きまぐれＭＡＴ

♪「出発進行！」
　君にもある！君にもある！この力　君にもある！君にもある！この願い
　立て！アクション！ファイト！　ジムボタンのように！（イヤッハー！）
　幸せを盗む敵は　魔神ドリンガー（ドリンガー）
　ジムは追う！ジムは攻める！　ボタンパンチ パンチ パンチ パンチ パンチ！
　燃えるジム　燃えるボタン　燃える機関車エマ
　君の頬も燃えてる　ゆけ！（ヤー！）君の！（オー！）敵に挑め！
　ジムボタンは君だ！（イヤッハー！）

　君にもある！君にもある！この命　君にもある！君にもある！この誇り
　立て！アクション！ファイト！　ジムボタンのように！（イヤッハー！）
　悲しみを運ぶ敵は　魔神ドリンガー（ドリンガー）
　ジムは追う！ジムは攻める！　ボタンパンチ パンチ パンチ パンチ パンチ！
　生きるジム　生きるボタン　生きる機関車エマ
　君の夢も生きてる　ゆけ！（ヤー！）君の！（オー！）敵に挑め！
　ジムボタンは君だ！♪

はじめて「ジムボタン」ってアニメを観たとき「こりゃアニメ版の『走れ！K-100』じゃん！」って思った人、けっこう多かったんじゃないだろうか？
実は私もそのうちのひとり。だってな～、線路ではなく普通の道を走る、意思を持った機関車と、男性（男の子）が旅をする、ってんだもんな。もっとも旅の目的、K-100と違いジムの場合魔人ドリンガーをやっつけて母親を取り戻すため、なんだけど。
ミヒャエル・エンデ作「ジムボタンの機関車大冒険」をアニメ化したこの作品、けっこう好きでよく観てた。
一番好きなのが、主題歌だったんだけどね。

主人公ジム（タイトルの『ジムボタン』は、ジム＋彼の武器であるペンダント型の“ボタン”にかかってる）のかけ声一発「出発進行！」いきなり機関車エマ号の全力疾走、って感のあるスピード感に満ちたリズムのイントロで曲がスタート。
ハリのある堀江美都子さんのボーカルがすばらしい！ってかこの頃（昭和48年）の堀江さんの声って文句なくカッコイイのである。この声聞いてグッとこないヤツぁヒーローソングを語れないぜ！ってくらいに。
そして、コーラス並びに合いの手を務めるこおろぎ73の存在感！
これねぇ、いい仕事してんだよな、こおろぎの面々。堀江さんひとりで歌っても様になるのだけど、こおろぎの合いの手（歌詞のカッコの部分）が入ることで何倍も曲がパワーアップしている。そう、マジンガーZにおけるジェットスクランダー、仮面ライダーストロンガーにおけるチャージアップのように（ヘンな例えだ）。
越部信義作曲によるメロディも決してノリのよさだけでなく、緩急いい塩梅でキレの鋭さもすばらしい。それがいっそうスピード感を演出してるんだな。

詞に目を向けると、まさに王道！多くのアニソンを手がけた（あの「大きな古時計」も作詞の）保富康夫の技が冴える。
上記の詞のビックリマーク（！）は歌詞カードのまんま。そりゃ血湧き肉踊るってものだ。
構成上ジムの勇姿を歌い込みながら、隠し技のような二重構造でリスナーに訴えかける。
虚像（アニメの世界）と実像（現実）を綴れ織りにし、言い切る。君も、君の敵に挑め！と。
もちろんここで言う“敵”とはいわゆる外敵にとどまらない、と取るのが正解で、この構図、後の宇宙刑事ソングにも受け継がれてゆくものだな（ヒーローソングの基本とも言える）。
そして、最後に堀江さん＆こおろぎがとどめの一撃を下す。
“ジムボタンは君だ！”君は君の世界での主人公。すなわち君がジムボタンなんだ、と…。

たとえ作品自体は忘れ去られても、この主題歌は語り継がれてゆくべきアニソンだ。“君”自身が紡ぎだす人生のテーマソングとして。