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最近は民家の庭に その姿を見なくなったと思ったら 近くの神社の境内に ひしめき合うように泳いでいた けれど 風をはらませ なびくものはまだいい のぼり竿に納まりきれない鯉たちは 神社の拝殿の欄間に 横断幕のように括られ 何とも哀れな真鯉や緋鯉 男の子の 健やかな成長を願う端午の節句なのに 鯉のぼりも色あせて しょんぼりした鯉の集団が まるで古着屋さんの虫干しのよう そんな折りも折 テレビで あの大震災の被災地の空に 鯉のぼりがひるがえっているのを見た どんな環境にも負けないぞというように 大空を悠然と泳ぐ鯉に ゆるぎない希望を見たと思った
いつ咲くかと心待ちにしていた牡丹 新緑の庭で あの桃色の大きな花が咲き出した この頃 すべてのものに異変が起きている 自然が壊され 形ばかりでなく 善が悪に覆され 正義が不正に化けている日々 目の前に 見たくもない世界が見える時代 知りたくもない過剰な情報の渦 怒りが肩を強張らせ やがて為すすべもなく洩れるため息 今日 雨の中に咲く一輪の牡丹 その美の真実に 心いやされる
北風が吹き荒れ 雪が舞い まるで駄々っ子のような気象に 春の訪れが翻弄されました けれど さすがに4月の陽光に 硬い蕾もほころび 近くのお花見所に 桜をめでる声が弾みます 人はなぜ 桜の開花を待ちわびるのでしょう 永い冬からの開放感か それとも 視界を覆いつくす薄紅色の花の群 あるいは 散り際の潔さでしょうか 満開の桜も好いけれど 散ってなお人を魅了する 水面を蔽う花筏 花びらを地に敷きつめる花筵 目を奪うばかりの自然の造詣に あやしく心が騒ぎます 今年の桜は どのような絵巻を見せてくれるのでしょう
温かくなってきているようだ 昨日 叔母と散歩した川原には 枯れた葦にも陽射しがそそぎ 柔らかな芽を吹いた柳は ゆら~りゆら~りと のどかに揺れている つるし雛のように幾筋もの枝が 小さな花をつけ 若緑の簾がそよぐような それはまさに柳腰のしなやかさ 着物の柄にもありそうな楚々とした姿 このところ着物を着ることもないが 重いコートを脱ぎすて すっきりと着てみようか きっと 心にも春風が吹いてくるかもしれない 芽吹いた柳の美しさに 思わず立ち止まり 春の陽差しを楽しんだひと時でした
日本列島は真冬のまま 各地の豪雪のニュースに 春が待ち遠しく思います そんなある朝 母の定期健診で病院に行くと 心不全を起こしていると 大病院に救急搬送されました ところが 母を入院させた安堵感でしょうか 前の晩から体調が悪かった私に 下痢と嘔吐が襲い掛かりました まさに鬼の霍乱の始まりでした この年まで 熱に強く寝込んだこともなく 健康優良婆さんの私も 下痢と嘔吐と高熱にさすがにダウン しかし 高熱に驚いたのは夫でした 自分のことは案外平気に構え いざ夫や妻が病気になると 急にあわてふためくものですね 持病のある夫にうつしてはいけないと 妻の風邪をもらってはいけないと 家の中でマスク夫婦の出来上がり ところが 娘がこんな時でも 一番暢気なのは入院中の92歳の母 病院食が待ち遠しいと呟き カメラを向けると指でピースをします 真剣に心配したけど 幸いにも杞憂だったのでしょうか このドタバタ一家 まだまだ頑張れるそうです
雲ひとつない空 冬の白髪立つ海の遥か向こうに 丹沢連峰や伊豆の山並みが 墨絵のように 濃淡だけで折り重なるように連なる 凛とした空気の中 美しく裾野を広げ ほかの山々を見下ろし 聳え立つ富士山の姿は いつ見ても惹きつけられる これって一体何だろう 十数年前の富士登山 ゴミが散乱し、足元が悪く 決して楽しいとも 綺麗だとも思わなかった けれど 苦労して登頂し麓に降り 仰ぎ見た富士山の あの美しく神々しい姿は 今も胸の奥に残る この時の感動が 幾年たっても 私を呼び起こすのだろうか 富士の姿の移ろいが気になる日々だ
![]() 数週間前に 金色の鯉を見た川の淵を 昨日叔母と散歩しました この前見たのはもっと上流ですが 「金色の鯉が居たらいいね」 「見たいね~」 叔母と話しながら 時々川の中を覗いて歩きました 冬の川は冷たく澄んで 水量も少なく緩やかに流れています 鯉や小さなボラのような魚や水鳥が 川面に模様を描いて泳いでいます 暫く歩き 金色の鯉なんて そうそういるわけ無いよと呟きながら ひょっいと川を覗くと 何と居たのです 金色した鯉が! え まさか!? 叔母は子供のように喜び わたしもビックリしました 今回のはちょっと太目でしたが 二度も金色の鯉を見られるなんて! 先日の話を 信半疑で聞いていた叔母は この不思議な出会いにすっかり興奮し 「これ 何か良いことが起こる前兆だよ!」 と叫びました
![]() 叔母の家に行くには 川沿いの道を行きます その川には 白鷺 セキレイ 鵜 鴨 鯉などが生息しています いつものように その鳥達の様子を眺めながら 自転車を走らせていると 川の中に大きな金色の魚がいました え あれは何?と思い 急いで自転車から降りてみると 金色の鯉 ゆらりゆらりと体をくねらせるように ゆっくり泳いでいます この川には 他にも 丸々に太った 黒や 赤や まだら模様の鯉がいますが 金色の鯉は初めてです 歌舞伎の台詞ではありませんが 「こいつぁ 春から縁起がいいわいなぁ~」と 思いながら 嬉しくなり ウキウキと自転車を走らせました
![]() お年始の帰り道 立ち寄ったお洒落なお店 センスの良い品々を 見るだけと目で楽しんで ふと 出口の近くで見かけた品 大きなアルミのバケツの中に セール品の残り物のように 無造作に放り込まれていた 熊の縫いぐるみ それは 不細工でおかしな顔 つくづく見ていると笑みがこぼれ 何故か心惹かれる不思議な温もり 手に取ると 「待っていたんだよ」と 私に語りかけたような・・・ いまさら縫いぐるみでもあるまいと 元のバケツに戻すと 有るか無いかのような小さな目が 妙に寂しげに訴えていた 私好みの服を着せて どんな人が どんな思いで作ったのか その人の心の温もりに思いを馳せながら この先 この不細工な熊は どこへ行ってしまうのだろうと 思わず強く抱きしめていた ファニーフェイスの熊の縫いぐるみ 前からいるテディベアに加え 今日から我が家の仲間入り 何度見ても笑える顔が可愛い うれしい新年の贈り物
![]() 暮れから体調が優れない母と ささやかながら お正月を祝いました 父が居た頃のように 飲めもしないお屠蘇も揃え 二人で お節料理やお雑煮を頂きました 煮物に箸をつけて 味が薄いと言う母 自分流のお節に ゆるぎない自信があったのに 今はもう 作れなくなった無念さなのでしょうか 老いてなおプライドの高い母は 体が思うに任せない哀しみを こういう言葉にして 吐露するのでしょう 言葉の棘に戸惑いながら 恙無くお正月を迎えられた事を 娘として 喜ばなくてはいけませんね │<< 前のページへ │一覧 │ 一番上に戻る │ |
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