小野田坂道は千葉県の総北高校の1年生。毎週ママチャリで秋葉原に通うアニメが大好きな気弱な少年が仲間と出会い自転車競技部に入部。試練を乗り越え才能を開花させていく......原作、渡辺航の自転車ロードレース漫画の第2期。
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第1話~第21話あらすじまとめ
★1期 (1~38話)はこちら→ 「
弱虫ペダル 全話あらすじまとめ」
弱虫ペダル GRANDE ROAD ~グランロード~
第22話 「真波と坂道」
福富が真波の背中を押した。白い翼の真波はあっという間に今泉を抜き去った。勝負はついたなと思う福富。今泉が反応できなかったのは機材トラブルか、運がなかったな。俺たちは王者だと腕を突き出すと湧き上がるようなプレッシャーを感じた。前へ前へ進もうとするプレッシャーだ。今泉を見ると笑っていた。「お前なら、きっとついて来ていると思ったぜ」福富の後ろに坂道が来ていた。
「上がれ、坂道」今泉の声に坂道が前に出て今泉と並ぶ。まだこんな手を残していたかと福富。176番、真波は危険ですよと言っていた。これが絶対に諦めない総北か。残り2500m、わかってるなと今泉。前を走っている真波を追えるのはお前だけ。手の震えは自分で止めろ。仕掛けるポイントは自分で判断しろ。お前はひとりしかいないと。「だが心配するな、このジャージの背中には俺たち総北全員の意志が込められている。上れ、小野田坂道」今泉が坂道の背中を押した。
わかったとペダルを回す坂道。てか何で俺、笑っているんだと今泉。福富が俺たちは最高のタイミングで最良のクライマーを出し、完全に独走のタイミングだったが、それさえも読んでいたのかと聞く。いいえと今泉は答えた。正直ビックリした、予想できなかったから。けどよくわからないけど信じてたんです。あいつがついて来ていることを。ついて来いと言ったら、わかったと言ったんで。
それだけ? お前たちの戦略はそれだけだったのかと驚く福富。信じて、預けて、任されて、全力で走る。そういうシンプルな戦略だったみたいですよと今泉。「俺も今、気づいたんです。それってロードレースそのものの面白さだったんですね」だから笑ってるんだ、俺。行け、坂道。俺たち全員の心を積んで走れ。坂道が真波に追いついた。
僕は君を抜いてゴールをとると坂道。真波は、実はここまで君が追いかけてくるなんて予想していなかったと言った。インターハイ3日目のトップだよ。沿道から声援が飛ぶ。あの日からこうなることは決まっていたのかもしれないね。走ろう、俺もゴールは決して譲らないと真波は言った。「約束の時だ」
真波は速かった。回れ回れ、みんなのために。坂道がケイデンスをあげて追いつく。坂道に戦う意志を見た真波はまた加速して引き離す。現在の順位の放送がある。後ろを走る巻島と東堂にも聞こえてきた。1位は箱根学園、真波山岳選手。東堂がガッツポーズ。僅差で追うのは総北高校、小野田坂道選手...メガネくんかと驚く東堂。坂道、先頭に追い付いているのかと巻島。どこまでも面白いやつっしょと言った。
田所と新開のところにもボードが表示される。2位の176番ってと新開。ああ、うちの6番手、メガネかけた小っせえクライマーだよと田所は答えた。鳴子のところに金城が来た。ゴールまでもう2km近く、箱学のクライマー真波を追っているのは、俺たちの思いを継いでジャージをゴールに運ぼうとしているのは小野田だと言った。「あいつが、ひとりで戦っている」
真波に追いつく坂道。凄いケイデンス、今までで一番回しているねと真波。風が来た。これならどうと真波がまた引き離す。羽が見えた。坂道はケイデンスだけでまた並ぶ。僕は君を抜く。坂道が前に出た。残り2km、ゴール地点では間もなくトップ選手が上って来ると放送。現在、先頭争いはふたり、トップは総北高校、小野田坂道選手、続いて箱根学園、真波山岳選手。ゴールで待つ控えの手嶋らはビックリ。
聞き間違えかもと言う杉元。放送が繰り返される。一同大喜び。凄い、小野田君と幹。いつも一生懸命で真っ直ぐで、みんなのために頑張れるあなただからここまで走ってこれたんだね。お前が先頭だなんてウソみたいだなと手嶋。どんだけ凄いとこ走っているかわかるか小野田、頼んだぞ、託されたんだろ、みんなに。つなげよ最後まで。
