あらためて言うことでもないのですが、本のタイトルをどのようなものにするかというのは、本当に難しいものです。 編集者は、その本の内容を最も象徴する一言でありながら、読者にインパクトを与えられる表現をひねり出そうと、いつも悪戦苦闘をしています。
いくら本の内容がすばらしいものであっても (ここで言うすばらしいとは、特に品があるとか、学問的に価値が高いということではなく、その本がターゲットとする読者に受け入れられるような内容になっていると編集者自身が自信を持って言えるということ) 、そのタイトルがいまひとつだと、売れるものも売れなくなってしまいます。
そういう意味で、 “ (売れる) タイトルの付け方” ということに編集者はとても関心をもっているわけですが、 タイトルのところを 「商品名」 とすれば、 これは編集者だけではなく、 商品開発 ・販売に関わっているすべての人たちにとっての関心事となると思います。
私は数年前から、本のタイトルを考えるときに、次のようなポイント (条件) を新しく加えるようになりました。 そのポイントというのは、 “そのタイトルはネットでの検索にかかりやすいか” ということです。
出版社にとって、街中の書店は言うまでもなく、ネット書店も無視できない (売上げに大いに貢献している) 存在となっています。 そして、それと同時に、 「ネットで検索してから本を買う」 というスタイルをとる人たちがとても多くなりました。 そのため、その本のタイトルが読者に検索されやすいかどうかということが、とても重要なポイントになっていると思います。
検索にかからないような (あまりにひねり過ぎて、誰も思いつかないような言葉で構成された) タイトルを付けてしまうと、いくらその本の内容がすばらしいと言っても、読者にその存在すら知られないままに終わってしまうということも大いにありうるわけです。 そんなこともあって、 私の場合は何かうまいタイトルが浮かぶと、 「このタイトルには検索されやすい言葉が含まれているか」 ということを意識して考えるようになりました。
“検索してから本を買う” というライフスタイルが広がっているということを踏まえ、編集者としては逆にそれをうまく利用していくことも大切なのではないかと思っています。