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500羅漢の微笑み(境界線とメディア)

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2011年08月29日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
■『禁じられた江戸風俗』塩見鮮一郎 2009年発行
ジャンル名:歴史・地理・地図


昨日の谷中の戸野広劇場三遊亭好太郎の「好太郎の八月のうたたね」は良かった。庄崎隆志さんの仲入後の手の詩人も冒頭、この劇場空間の広がりをまさに想定しての客席を巻き込んでの芸は見ているものが見られることで笑える、笑いのブラックホールだった。
そして好太郎師匠の「お菊の皿」。美人の幽霊みたさに集まる物好きな江戸っ子。一斉に駆けて逃げるシーンは江戸っ子に(そして師匠に)シンパシーを覚える。
物好きが高じて興行のようになってしまうシーン。そこで本書を読んでみた。
天保時代の事細かな禁令風俗。商い、料理・菓子、遊女、…女髪結、下駄・雪駄、寄せ、女浄瑠璃、花火、浮世絵、刺青、…著者は為政者にとってどのような風俗風習がいかがわしく見えたのかを知り、そう言う中にあっても江戸の市井でもてはやされた習俗、芸事、神事を調べることを目指したい、とあった。
隠密廻りの上申書、富士講は素人なのに護摩の火を焚き、病人の祈祷をする、往来が混雑して迷惑。女浄瑠璃は、参勤交代で出てきた勤番侍が集まってきて女に通い詰めたりする。これまでのお触れを無視して、風儀よろしからず、と。定廻の上申書でも、女髪結の仕事を改革では禁じ自分で結うようにさとしたが、櫛道具を隠し持ち、注意をするとお互いに結いっこするのだとごまかす。北町奉行の遠山金四郎の水野忠邦に提出の文も、女浄瑠璃や髪結いに容赦しない。
著者は金さんに、飢饉のあおりで困窮した女たちの暮らしは眼中にない、と手厳しい(芝居町の浅草待乳山への移転について遠山金四郎が反対したことには、その心情を著者も察してられる)。
いずれにせよ、本書では、どんな上申書でも女髪結いなどが真っ先にやり玉になることへの疑問、旗本と町人とに対するお触れの違い、そしてこれらの上申書が「同時代の市民こそ、何が書いてあるのか知りたかっただろうが、とうてい見ることのできない代物だ。それが後世、あっけらかんと活字になって、だれでも手にとれる」との主張が繰り返され、著者の一貫した町民への温かいまなざしが手に取るようである。
(854字)





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最終更新日  2011年08月29日 17時41分09秒


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【谷中コミュニティセンター図書室の本めくり 一覧】

「コミュニティと図書室のより良き関係づくりに向けて、1日1冊紹介中」


■【40】『たのしいそろばん教室』加山和男
■【39】『痛恨の江戸東京史』青山やすし
■【38】『羽生善治のやさしいこども将棋入門 』羽生善治監修
■【37】『サザエさん一家の公的保険 』梅本達司
■【36】『科学と神秘のあいだ 』 菊池誠
■【35】『たすけ鬼』 細越健一
■【34】『子どもの脳と仮想世界-教室から見えるデジタルっ子の今』戸塚滝登
■【33】『血液6000キロの旅-ワンダーランドとしての人体』坂井建雄

【32】『経理のおしごと手帖』小泉禎久

■【31】『まちの図書館でしらべる』「まちの図書館でしらべる」編集委員会 編
■【30】『「熈(き)代勝覧」の日本橋-活気にあふれた江戸の町』小澤弘、小林忠
■【29】『底抜けブラックバス大騒動』池田清彦
■【28】『もっと分解マニア!』三推社出版部編 編
■【27】『たまらねぇ場所築地魚河岸』生田與克
■【26】『猫の客』平出隆
■【25】『自然界をゆるがす「臨界点」の謎-宇宙・生命・物質のすがたはこうして一変する』矢沢 潔 ほか
■【24】『盲ろう者への通訳・介助-「光」と「音」を伝えるための方法と技術』全国盲ろう者協会 編著
■【23】『戦後改革と地域住民組織-占領下の都市町内会』吉原直樹
■【22】『黒板の思想』堀内 守
■【21】『澤の屋は外国人宿』澤功
■【20】『日本のPL法を考える-市民と科学の目で見た製造物責任法』杉本泰治
■【19】『伊東忠太動物園』藤森照信 編・文、増田彰久 写真、伊東忠太 絵・文
■【18】『リカちゃん生まれます』小島康宏
■【17】『夢、一直線』吉村作治
■【16】『禁じられた江戸風俗』塩見鮮一郎
■【15】『改定 国民の財産 消防団』後藤一蔵
■【14】『子どもに本を買ってあげる前に読む本-現代子どもの本事情』赤木かん子
■【13】『ロープとひも結び百科』富田光紀 監修
■【12】『じょうぶな子にな~れ』子どものむし歯予防研究会
■【11】『ストリートの思想-転換期としての1990年代』毛利嘉孝
■【10】『震災日誌』染川藍泉
■【09】『街場のメディア論』内田樹
■【08】『新交通システム建設物語』「新交通システム建設物語」執筆委員会
■【07】『金四郎三代記-谷中人物叢話』浅尾丁策
■【06】『布のちから』田中優子
■【05】『「退化」の進化学』犬塚則久
■【04】『珈琲事典』新星出版社編
■【03】『橋をかける-川と水のくらし』大竹三郎著
■【02】『ゲゲゲの鬼太郎 妖怪パーフェクトBOOK』水木しげる監修
■【01】『地震の大常識』溝上恵

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