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2010.05.06
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カテゴリ:お薦めの本
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「告白」双葉文庫
湊かなえ 双葉社


【内容情報】(「BOOK」データベースより)
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」映画化によせて』。


この小説も6月5日から映画化されます。

湊かなえ女史のデビュー作ですが、ひとつの事件を多数の語り手から紹介していく手法は確かに圧巻されます。立場や感情が違えば事実は決してひとつではないのだという事を感じさせます。
この小説を多くの評論家が上記の手法を褒め称えていますが、僕はそれ以外に湊かなえ氏のメッセージを感じ取りました。それは多発する少年による残虐犯罪に対する思考です。近年の少年による凶悪事件は、その陰湿さに於いて余りにも成人の犯罪と違いがあります。だからマスコミも視聴率稼ぎになるから特集を組みますしコメンテーターによる評論も行われます。しかし、数ヶ月後には新しい事件が起こるから真意を突き止めないまま、その事件は忘れる事を強要されます。精神医療者も真意を突き止める事ができずにありきたりの環境の影響を人格形成に取りまとめてレポートを締めくくります。
この作品の事件はフィクションですが、多くの現実の少年犯罪を考える糧となるでしょう。

ところで、精神という言葉があります。辞書によると「人間の心。心のはたらき。」なのだそうです。心の事を“精なる神”と表現する言葉には神が人の心に宿っているという事実だと思うのです。だから精神の安定した人には愛があるのだと思います。なぜなら、愛を説かない神はいないから。
人の心から神が消え失せた時を心身喪失と言うのだと思います。
この小説では、ほとんどの登場人物が神を失ってしまっているのですが、同時にそれは他人への愛の欠如です。例えば、娘を殺された女性教師も教育者としての倫理を貫きますが、愛が事件以前に失われてしまったがために不幸を大きく育ててしまったのかもしれません。
後味はとても悪い読み物ですが、人間にとって本当に大切なものは何なのかを中学生から老人まで考えるべきと提案している作品だと感じます。


さて、映画化ですが、前回の「東京島」は期待しませんでしたが、「告白」は観てみたいと思いました。その理由は女性教師役を松たか子さんが演じるためです。生徒を擁護すべき教師の立場、溺愛の愛娘を殺された母の立場、人が人を裁いて良いのかという事と司法の少年特別判断。こういう判断の重みを一身に抱える立場を松たか子がどう演じるかが期待です。



横尾けいすけ Yokoo Keisuke
mail to cayman450s@yahoo.co.jp






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最終更新日  2010.05.07 00:14:11
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