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2012年02月09日 楽天プロフィール Add to Google XML

「おもい」
[ 百年の家 ]    



かなり長くなりますが、悶々としていた事を纏めました。

興味を持っていただいた方には最後までお付き合い下さい。



昨年末、本当に残念な事がありました。

県道が拡張される為の立ち退きに伴い、

新築の計画を進めていた一人住まいの68歳お客様がおられました。

そのお客様は数年前に脳梗塞で倒れられ、半身不自由な生活をされておられました。

そのお住まいは茅葺き屋根の百年以上経った建物で、当然段差も多く、

隙間風も入って高齢者(特にこのお客様)には不向きな家でした。

今年に入って工事着工し春には引越しの予定だったのに、

昨年末に脳内出血でお亡くなりになられました。

ご自宅で倒れられ孤独死たったそうです。

朴報を聞き私はすごく無念でなりませんでした。

この冬までに引越ししていただいていたら、もっと長生きしていただけたのにと、

現実を直ぐに受け入れる事が出来ませんでした。

脳梗塞、ヒートショック等家の中でお亡くなりになられる方、

また命は助かっても体が不自由になられた方など合わせると、

一年間で2~3万人以上おられるそうです。

地域別に見ると寒い東北地方での発生が一番多いのですが、

もっと寒い北海道は東北地方に比べ少ないのです。

何故でしょうか。

それは北海道の住宅の断熱・気密性能は高く、きっちり家中暖房がされているからです。

家の性能が向上する事で悲しい家の中での事故を未然に防ぐ事が出来ているのです。

このように現在では北海道の住宅の断熱性能・技術は高いのですが、

そうなるまでには色んな問題もあったそうです。中でも有名な話がナミタダケ被害です。


「住宅が危ない!」より

北海道では冬の寒さから、とにかく暖かい住宅を求めていました。

しかし暖房費がかさむので、もっと燃費のかからない住宅を追求するようになります。

そこで登場したのがグラスウール断熱材です。

昭和50年代、北海道では住宅の断熱化への関心が高まり、

壁、床、天井に100mmのグラスウールを入れるようになりました。

ところが、家はぜんぜん暖かくならず、逆に「ナミダタケ事件」という悲劇が起きたのです。

「ナミダタケ」はキノコのように大きく増殖して木材を腐らせる腐朽菌です。

この状況に室蘭工業大学の鎌田教授が登場。

断熱材に結露する原因が、在来工法の致命的な欠点である

通気性にあることを指摘したのです。

湿度は、その性質上、湿度の高い側から低い側へ移動していくことが知られており、

暖房で暖められた空気や湿度が壁を通り抜け、断熱材の中に入り込む。

断熱材の外側部分は当然温度が低いので断熱材内部で結露を発生。

そこにグラスウールがあると結露水がどんどん吸収されて、「

水をたっぷり吸った綿」の状態に。そしてナミダタケが発生し、構造部材を腐らせます。

その後、春になれば腐った木材にシロアリがやってきます。

ほんとにおそろしいことです。

結露は常に家の中でもっとも断熱的に弱い部分から先に発生します。

家を解体する現場に立ち会ってみると、床や土台が腐っていたり、

外壁をはがすとグラスウールが真っ黒に変色して柱が腐っているという光景が見られます。

結果、内部結露を防ぐためには断熱材よりも室内側に湿気を通過させない

防湿層が必要であることを提唱しました。

そして気密シートや気密テープを使って気密工事を行う改良型在来工法を

「新在来工法」としてマニュアルにまとめ、発表。

これが気密施工の始まりです。

つまり高気密の初めの目的は家を高気密にするのではなく、

断熱材を保護するためだったのです。



ベーパーバリア.JPG


建築家の誰もが自分の考えが一番正しいと思っています。

それぞれの家づくりのこだわりが勿論あり、

それがデザイン・伝統工法・自然素材・耐震性などなどそれぞれあると思います。

しかしそれが建築家のこだわりだけのエゴであってはいけません。

クライアントはデザイン・自然素材など見た目重視を望むのが普通で、

その希望に対してのクオリティーは高い提案をしなければなりません。

しかしプロの建築家として建築基準法に準じる事は勿論ですが、

国交省が纏めた指針である自立循環型住宅に基づいた項目の、

断熱・気密性能、換気、自然エネルギー利用なども考えながら

設計していかなければなりません。

単に従うだけでなく、すべて家全体の性能を上げる要素だと

プロなら知っているべきなのです。

むろん、より効果的な施工法と技術を伴うことも至極当然に要求されます。




古来「家の作りやうは夏を旨とすべし」という考え方あり

近くの山の木、土、草で家を建てて来ました。

その伝統工法を継承していく事は大事な事と思います。

しかし、断熱・気密、建材、工法の進化に伴い、

「家のつくりやうは四季を旨とすべし」と進化しました。

それなのに古来の伝統工法の手刻み、自然素材の多用こそがほんまもんの家や!

