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テーマ:心の病(7505)
カテゴリ:マジネタ、硬派記事
鬱のお薬、抗うつ薬の効能書きを見ると、たいてい
「気分を落ち着かせ、意欲を高める」と書いてあります。 やはり何か、気分や意欲、こころに効きそうな感じを読む者に与えます。 もっとすごいのになると「気持ちを明るくする」とか...。 これではまるで、悲しい時に服むとハッピーになれるみたいです(で、私は「麻薬かよっ!」とか思っちゃったりします)。 何度も繰り返しますが、気持ちやこころに直接作用する薬なんてないです。 だいたいにおいて、悲しくなるような出来事や事情があって悲しくなってるときには、ちゃんと悲しんだ方がいいに決まってます。 鬱は、「悲しい」という気持ちすら感じられず、ただひたすら辛い、なんで辛いのかも分からないくらい辛い。...と皆さんおっしゃいます。 抗うつ薬を服んでおられる方の実感としては、はじめ、服むとよけいに疲れやすくなったり、疲れが出やすくなったりするみたいです。 「意欲を高めるなんてとんでもない。真逆で、眠ってばかりいた。意欲が出るはずの薬を服んで寝てばかりになったから、気分はよけいに落ち込んで暗くなった」。だから「副作用しか出なかった」とおっしゃる方、とても多いです。 説明書きの副作用情報のところに「眠気」とか書いてあるから、そう思うの当然です。 ですが抗うつ薬を服んで眠くなるのは、副作用ではなく、ちゃんとした作用です。 そもそも、最初に服んだとき効きすぎるというのは「こころの薬」に限らずよくあることです。このことくらいきちんと説明しておいてほしいです。 これ(効きすぎ)は「酵素誘導」という“薬の効果をほどよく源弱させる身体の働き”が起こってくるまでの、一過性の現象であることが多い(熊木徹夫:精神科のくすりを語ろう.2007,28ページ)ということもあわせて。 そうじゃないと、ご本人やご家族、周りの方がビックリして、服むのを止める/止めさせられても無理はないと思います。 「眠気」に関しては、 抗うつ剤は身体の機能を休息に向かわせる作用がある(中井久夫:看護のための精神医学第2版2004,170ページ)というのが一番正確な情報提供で、気分を落ち着かせるだの意欲を高めるだの気持ちを明るくするだのといった『身体が休息できた結果による二次的効果』を、あたかも一次効果と書いたり説明したりするのは、実は科学的な態度も何でもないのではないか?とか、トンデモと変わらないんじゃないか?とすら思うわけです。 トンデモついでに書くけど、『早起きしたら鬱は良くなる』みたいなことを書き散らかしているトンデモ疑似科学な人、います。その人が書いた本、何冊もあります。何度も同じ言葉使うけれども、アレ、トンデモ本で、オカルトコーナーにでもおいとくのが正しい書店としての姿です。 腹立たしいのは、JR札幌駅周辺の書店で、あのう○こ本を心理学とか精神医学以外のコーナーに置いてあるのは大丸札幌店の中にある三省堂だけですね。他は紀伊國屋書店も旭屋も心理学とか精神医学のコーナーに置いてある。ぷんすか!...あ、文体がいつものおちゃらけに変わってしまった...いかんいかん。 話を元に戻します。 抗うつ剤は非常に有効である。しかし、心身の休養とあいまっての話である。(身体機能を休息に向かわせる作用のある)抗うつ剤をのみながら働くと、正反対の方向のことを同時にやることとなり、薬の副作用だけが出たりすることとなります。一般に服用後1~2週間後に効果が出現するといわれるが、休息しながら服用すればすぐにでも効果が出ることは、きめ細やかに観察...というか『関与しながらの観察(関与的観察と言われることもあります)』している人ならば、誰でも知ってることです。 ―私の経験では、鬱の方は質問に対する表情や態度の流れ、変化がコンマ何秒か遅れるのですが(だから、写真を撮るときの「チーズ」も一瞬遅れるので、能面のような表情で写ったりします)、その遅れが軽くなります。また、速く浅い呼吸が、それまでよりも深くゆっくりとしたものになります。 うつ病の人にとって第一に大切なことは、心身ともに休息をとることですし、一日中寝ていても良い。訓練とか修養といったものはすべて有害だったりします。 この項の青字は中井久夫.前掲書.168~170ページ. 早起きはもっともっとずっと良くなってからですし、気分が落ち着いて、意欲が出たり気持ちが明るくなる...と自覚できるのも、たいがいの場合休息がちゃんと確保できてからのこととなります。 ...だいたいね、ヘンな早起きは『早朝覚醒』って言って、うつの症状だったりするんですよ。 ...なんか文体がゴチャゴチャになってしまったですね。すんません。 人気blogランキングへ
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