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2011年07月05日 楽天プロフィール Add to Google XML

 「レインツリーの国」    有川浩 今日どんな本をよみましたか?(198818)」
[ テーマ日記 ]    



―「普通の女の子」として、愛されたくて




なんて胸が苦しくなる本だろうか、
「幸せになってくれ、なってくれ」とこれほど願いながら読んだ物語はないと思った。
喧嘩のやり取り。健常者と障害者の越えられない壁。正論と意地の応酬。
痛々しくて、傷付いていく主人公二人が見ていられなかった。
けれど怖いもの見たさと言うか、思わず何度も読んじゃうんですよね(笑)。
伸とひとみの言葉の選び方が好きなアタシは、有川さんの言葉の選び方が好きなんだなあと
つまりそういうこと。




とある討論の中でも、こんなやりとりがあった。
障がい者への差別や偏見をなくすには、まずは知ってもらうこと。
知ることで周りのサポートも変わってくるし、気遣われやすくなる。
しかしその意見に、「障がい者は必ずしも周囲に自分の存在を知られたいわけではない。」という意見が対立した。
知られることで自分が好奇の目に晒されたり、逆に差別や偏見を引き起こしたりする可能性もある。
思いやられたり気遣われるのが嫌だ、平等に扱ってほしいと思う障がい者も多いという意見も出た。
そこでよぎったのが「レインツリーの国」だ。
この小説は突発性難聴にかかった『ひとみ』が、健聴者の『伸』と惹かれあう中で障がい者と健常者の壁を乗り越えていこうともがく様子が描かれたものだ。
その小説の、とある言葉に引っかかった。

「ああいう人が私の障害知らされたからって、後からでも『知らないからひどいことしちゃったね』なんて思うと思いますか?
あいつらキレイごと押しつけてウザイ、むかつく、恥かかされたくらいにしか思いませんよ。
そんで『障害者はウザイ』しか記憶に残らないんですよ、どうせ」


自分が障がい者であることに大きなコンプレックスを抱えるひとみは、彼女を突き飛ばしたカップルに怒声を上げる伸をなだめてこう言うのだ。
どうせわかってもらえない、だったら自分の障がいを他人にひけらかすのはやめてくれと。
私たち健常者は、知らせてほしいと思う気持ちが大きい。
しかし障がい者にも、知られたくないという気持ちが大きいのだろう。
特に、突発的に障がいを抱えてしまったひとみのような障がい者には、その気持ちが大きいと思う。
自分が健常者であった時の記憶がある分、受け入れるにも時間がかかるし受け入れたくない気持ちは強いだろう。





そもそも、ひとみがそう思うのは何故だろう?
今まで障がい者と分かると邪険にされたり、手を貸してもらう度に憐れみの目で見られたのかもしれない。
それは健常者側から障がいを作り上げていくことになる。
ならば健常者側はどんな気持ちで待てばいいか。
簡単だ。困っている人がいたら助ける。しかもなるべく自然に。
また、優しくできないならば近付かないほうがいいと思うのは自分の未熟な極論だろうか。
健常者同士だってどうしてもウマの合わない人間はいる。
そんな人とは近付かないのが普通だろう。それと一緒だ。なんら悪いことではない。
しかしそう考えると、ひとみの言葉は正しく思えてくる。
それではいけない、社会参加のためには全ての人が障がい者を受け入れるべきなのだという気持ちも確かにあるのだが、とても難しい問題である。




だったら、障がいとはなんだ?
ひとみの場合、難聴であるということ以上に大きな障がいがあると思う。
それは壁を取り払おうとしないことだ。
ひとみと伸のやり取りの中で、こんな伸の言葉がある。

「障害のことは「そんなの健聴者の伸さんには分からない!」で終わりやし。ちょっと卑怯やでそれ。
俺、どんなに頑張っても障害のことなんか本当にはわからへんもん。
最初から分かるはずのないもん、「分からんから言うても無駄や」で逃げられたら話をしたい俺は置いてけぼりや。」


ひとみは障がいに対しての伸との些細な考え方を拾って、「ほら、(健常者と障害者の)壁を越えられない」というのだ。
どうせ分かってもらえない、違う境遇なんだからと諦めて、世界を閉ざしてしまうこと。
それが一番の「障がい」ではないかと思う。
むしろ、わかってほしくないのかもしれない。
本当に理解してその上で「面倒だ」と離れていかれることも怖いし、少し理解しただけで分かった風な口を聞かれるのも嫌だ。
しかし、それは障がい者と健常者のみに言えることではない。
そんな悩み、万人共通ではないかと思う。
健常者同士だって他人であり、逆に障がい者同士だって他人なのだ。
障がい者と健常者の間のみにある壁のように思えるが、そうではない。
その「他人に分かってもらえない」と思う気持ちを壁にして、閉じこもってほしくないと思う。
尚更生活に不自由が出て、障がいが露呈するだけだろう。
もっと心を開いてほしい。そのために、私達健常者はもっと障がい者優しく受け入れるべきだと思う。
それは本当に特別扱いなんだろうか?
健常者にだって「かわいそうだ、助けてあげたい」と思うことは不自然ではない。
だったら障がい者に対してそう思うこともなんら特別ではないのではないか?
「障がい者だから」、と思うこと。それが何よりの「障がい」だと私は思う。




ここまでが「障害とはなにか」というレポート(笑)。
学校提出用なので堅いですが。










最後に両想いになった時は(まあ結構序盤から好き合っているんですが)
すごい嬉しかったですね。
すれ違いの多かった二人だから余計に・・・。
そしてフェアリーゲームの意味。
あの登場人物の決断を話し合った意味。
まあ小説に意味のない部分なんてないのが当たり前なんですけど、
あとからわかって思わずじーんとしてしまった。

決めるのは二人。
いけるところまでいこう。
辛くなったら降りればいいんだ。


一人で抱え込むなと、壁を作るなと
伸は言う。ひとみは、それを受け入れた。
お互い面倒くさい性格ですが自分も少しずつ二人に似てて、
どっちにも感情移入できてすごく面白く読めました!


健常者の言い分、
障害者の言い分。
わかりあえる日は来ないと思う。本気でお互いがぶつかりあわない限り。
全ての障害者さんが、ぶつかりあえる人をみつけられればいいなあと願います。


最終更新日  2011年07月06日 01時10分51秒
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