委員長と坂道の母も放送に驚いていた。山岳が2番と聞いて、大丈夫、1番になりますよと委員長。隣で驚いた顔の坂道の母に、どうかしましたかと聞くと、小野田坂道ってと母。敵のチームですよと委員長が言うと、へえ~いるのね、同姓同名ってと言ったwww
先頭を走る坂道。ごめん真波くん、僕は行くよ、任されたから、ジャージを届けるのが僕の役目だから、この先のゴールまで。と、歓声でうるさいはずなのに聞こえた。息づかいが、車輪の音が。振り返ると真波がいた。やあ、待ってよ、走ろう。もっと出し切るまで。でないと、もったいないだろ。真波は言った。「わかるだろ、勝負もチャンスも、人の生も、次なんてないんだ。これたぶん、今の俺らの最後の勝負だ」
今泉は福富になぜ最後は真波を行かせたのかとたずねる。エースのあなたならメカがトラブってる自分を抜かせたのではないか。確かに箱根学園史上ラストゴールを1年に預けた例はないと福富。彼が優れたクライマーというだけの理由ならどんなに疲弊していても自らペダルを踏んだだろう。行かせた理由はやつが勝つ男だからだと言った。
インターハイのメンバーを決める時、ゼッケン6は真波ではなく黒田だと荒北は言った。あいつの方が練習では走れているし上れてる。真波は1年だし勝てたのは運、風なんてそうそう吹くわけじゃないから頭を冷やせと言った。東堂は女子の人気を二分するのは問題があるとw 新開はトーナメントでメンバーを決めると言ったのだからルール的にはフェアだと言った。
もしも何かあって最後に不思議ちゃんが残った時に箱学の旗を預けられるのかと荒北。福富は真波をロードに誘った。峠道から頂上駐車場へと続く道、真波はウキウキすると言い勝負しましょうと言った。確かに速いがこれくらいなら抑えられる。今日は風がないから得意の羽は出せないかと聞くと、最後の加速を皆さん羽って呼んでいるみたいで照れますねと真波。そして風がなくても出せますよと言った。頂上に近づけばですけど正確には出ちゃうって感じですと言って加速した。
インハイを何のために走るのかと真波にたずねる福富。名を上げるためか、カラーゼッケンが欲しいかと聞くと、俺、すげえ坂すきなんですと真波は言った。それは頂上まで続いているから。誰よりもどんな時でも頂上の景色を最初に見たいんです。純白の誰にも触れられていないそこを俺のものにしたいんです。福富は真波の目の中に揺るぎないものを見た。
真波がまた坂道の前に出た。ギアを上げている。坂道は鳴子に上りはギアを落とすんだと教えられた。ケイデンスの回転で上るから坂道の走りに合っているのだと。頂が近づくと心がはやって自然にギアが上がってしまうと真波。ギアを上げるたびに羽が見えて加速する。僕は回して上るけど真波くんはギアを上げて上るのか。ロードレーサーのギアは10枚。真波は今5段目。ここから最大5段階速くなるのか。
坂道がついて来ない。しょうがないと真波は思った。いつだってそう、頂に行くことと勝負することは両立しない。いままでもそうだった。よし行こうと加速する。ギアが重い。でも気持ちいい。東堂はチームのことは忘れていいから自由に走れと言っていた。真波はジッパーを開けてジャージを風になびかせた。
残り1.5km。先頭が真波に入れ替わったと放送される。ヤバいと頭を抱える杉元。諦めるなと青八木。手嶋が言った。あいつが力を発揮するのは追いかけている時だよ。
いつも頂には誰もついて来なかったと真波。もしかして坂道くんならと、でもさよならだ。わかっている、山頂をとること、自由に走ること、その代償は少しの孤独。真波、ギアを8段目まで上げ独走態勢に入る。
今泉と福富に巻島と東堂が追いついて来た。俺は箱根学園のエースクライマーなのだから当然だと東堂。巻島は今泉によくやったと言った。やはり真波を出したかと東堂。8段目までにしておけと言ってあるから問題なく山頂はとるだろう。確かに速いがあれは諸刃の剣、ガラスの羽だと福富が言うと、クライマーという生き物のことをまだ少しわかっとらんのだなと東堂は笑った。
上るしか能がないのだよ。それが唯一のプライドだ。上って自己証明する。そういう輩の頂上に対する渇望は他者とは比べられん。特にやつはそれが強いと東堂は言った。何があったかは知らんが、俺は自由に走れと言った。輝けるステージですべてを出し切れと。やつはもっとギアを上げるだろう。だがそれで負けましたなんていうほど優しい男ではない。
山頂が欲しい、誰にも渡さない、加速する真波。10段目、ラストギアを入れた。
(後ろに、ヒメヒメ~と坂道くんが来てます~)
☆次回 「約束の道」