と言う建築家や、低価格だけにこだわって建てられた形だけの家、

などなど住まわれる家族の事を一番に考えなければならないのに、

もっと大事な事を無視した家が現在でも多く建てられています。



クライアントよりはるかに正しい知識や経験も豊富でなければならない建築家が、

間違った知識で家を建てると大変な事になります。

一例ですが、土壁で真壁方法の住宅の断熱性能を高める為に、

土壁の外部に透湿抵抗の低い発泡ボード系外張り断熱をしているという家がありました。

確かに断熱性能は向上しますが、土壁の本来の粘りの素である納豆菌は、

外張り断熱材によって結露しにくくなり、

水分が減少することで納豆菌は本来の働きをせず死んでしまいます。

そもそも真壁の建築で使われていた土壁は結露する事で、

納豆菌が繁殖し強度を保ってきたのです。

住まなくなった空家の壁が落ちている家を見かけますが、

人が住まなくなって水蒸気が発生しなくなった家は、

納豆菌が死に乾燥し壁が崩れてしまいます。

古来工法土壁と断熱材は間違った使い方をすると、

土壁の良さを殺してしまう事になります。


土壁バージョン.jpg


こんな家もありました。

NASAを中心とした宇宙開発で生まれた

アルミ遮熱材の住宅向けの商品が発売されています。

「グラスウール16Kの110mm程度の断熱効果」なんて書かれているメーカーもあります。

梱包に使われるポリエチレンの気泡シートの両面にアルミ箔を貼っただけのものが

それと同等とはどうも信用できません。

しかしメーカーを信じて断熱材無しで、遮熱シートだけで施工された家を見ました。

熱の伝わり方は伝導・対流・放射この3つです。

放射だけ止めても伝導・対流はこのシートだけで十分な断熱ができるのでしょうか。

それよりも暖房で暖められた空気や湿度が壁を通り抜けることで壁の中に入り込みます。

外壁に面している遮熱シートの内側は当然温度が低いので

ナミダタケ事件同様に内部で結露を発生します。

遮熱シートの内側で結露した水滴がどうなっているかのほうが心配です。

仮に断熱材を入れたとしても同じように壁体内で結露が発生します。

アルミ箔が貼られた遮熱シートは水蒸気が透過しない為、

結露した水分は断熱材を濡らしたままの状態になります。

その後は恐ろしい状態です。

断熱力の低下、腐朽筋の増殖、カビが発生、ダニが増殖、

アレルゲンが室内に浮遊する等が考えられます。


遮熱シートバージョン.jpg


水蒸気の性質を纏めた資料も参考にして下さい。


水蒸気.JPG


移動.JPG


結露.JPG



誰もが良かれと思って設計・施工していますが、間違いも多く有るのです。

しかしその家には紛れもなく人が生活しているのです。

私自身も良かれと思って施工した断熱方法で、

軒裏を結露させてしまった失敗もあります。

岡田先生のご指導により原因を知り改善出来ましたが、

無知による施工ミスでした。



「百年の家プロジェクトの顧問岡田 好勝先生」のコメントで

凄く共感しましたので紹介します。

果たしてどれだけの建築家が下記の間違いに気が付くでしょうか?

正確に読み取ることが出来るのでしょうか?


読み取るチカラ

ある家を解体したところ

壁の中から、真っ黒に変色したグラスウールが出てきた

建築家は、黒カビだと思い、やはりグラスウールはダメだと思った

ある日、町を歩いていると外壁が真っ黒に汚れている家を発見した

建築家は、モルタル仕上げは汚れやすいと思った

建築家の自宅は古い家で、とても寒い

冬の暖房は、主にコタツだ

年間の光熱費は84000円ほどだ

日本人の慎ましやかな暮らしは美しく

コタツは最も優れた暖房であり

頭寒足熱が

理にかなっていると思った

そもそも、

環境が良くなりすぎると

身体が弱くなる



思った

情報を解析する作業はとても難しい

注意深く

多角的に

読み取らなければならない

即断してはいけない

決め付けてはいけない

自分が体感したことであっても

その感覚の根幹に勘違いが働いているかもしれない

「思った」

では、いけない

確認しなければならない

建築家は

確認しなければならない立場で

仕事をしている

「確認した」



纏めたい

建築家諸君上記三点を確認されたい

フェイスブックより




建築家の想像で家づくりをしてはいけないし、

建材メーカーのデータや言葉を信用してしてもいけない。

我々は科学的根拠に基づいた考え方と、

机上データでは無く実際のデータの蓄積により性能を高めていき、

「我慢して節電生活ではなく、快適で省エネ生活」

の出来る家づくりを追求し続けていきます。



家は一番に家族が健康で安心して暮らせる為になければない。

そのための構造・性能が長持ちしなければならない。

それを家守りする我々も長く地域に根ざしていかなければならないと思います。




現在建築中の「おうみ百年の家PROJECT」のモデルハウスは色んな思いが詰まっています。

2月11・12日の構造見学会で疑問に思った事を、

3月18日の「家づくりのさし5百人塾」で岡田先生のお話を聴いて頂き、

3月末にOPENするモデルハウスで確認していただける様に準備しております。

オープン後約2年間いつでも自由にご見学していただけますし、

宿泊体験もしていただけます。

滋賀県産材を構造に使用した木の温かみのある内装でありながら、

最高レベルの断熱・気密性能とDSDD換気システムを兼ね備えた

最新の「百年仕様」はいつでも快適な室内空間で

皆様のお越しをお待ちしております。




長文お付き合いいただいた方ありがとう御座いました。













最終更新日  2012年02月09日 13時03分35秒
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