を流しながら大声で指示を出す坂道...「小野田くん成長したな、頼むぜ、わいらのゴール」...もうすぐ左カーブ...来たな、見えないが鳴子は感じた。坂道が言った。「鳴子くん、見えた、見えたよ先頭、箱根学園が」
箱学も総北が追いついてきたことに気づく。鳴子が箱根学園をとらえた。スプリンターなのに上りでチームを引っ張って派手に見せて箱学に追いついた。鳴子、今、俺は心から言う、お前はすごい男だと今泉。鳴子が下がって行く。「すまんかったな、スカシ、小野田くん、3人で肩組んでゴールしようとわいが言い出したのに、約束を守れそうにない」
「やっと休める。ごっつい充実感や。けどゴールくらいはこの目で見てみたかったわ。代わりに頼むで、スカシ、小野田くん」...鳴子は倒れた。
☆次回 「エース今泉!」
★感動の鳴子劇場。鳴子くん、素晴らしい走りでした。ゴールまで行けないのは残念だけど、派手でカッコよかったです。お疲れ様。鳴子くんの分まで頑張れ、坂道くん、今泉くん、巻島さん。