亜人 #21
この国ちょっと大変なことになるから
☆前のお話は→
第14話~第20話 あらすじまとめ
★1期はこちら→
亜人1期全話あらすじ
対亜(対亜人特選群)のニュースを見て、市民権どころかますます立場が悪くなっていると怒る高橋とゲン。「こんなの相手にして勝てるのか、下手すりゃ全員、研究所行きだぜ、どうすんだよ」と田中に言った。
田中:「だからって、いまさら引き返すことなんてできねえよ。引き返せる場所なんてもうねえんだ。今は佐藤さんを信じるしかない」
武蔵重工本社では、橋口会長が最新兵器の説明をしていた。
・新たに改良したレーザー目潰し。0.3秒の照射で網膜を損傷させ失明させる。
・テーザーガンは威力を200万ボルトまで向上させた。亜人だろうが何だろうが一瞬で自由を奪う。ワイヤレスは混戦になった際に使い勝手がいいし連射も可能になった。
・IBM対策には小型改良したインパルス放水銃、スモークグレネードを用意。
・最後に紹介されたのは、ドイツの銃器メーカーと共同開発した、エアバースト・グレネードランチャー。実戦配備はまだだが当地でテストした際にはエクスキューショナーと呼ばれ喜ばれた。
対亜隊長:「死刑執行人ですか」
・標的の頭上で正確に榴弾を炸裂させることによって遮蔽物を無効化する。効果は亜人の田中で実証済み。レーザー測距が標的までの距離を測定しエアバースト弾の信管に自動的に起爆位置を入力する。
対亜隊長:「優れた武器です」
橋口会長:「気に入っていただけて何よりです。人数分用意させましょう」
曽我部:「正直、ここまでとは思いませんでしたよ」
コウマ陸佐:「数日後には佐藤も研究所行きだな」
佐藤のアジトには猫沢が納品に来ていた。猫沢からの注文の品(臓器)のボックスを車に詰め込む。
佐藤:「あ、そうだ、猫沢さん。来週あたりからしばらく外国にでも出てたほうがいいよ」
佐藤:「
この国ちょっと大変なことになるから」
猫沢:「佐藤さん、あんたいったい、どこまでやるつもりなんですか」
佐藤:「ん? この国を統治するまでだよ」
こちらは圭たち。
圭:「作戦決行は2日後。これが正真正銘のラストチャンスです。フィールドは武蔵重工本社ビル」
圭:「戸崎さんの情報によれば、取締役会が開かれるのは最上階の会長室。対亜が防衛線を張るのは24階部分」
圭:「僕たちが潜むのはここ。21階の備品室が理想です」
攻:「そんで、佐藤が攻めてきたら出てって戦うわけだな」
圭:「そんなこと一言も書いてないだろ」
攻:「えっ」
下村:「まずは待機よ。対亜と佐藤の戦いに巻き込まれるわけにはいかないでしょう」
圭:「対亜が落とされたら作戦開始です。僕と下村さんのチームが接近戦を仕掛け中野がバックアップに回る。戸崎さんは通信支援をお願いします」
戸崎:「ああ、ツールはすでに用意してある」
圭:「これで残る問題はひとつ。僕たちが戦いに介入できる措置をとることですが」
下村:「今回は大臣のときとは状況が違う。別な手段を考えたほうが」
戸崎:「余計な口をはさむな」
攻:「ん? なんだよ戸崎さん、まだ怒ってんのかよ」
戸崎:「黙れ」
戸崎:「当初の予定通り私がなんとかする」
下村:「あの、戸崎さん、私はやはり反対です。下手をすれば一生刑務所に...」
戸崎:「黙って運転しろ」
戸崎は研究所に行き曽我部に話をする。
曽我部:「ふっ、自衛隊崩れに元外国人傭兵部隊ですか」
戸崎:「前任者から引き継ぎ使っていた連中だ。無論、大臣の承認は得た上でな」
曽我部:「対亜が負けた場合の保険にしたいと? 」
戸崎:「そうだ。彼らなら亜人の扱いにも慣れているし戦闘に関しては完璧なプロ...」
曽我部:「話になりませんね。そもそも先輩は管理委員会からの除名が決まってるんですよ。大臣殺害のゴタゴタで正式な辞令が出ていないだけです」
戸崎:「だから最後のチャンスをくれと...」
電話がかかってきた曽我部は、見ての通り多忙な身なのでこれでと席を立つ。去ろうとする曽我部に戸崎は、
戸崎:「ここが襲撃を受けたあの日、国防総省の連中を殺したんだ。オグラ博士の監禁が露見してな。いや~参ったよ」
曽我部:「何を言ってるんですか先輩。ついに頭がイカレたんですか」
戸崎:「かもな。しかし、もし私がこの件をリークすれば、私もお前も地獄行きだ」
曽我部:「どうして僕まで?」
曽我部:「オグライクヤは生きている」
大臣:「大したやつだ。アメリカ側の人間に手を出すとはな。ハハハハハ」
大臣:「我々はこの事実を知らない。いいか、知らないんだ」
曽我部:「すべては戸崎先輩の身勝手な行動だと」
戸崎:「立派な組織犯罪だ。仲よく地獄に行こうじゃないか」
曽我部:「...くっ、警備に加えるのは4名でいいんですね」
戸崎:「5人だ。下村くんも同行させる」
曽我部が手配の連絡をしようとすると、
戸崎:「ああ、それからな」
