小野田坂道は千葉県の総北高校の1年生。毎週ママチャリで秋葉原に通うアニメが大好きな気弱な少年が仲間と出会い自転車競技部に入部。試練を乗り越え才能を開花させていく......原作、渡辺航の自転車ロードレース漫画の第2期。
☆前のお話は→
第1話~第22話あらすじまとめ
★1期 (1~38話)はこちら→ 「
弱虫ペダル 全話あらすじまとめ」
弱虫ペダル GRANDE ROAD ~グランロード~
第23話 「約束の道」
先頭を走る真波。福富には勝利には理性も必要だからギアは8段目までにしておけと言われていた。上りで10段目、過去2回は失速したが今日はいけそうな気がしたし東堂は自由に走れと言っていた。インターハイのラストステージの山頂が待っているんだからと真波は10段目にギアをあげた。
足が動かない。羽が砕けた。限界ってやつか。色鮮やかだった景色が灰色に変わっていた。上りでラストギアは無理すぎたのかと思った真波だったが思い直した。飲まれるな、灰色の世界は脳が作り出しているだけの幻。今までやったことがないことをやろうとしているのだから当たり前のことなんだ。
変化、未体験、恐怖心、人は出来なかった記憶を振り払って進んで来た。今までだってそうしてきた。歩くことも走ることも、自転車のペダルを回して進むこともやり遂げてきたんだ。行けるはずだ。苦痛を乗り越えて次のステージに行く力は自分の中にある。
灰色だった世界が元に戻った。再び羽も生えた。ペダルを回す真波。ゴールまで残り1km。気持ちいい。緑も空も華やいで見える。足も腕も背筋も痛いから、いたはなやいでるって感じ。
救護車に回収された御堂筋も先頭は真波の声を聞く。結局あの時の勝負がすべてを分けたということか。真波を潰しておかなければという策略は正しかった。潰せなかったが。坂道も引き離されて苦しそうだが頑張っていると放送。このままなら負けは確定だなと御堂筋は思った。
坂道は真波を追うが追いつけない。ヒメ~と2クリックダンシングをするが真波の姿は見えない。みんなに託された、みんなで繋いできたジャージ、この状況をどうにかできるのは僕しかいないんだ。真波くん、僕はまだ君に追いつきたいんだ。見えろ、見えろとペダルを回す坂道。前方に真波の姿が小さく見えた。
前を行く選手の背中が小さく見えると、その差に愕然として足が止まるんだ。沿道ではそんな声が聞こえるが坂道は笑顔になった。見えたよ、真波くん。御堂筋が呟いた。真波、気いつけや、あの男、懸命になって走るより笑ろうた時のほうが速いで。
足が少し軽くなった気がする笑顔の坂道。不思議だ、足が回る。また軽くなった気がして真波との距離が縮まる。ラストギアで決別したはずの坂道が追い上げて来ている。なぜだと驚く真波。坂道は真波の背中が近づいてきて嬉しいと走る。壁に当たっても、まいいかと真っ直ぐに前だけを見て進む。
真波が振り返るとすぐ後ろに坂道が来ていた。笑っている、楽しんでる、あの時みたいに。そしてそのほうが格段に速い。君はそうやって速くなるのか。坂道は心の中で「恋のヒメヒメぺったんこ」が止まらない。♪大きくなあれ魔法をかけてもヒメはヒメなのヒメなのだ~♪ 真波に並んだ。土壇場で追いついた。ゴールまで残り500m。
ゴールで待つ手嶋はアナウンスが入らないことに苛立つが青八木からコースが見えると声がかかり移動する。諦めるな小野田お前の追い上げは一級品だ。真波と並ぶ坂道が見えた。
追いついたよ真波くんと坂道。すごいやと真波。ボロボロで体はバラバラになりそうだけど勝負する?と真波。ここから500m先のゲートを先にくぐったほうが勝ちだ。やる、競走しよう真波くんと坂道は言った。夏の空、そこに一番近い場所まで。
