およそ遠しとされしもの。
下等で奇怪、見慣れた動植物とはまるで違うとおぼしきモノ達。
それら異形の一群をヒトは古くから畏れを含み、
いつしか総じて『蟲』と呼んだ。
(2014年1月に放送されたものです)
★2014年4月~12月「蟲師 続章」→
蟲師 続章 あらすじまとめ
★2005~2006年放送の「蟲師」→
蟲師 あらすじまとめ
蟲師 特別篇 日蝕む翳 (ひはむかげ)
かつて寄り添い、いつしか失くした、かけがえのない光。
分かち合ったぬくもり......
日食まであとひと月。太陽が月の陰に隠れて辺りが薄暗くなると蟲が騒いで普段は蟲が見えない者にも見えたりするとギンコに聞いた化野先生は楽しみにしていてギンコを呼んだが所用があると断られた。
淡幽は日食にまつわる記録を調べていた。多くの蟲が力を増す。そのため蟲気に当てられる者が多い。記録によると、
1.蟲柱の発生 蟲が集まって柱状となるので近くに長居をすると蟲気に当てられることがある。日食が過ぎても柱が散らないときは蟲送りの儀式をする。
2.日光を恐れる者。日食の最中にヤインに付かれたことにより以前とは別人のように日光を恐れる。蟲下しを使う。
3.眠れぬ者。日食の太陽を見過ぎて目を傷め日没後も眩しさが失せず眠れない。シラヤミがもたらす変異で光脈の光か蟲が作り出す光を浴びせ続けると治癒する。
4.消える者。日食の後、蟲が見える体質のものが姿を隠す。蟲と共に山に入り多くは高所で再び姿を現すがヒトの目に映らない姿になることも多い。連れ帰り情をかけることだけが治癒の術だが再び山に入り戻らないことも多い。
主な事例は蟲師たちには馴染の蟲だから今回もさほど混乱はないだろうと淡幽。気がかりなのは「日蝕み(ひはみ)」で現出すれば早めに手をうたないと厄介なことになる。残された記録は少なく現れそうな土地を予測できればいいのだがとたまに話した。
そして日食の日がやってきた。化野先生はギンコに蟲の捕え方を教えろと言ったがギンコは薬を送ってきた。日食メガネを用意して待つ化野。淡幽は一度見てみたいと言ったが大事な御身とたまに言われて地下に入った。皆どうか息災で。日食が始まる。
太陽が欠けていく。曇りで肉眼でも見ることができた。辺りが暗く寒くなった。蟲が見えた子どもが何これと言い出すがムシトリ網を持って待機していた化野先生には見えなかった。お天道さんがいなくなっちゃったと子供たち。
化野先生は言った。直また現れるから大丈夫。でもこの怖さを覚えておきな。お天道さんがなければ自分たちは生きておれないものだということを。再び太陽が現れ始めると暖かい、よかったねと子供たちは言った。
ギンコはとある村で日食を見ていた。太陽が再び姿を現し日食が終わったと思ったら黒い影のようなものが出てまた太陽が欠け出した。蟲が空に上って行き影を大きくしていくのが見える者もいた。辺りはまた暗くなった。ギンコは前日村長をたずねて、このあたりで日食の障りがあるかもと話していた。元に戻すにはみんなの協力が必要だと言った。
あの日を隠す影の中心には日蝕みという蟲がいて他の小さな蟲を寄せ集め増殖されて影を作っている。普段は地の底に身を潜めているが日食のときだけ核と根に分かれて核は上空へ行く。消すには日蝕みがこの地に張っている根を探して日にさらせばいい。とはいえ在処はこの村の付近ということしかわからない。いつもと違うところを手当たりしだい掘ってくれとギンコは村の人たちに言った。
皆で手分けして探すが特に変わりはなく根は見つからなかった。ギンコに淡幽から日食は無事済んだとの文が届く。ほかの日蝕みが現れそうな場所へ向かわせた蟲師からも事無きを得たとの知らせが届いた。そちらはどうだという文にギンコは呟いた。予測、ご命中ですよ。
明日の朝になれば何事もなかったように日が昇るだろうと村人は話したが翌朝も太陽は隠れて暗いままだった。根は見つからず何日も暗いままの生活に苛立ち始める人々。不安になるのはわかるが堪えて地道に探してくれとギンコは言った。畑の作物も枯れ始めた。このままじゃ冬を越せない、おしまいだと人々は言った。
日々の中心にあったもの。なくなるなど考えもしなかったものを失ったとき、人がよりどころとするものは、代わりに中心とすべきものは、いったい何だろう。
暗い中、雨戸を閉めている家があった。空家ではなさそうだ。少女(ヒヨリ)が出て来た。白い髪、肌、色の薄い目。まだ昼間よとヒナタが止めるがお天道さんが消えているからこれなら私も外に出られると言った。外に出たヒヨリはギンコを見ると同じ病なのかとたずねた。
自分の姿がなぜこうなのかはわからないが日の光は見ても平気だとギンコ。父親がヒヨリにまた痣が出るぞというがヒヨリはヒナタにあの花畑に行こうと言った。畑のものが枯れたから町に何か売りに行かなくてはいけないからダメだとヒナタ。ギンコは父親に話を聞かせてくれないかと言った。
妻がふたりの娘を身ごもって間もない頃に月食を見た。その月は今の日食のように見る間に欠けていって不吉に思えた。月を見ていた妻は倒れ、急に気が遠くなったと言った。やがて妻は無事ふたりの娘を産んだが、ひとりは白い髪と肌に薄い色の目をしていた。妻は産後の肥立ちが悪く間もなく事切れてしまった。
ヒヨリは外に出て日の光を浴びると痣が現れ高熱を出した。そのため日中は家中の雨戸を閉ざし以後ずっとほとんど家の外に出ることもなく奥の座敷で過ごしてきた。
ふたりが見たのはニセの月食だったのだろうとギンコ。日蝕みの亜種の月蝕みの仕業で身重の体でその光を浴びると赤子は色素を失い、生後、日の光を浴びると火傷のような痣になる。ひとりが影響を受けずにすんだのは体内でもうひとりが影になって光をさえぎっていたからだろう。ギンコの話を聞いていたヒナタはヒヨリが私を守ってくれたんだねと言った。
ヒヨリはヒナタと外で遊びたいと泣いたが父は外に出ると死んでしまうかもしれないと言って出してくれなかった。ヒナタは蝶を捕まえてきて部屋に放したり花を摘んできてくれたりした。お外はきれいなものがいっぱいでいいなと言うヒヨリにお花がたくさん咲いている秘密の場所があるとヒナタは話した。
お天道さんが出ていない日なら大丈夫だろうと曇りの日にふたりはお花畑に向かうがヒヨリは途中で眩しいと言い痣が出て具合が悪くなった。ヒヨリは寝込んでしまいヒナタは父に叱られた。父はもうヒヨリが外に出たくなるような話をするのはよせと言った。ヒヨリが余計に辛い思いをするだけだから。
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