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風水  開運

風水 開運

ミ~ンミ~ンミ~ン・・・
蝉の声が「暑い」と言ってるような気がする8月の午後。

愛香ちゃんは友達のせっちゃんと市民プールで遊んだ帰り道、
ソーダアイスをかじりながら、のんびり歩いていました。

その時、桜の幹の中から、白い猫がひょいと飛び出してきて、
愛香ちゃんの目の前をすごいスピードで横切ったのです。

愛香ちゃんは幻でも見たのかと目をこすりましたが、
もう猫は見あたりません。

腑に落ちないまま帰宅すると、さっきの猫が、縁側で堂々と眠って
います。猫なのに、いびきをかいて。

愛香ちゃんは台所にいたパパに尋ねました。

愛香「パパ、あの白い猫を飼うことにしたの?」
パパ「何言ってるんだよ愛香。
   シロはもう何年も前からうちに居るじゃないか」
愛香「?あの猫は、今日初めて見たんだよ?」
パパ「変なこと言うなあ。どうしたんだ?」

パパは笑って、愛香ちゃんの頭を撫でました。

お兄ちゃんやお姉ちゃん、おじいちゃん、おばあちゃんに聞いても、
皆、パパと同じことを言います。

愛香ちゃんはとりあえず、縁側の猫の隣に座りました。

愛香「さっき、桜の木から出てきたでしょ」

猫の片耳がぴくっと動きました。

愛香「皆に催眠術でもかけたの?」

猫の両耳がぴくぴくしだしました。
そして、ゆっくり目を開けると、愛香ちゃんをじっと見つめました。

愛香「睨んだってだめ。あんたが普通の猫じゃないって分かってるんだよ」

なぜか、愛香ちゃんには催眠術がかからず、
猫はあわてて、パパのところへ逃げました。


その日の夜、愛香ちゃんは夢をみました。

オレンジ色の光の玉の中に、シロの顔が浮かんで、
愛香ちゃんを見ています。

シロ「あなたには催眠術が効かないから本当のことを言うしかないわね。
   私は訳あってしばらくこの世界で修行しなくちゃならなく
   なったんだけど、
   この家の人達が気に入ったからここに住もうと決めただけ。
   なにも危害は加えないから安心して。
   仲良く暮らしましょう」

光の中でシロはやさしく笑うと、
シャボン玉のように天に昇り消えてゆきました。

翌朝、寝起きの悪い愛香ちゃんの布団に、シロが潜り込んできました。
前足のピンク色の肉球で愛香ちゃんのおでこを軽く猫パンチ。

シロ「おはよう、お寝坊さん。朝御飯なくなっちゃうわよ」
愛香「え~、そりゃ大変!パパ特製のクロワッサンが無くなっちゃう~
   ていうか、なんで!猫が日本語!?」
かるくパニクっている愛香ちゃんに、シロはにっこり笑って
シロ「私の正体を知ったからには、色々協力してもらうわよ♪」
愛香「にゃっ、にゃにおお~・・?
   あっ、きっと、これは夢!そうに違いない。じゃ!」

愛香ちゃんはシロに敬礼して、二度寝を決め込んだようです。

愛香ちゃんとシロのお話の続きはまたいつか。では。






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