真波が前に出た。山頂へはいつも孤独だと思ってたけど今日は違う、君がいる。回れ~坂道が直線で追いつく。ゴール手前で待つ委員長と坂道の母のところに先頭が近づく。来ました、あれが山岳くんですと委員長。すごい、伝わって来るよあなたの鼓動。
子どもの頃は体が弱かった山岳。ふたりで行ったサイクリングがきっかけで自転車を始めて元気になって、どんどん強くなって、ある日、委員長に勝負をしようよと言い出した。驚いて忙しいからと断る委員長に、だって俺、委員長にだけは勝ったことないんだと山岳。あの日の委員長はどんなにペダルを踏んでも追いつけなかった。チョー速かった、たぶん世界一と言った。
ねえ山岳、もし勝負したら私、2秒で置いていかれるわよ。わかってる? 私のこと全然みてないんだから。おにぎりも渡せないほど遠くに行っちゃって。だけどちゃんと届いているよ。あなたが言ってた生きてるって感じ。だから私も届けるわメッセージ。勝って、山岳。通り過ぎる山岳がこちらを見た。委員長...負けたら怒るからと委員長は言った。
坂道の母の前を坂道が通る。坂道? 何でそこにいるの? 何やってるの?...けれど一生懸命やっているのなら...坂道の母が壁のボードを叩いた。頑張りなさい坂道。はいと坂道は言って通り過ぎた。委員長に息子よと坂道の母。任されたのね、何かとても大切なことをみんなから。それならそれを裏切らないように走りなさい。きっとあなたを信じてのことなんだから。
一生懸命、走ってたわ、あの坂道が。母さん嬉しいな。坂道は母さんみたいな声がしたからつい「はい」って言っちゃった。いるはずもないのにと思っていた。母さんがもし見てたら危ないからすぐにおりなさいとか言うかな。おりないよ僕は。このハンドルは離さない。ペダルも緩めない。このジャージをゴールに届けるために僕はここにいるんだから。真波と並ぶ坂道。ゴールが見えた。
救護室で荒北に泉田が残り500mで坂道が追いつき真波と並んでいるそうですと知らせる。俺が引っ張り上げてやったふたりじゃないか。とんでもねえもん運んじまったな。あの時、お前らどこまで行くつもりだと言いかけてやめた。まさか先頭でゴールまでとはなと荒北は笑った。小野田ちゃんだけ途中に置いてけばよかったかな。
隣のベッドでは小野田の先頭争いに興奮した鳴子の傷口が開き金城に押さえられていた。全力だせよと鳴子。出してるさ、あいつはそういう男だと金城は言った。
並んで後方の田所と新開。続く上りに山坂が好きなやつの気が知れないと田所。あいつらバカだろうと言うと、向こうも俺らのことそう思っているかもと新開。自転車乗りは全員バカかと田所が言うと新開は純粋ってことだよと言った。もうすぐゴールが決まる頃だな。負けないぞとふたりで拳を合わせた。
坂道、取れよ、こっちは残りの仕事をきっちりやるから。今泉がスパートするが割れたフレームは進まない。お願いしますの声に巻島が上がる。同時に東堂も飛び出した。この中から最終日の3位が決まる。取れと福富。当然だ、そのために上がって来たのだからと東堂。行けよ坂道、お前のやり方で突破しろと巻島。羽ばたけよ山頂へ真波と東堂。俺は史上最強のチームを作った。つかめ真波、お前ならできるはずだと福富は言った。
そして長かった戦いのゴールが決まる。
☆次回 「WINNER」
★真波くんに追いついて嬉しいと笑顔の坂道くん、いいですね。委員長と坂道のお母さん、田所さんと新開さん、荒北さんも巻島さんも、頭から血が出た鳴子くんも、みんなよかったですね。さあ、Winnerはどっち? 長かった物語も次回最終回。嬉しいような寂しいような。