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テーマ:映画館で観た映画(8310)
カテゴリ:洋画(05・06)
(まずは映画と関係ない話から)
皆さんはご存知でしたか? 正規もパートも突然の一方的解雇なんて出来ないことを。 残業が出来るのは36協定を結んでいる場合だけだということを。 しかもその場合は25%以上、22時以降の場合は50%以上の割増賃金を払わなくてはならないということを。 サービス残業は上司が黙認しても、法的に罰せられるということを。 パートでも6ヶ月以上働いたら、10日間の有給休暇を申請できるということを。 労働安全衛生法によって労使双方からなる労働安全推進委員会を開く「義務」があることを 健康診断の実施も照明の基準(普通作業で150ルクス以上)も法律で義務つけられていることを 労基法の基本を労働者も使用者さえも丸きり知らない人が多いということを。 労働組合をつくろうとしたら名誉毀損で逆提訴されたり 一年中、休みなしで働いて労働者使用者とも体壊すまでなんとも思わなかったことも。 そんな事例、掃いて捨てるほど満ち満ちていることを 「スタンドアップ」(原題 North Countory) 監督 : ニキ・カーロ 出演 : シャーリーズ・セロン フランシス・マクドーマンド ウディ・ハレルソン ショーン・ビーン DVでシングルマザーになったジョージーは、ミネソタ州の鉄鋼山で働き始める。1989年。男対女の割合は30対1。職場では、男性社会に進出してきた女性に対する会社ぐるみの厳しい洗礼と、屈辱的な嫌がらせが待っていた。医者による妊娠診断からはじまり、卑猥な落書き、度の過ぎた悪戯、恥辱行為、レイプ未遂、会社の解雇勧告、守ってくれない労組……。モデルになったエベレス鉱山におけるルイス・ジョンソン裁判はセクハラ訴訟の嚆矢となった。セクハラが社会的に認知されたのはほんのこの10年ほどである。 ジョージーは「これは女性みんなの問題よ」という。 しかし誰も訴えでようとはしない。生活がかかっているからだ。 かっこつけて出来る様な話ではない。 シャリーズ・セロンは今回も堂々とした少しかっこ悪い母親役をやった。 「ノイズ」みたいなつまらない映画でも彼女の顔を観ているだけで幸せな二時間が過ぎていた昔が夢のようだ。いまや押しも押されぬオスカー女優である。脇も渋めで固めて見応えのある二時間だった。今年最初の収穫。こんなことがあるから映画鑑賞はやめられない。 単なるセクハラ裁判の話ではない。 勇気ある人々の物語である。 ジョージーは四面楚歌の中ひとり立ち上がる。 途中、思いがけない人々が立ち上がるのであるが、私は泣いた。 立ち上がる人々に泣いた。 世の中きれいごとではやっていけない。 でも黙っていてはもっとひどくなることばかりだ。 私はついつい現代の日本社会のことを考えてしまう。 労基法があるからといって単純な話ではない。 はいそうですか、といって使用者は未払い賃金は払わない。 労働基準局にちくる、労働110番に電話する、一人でも入れる労組に入る、 ともかくも 一人でも立ち上がれ、一人でも立ち上がれ、一人でも立ち上がれ。 けれども一人では闘えない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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