【
ジョン・レノン】没後25年、12月8日のニューヨーク・セントラルパークには大勢のレノン信者が集まったようですね。区切りの25年と言うことで世界中から集まったファンが氷点下の寒さの中数百人も集いました。
実はジョンのアルバムの中では、『WALLS AND BRIDGES』が一番好きです。『ジョンの魂』『イマジン』『ダブル・ファンタジー』あたりが話題になることが多いような気がするのですが……
ジョンの全ソロアルバムの中で、このアルバムだけにしかない決定的な違いがあります。それはオノヨーコが制作に関わっていないこと。ヨーコの存在が無い事です。
オノヨーコとの別居状態にあったこの時期、生活が荒れ【
キース・ムーン】や【
ハリー・ニルソン】と飲んだくれの酒浸りの毎日。何度も家に帰りたいとヨーコに電話を掛けていたそうですが、「あなたはまだ帰れる状態じゃないわ」と言われ、再び酒に溺れる毎日だったそうです。
アルバムの中の「WHATEVER GETS YOU THRU THE NIGHT」(真夜中を突っ走れ)は【
エルトン・ジョン】との共演で、〔もしこの曲が全米No.1になったらステージに上がっても良いよ〕という約束をエルトン・ジョンとしたところ、本当にNo.1ヒットになってしまい、1974年11月マジソン・スクウェア・ガーデンで行われたコンサートでのゲスト出演が実現しました。
この時客席で、ジョンのステージを見ていたヨーコはジョンの淋しそうな様子にたまらなくなり、終演後のバックステージでジョンと再会し1年以上続いた別居生活に終わりを告げたのでした。
《NOBODY LOVES YOU》
♪疲れて消耗している時にこそ
愛して欲しいのに
それがだめな今の世の中
高みに達しているときの私こそ
認めてほしいのに
それがだめな今の世の中
毎日毎日お金であくせくして
おたがいがおたがいを
ひっかき傷つけ合う。
君には僕のすべてを見せてきたし
本当のことを言ってきたつもりさ
なのに、君は愛しているの?と訪ねる
結局僕はショービジネスの枠の中で
自分を露呈してきただけ
そして今の世の中
自分一人のことで手一杯
君が死んだときぐらいだよ
みんなが君をいとおしんでくれるのは♪
音的には「WHAT YOU GOT」などホーン・セクションの導入などファンキーで作品としての完成度を感じるアルバムでもあって聴き応えはあるし、「BLESS YOU」などに普遍的な愛を聴き取れて夢心地にもなります。「STEEL AND GLASS」のストリングスアレンジも過去のジョン作品に無かったものです。
《BLESS YOU》
♪僕たちが翼を大きく広げたいま
僕たちは知っている
空しい響きは過去の谺でしかないことを
幸あれ あなたが誰であろうとも
いとしいひとを胸に抱き
暖かく優しい心の持ち主であれ
愛は不思議なもの
されど 愛は消えることなく
永遠に…♪
『
アンソロジー』の中の音源はもっと孤独感がビンビン伝わってきて、寂しげなジョンが痛々しいくらいなのですが、
『WALLS AND BRIDGES』の方はナチュラルにまとめ上げられた作品に聞こえます。
「#9 DREAM」は後にネオアコの【
ドリーム・アカデミー】が取り上げているように、ドリーミィポップで抽象的な作風の異色作です。大好きな曲です。
アナログ盤のジャケットはジョン自身が幼少の頃に書いた特殊ジャケットの絵で、
馬にまたがったインディアンが銃口を正面に向けた構図になっていて、通常の子供の発想とは思えない大胆さ鋭さでびっくりしました。
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