曽我部:「まだあるんですか」
戸崎:「私の除名処分を取り下げておけ」
下村が待つ車に戻る戸崎。
下村:「うまくいったんですね」
下村:「買っておきました」
下村:「戸崎さん、あの、この前はすみませんでした...」
戸崎:「君は君の仕事をしたまでだ。謝る必要はない」
戸崎:「なにしてる、さっさと出せ」
下村:「はい」
佐藤のアジトでは秘密兵器をトラックに積んでいた。
奥山:「なんとか間に合ったよ。秘密兵器」
佐藤:「美しいな」
戸崎は大学病院に婚約者を見舞っていた。
佐藤が犯行予告をした日がきた。
(中継)
「こちら、武蔵重工本社ビルから500メートルほど離れた地点からお伝えしています。佐藤が襲撃を予告した時間まで6時間を切りました」
「関係者によると対亜人特選群がすでに配備され、警備に就いているということです」
「また、武蔵重工は全社員を避難させており、社内には橋口会長および数名の役員のみが残っているということです」
佐藤:「今夜、我々は、亜人をただの経済動物とみなし非道な実験を繰り返してきた最後の企業に鉄槌を下す。それが我々の真に望む未来への大きな一歩となるはずだ」
佐藤:「出発は1700時とする。今日も派手にいこう」
平沢たちと下村も武蔵重工へ。
21階に到着。部屋に入り、お待たせと大きなバッグを開けると、圭と攻が出てきた。
戸崎は曽我部、コウマ陸佐らと車の中に。
下村:「配置につきました」
戸崎:「了解だ。聞こえたなFK。ゴースト対策は任せたぞ」
オグラ:「フッ、天才に言うセリフじゃねぇな」
戸崎:「兆候が出たら即指示をくれ」
曽我部:「どう考えても保険が必要になるとは思えませんがね」
コウマ:「ああ、対亜で勝てなけりゃ、この国に佐藤を止められる者はおらんさ」
内閣官房から許可が下りて衛星まで持ち出していた。「国も本気だ。今日でこのバカ騒ぎを終わらせる」とコウマ陸佐は言った。
5分を切って衛星画像に異常なし。各ポイントから異常なしの報告が入る。
戸崎:「どう来る気だ」
曽我部:「ビル倒しは不可能ですよ。今回ばかりはあんな芸当はできない」
コウマ:「航空テロ対策も万全だし下水道も封鎖した。ここは難攻不落の要塞だ」
佐藤:「さあ、攻略開始といこうか」
木村:「了解です」
最上階の会議室では橋口会長が会議を始めましょうと声をかけた。
ビル正面に不審車両。トラックが突っ込んで来て封鎖線付近で停車。運転していたのは亜人の木村。両手をあげ速やかに降車しなさいの声に木村は無抵抗で車を降りあっけなく確保された。車両を確認する。
「な、なんだ」
佐藤:「だから、秘密兵器だよ」
佐藤がパソコンのキーを押すと爆発が起きた。そしてあたりが真っ暗になった。
停電か。電源確保、警戒しろの声が飛ぶ。ヘリコプターが墜落。
佐藤:「出番だよ、奥山くん」
たくさんのドローンが飛ぶ。
「すべての電子機器がダウン。再起動もできません。全電源が喪失しています」
戸崎は下村に連絡を取ろうとするがつながらなかった。
コウマ:「EMPだ。やつら爆薬発電機を作ったんだ。それであらゆる電子機器の回路を焼き切った。おそらくは半径数百メートル以内の電子機器はすべて...」
奥山:「派手にいこう」
ドローンが攻撃をしてきた。
佐藤:「『作戦は奇を以って良しとすべし』さ」
隣のビルの屋上で見ていた佐藤たち。ドローンが武蔵重工本社ビルにアンカーを設置。
攻:「ど、どうなってんだよ。おい、永井」
圭:「落ち着け中野。まずは目を慣らせ」
戸崎に連絡もつかない。
攻:「ど、どうする? どうすりゃいい?」
下村:「だから、落ち着いて中野くん」
下村:「作戦通りにまずは待機よ」
圭:「いや、動きましょう」
高橋:「今度は電気屋かよ」
奥山:「送電線架線工って言ってよ」
(対亜)
「エアバースト・グレネードランチャー、テーザーガン、レーザー目潰し、すべて使用不可能です」
「通信機器も死んでます」
「電子装備はすべて放棄。通常装備で行く」
圭:「この状況は逆にチャンスです。僕に考えがある」
ガラスを割って佐藤たちがビルに入る。
佐藤:「ここからは火と刃物だけの原始的な戦いだ」
佐藤:「わくわくするだろう」
攻:「ほんとにうまくいくのかよ」
圭:「佐藤さんは有言実行の人だからな。それが命取りになる」
圭:「作戦開始といきましょう」
☆次回 「邪魔してるのはあんたの方だろ」
【感想】
武蔵重工の最新兵器が次々出て来て、すごいなあと思っていたら、あっけなく全部死亡。佐藤の秘密兵器はEMPだったんだね。これ対策はしてなかったのか。奥山はホント凄いな。
戸崎さんは今回は仕事をしたようだね。今まで偉そうにすると必ず失敗していたから心配したけど。
圭は作戦を思いついたようで、どうするのか楽しみだな。中野は相変わらず笑わせてくれるけど、足を引っ張らないようにお願いしたいところだね。
亜人9巻【電子書籍】[ 桜井画門 ]