カテゴリ:お薦めの本
今日は佐野洋子著作「100万回生きたねこ」 ロングセラーの絵本です。 購読している新聞にこの絵本の評価が有った時、私は幼い時に読んだことを思い出しました。 本というのは、読者が同じでもその世代によって感動が違います。 子どもの頃読んで感動した作品が、大人になってつまらなく感じることもあるし、 子どもの頃に意味が分からなかったものが、改めて読むと納得したりします。 「100万回生きたねこ」は 私にとって後者でした。少年の頃は作者のメッセージが分かりませんでした。 この絵本のストーリーは、一匹のトラ猫を主人公にして展開されます。 この猫は死んでも生き返る力を持っていて、100万回の再生を繰り返したのです。 猫は自分が生き返るという事を知っていましたから、死への恐怖や悲しみはありませんでした。 育ててくれた人間も100万人居ましたが、トラ猫は飼い主をみんな嫌いでした。 嫌いというより正しくは、関わり合う他人に関心がありませんでした。いつの時代も。 この猫が死ぬ度に全ての飼い主は悲しむのですが、ねこは全く悲しくありませんでした。また生きる事を知っている猫は悲しみなんかなったのです。 やがて猫は自分の事が大好きになりました。だって自分だけが永遠の人生を持っているのですから。 でも、100万と1回目の命の時、白い雌猫に恋をしました。はじめて自分以外を愛したのです。 白い猫はトラ猫に興味を示しませんでしたが、一緒に居る事を許したのです。 念願叶って白い猫と幸せに結ばれるトラ猫でしたが、やがて数年後、愛する白い猫は死んでしまいました。 悲しみ果てたトラ猫は沢山泣いた後、死んでしまいました。 そして、もう生き返らなかったのです。 愛というのは、3段階に分けられます。 一番底辺が「自己愛」、自分を愛する事です。生命欲が自己愛の範ちゅうならば、とても原始的な愛です。自己愛は獣にも出来ます。 自己愛が過ぎると、他人を愛することが出来ません。悲しいことです。 その上の愛が「交換の愛」です。くれるなら与える愛です。 素晴らしいのですが、相手が愛してくれなくなった時に破綻が生じます。 あんなに愛し合っていたのにわかれてしまうカップルは、見返りを相手に求めていたからかもしれません。 一番崇高な愛は「見返りを期待せず 与える愛」です。 相手がどういう気持ちであろうと愛を与えることです。 子どもに対する母の愛もこれに位置するでしょう。 彼は、百万回という生命を得ましたが、ずーっと自己愛だけでした。 最期の命で白い猫をはじめて知って、見返りを期待せず 与える愛を知ったのです。 一番崇高な愛を知った猫は、同時に本当の生命の意味も知ったのです。 永遠の命があったとしても幸せとは限りません。 世界一のお金持ちになったとしても幸せとは限りません。 地位と名誉を得たからといって幸せでない人もいます。 しかし、見返りを期待しない愛を知った人は、たとえ泣くほどの事があっても 幸せになれるのです。 博学研究家 横尾けいすけ Yokoo・D.B.Keisuke mail to yokoo@mopera.net お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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