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カテゴリ:平和運動
2000年8月愛媛県道後温泉にぶらり旅をした。お城から北のほうに歩いていって、突き当りを右に曲がっていくと、きっと坊ちゃん湯で有名な道後温泉に突き当たるだろうと歩いていくと、左手側に山頭火の最後の棲家になった一草庵が残っていたので、寄ってみた。普通の平屋だった。
種田山頭火(1882-1940)山口県防府市生まれ。本名正一。少年期に母が自殺。早大文学科中退。帰郷して酒造業を営むが、破産、流転。熊本市報恩寺で出家得度し、味取観音堂守となる。1926年から行乞流転の旅に出る。32年小郡市一時住む。40年松山市一草庵で泥酔頓死。 この庵に住むことにしたとき、彼はこんな句を詠んだという。 おちついて死ねさうな草枯るる 句集にはそれに続いてこんなつぶやきも書かれている。 (死ぬることは生まれることよりもむつかしいと、老来しみじみ感じないではいられない)彼は随筆でこんなことも書いている。 「私は、わがままな念願を抱いている。生きている間はできるだけ感情を偽らずに生きたい。これが第一の念願である。言いかえれば、好きなものを好きといい、嫌いなものを嫌いといいたい。やりたい事をやって、したくないことをしないやうになりたいのである。そして第二の念願は、死ぬる時は端的に死にたい。俗にいふ「コロリ往生」を遂げることである」 彼はまさにそのようにして死んだ。死んだときは前夜このあばら家で句会を開き、山頭火は酔いつぶれて先に寝てしまう。客人たちはいつものことだと思いめいめいに散会する。山頭火が死んだのはその夜の午前四時ごろ、心臓麻痺だといわれている。享年58歳。今なら若い。当時なら寿命だっただろう。 こんな句を残している。 銭がない物がない歯がない一人 山頭火には本当に金がなかった。でもこんな死にかたが出来たのは、幸運とともに、彼を世話する周りの人がいたからに他ならない。今ならこんな男の末路は悲惨の一語に尽きる。そしてこれからさらに悲惨になる。 医療制度改革法案が衆院を通過した。 (1)現役世代並みに所得のある(夫婦世帯で年収520万円以上)比較的豊かな七十歳以上の医療費窓口負担を、今年十月に現行の2割から3割に引き上げる (2)一般的な所得の70~74歳の窓口負担は、2008年4月に現行の原則1割から2割に引き上げる (3)2008年四月から75歳以上が加入する公的医療保険制度を新設 (4)長期入院患者が入る介護療養型医療施設を、2012年4月までに廃止- これに関して書こうと思ったことはそういちさんが「医は算術也」 で書いていて、「背景は「年次改革要望書」」とズハリついている。「郵政改革後の簡易保険120兆円を巡り、米国損保会社にも参入させろという要望、混合診療の全面解禁も、米国の製薬業界、医療サービス業界、保険業界などの大企業を日本の医療界に参入させるために、米国が要求している。」「医療業界は、株式会社化への道を進み始め、混合診療などが本格導入されれば、金持ちしかまともな医療が受けられない社会が到来する。」アメリカと同じように、医療費は金がかかり、自分で保険に入ってまかなうもの、という社会がやってくる。今回の負担増はそのための下地作りの仕上げの部分に入るのだろう。どうしてこんなことになってしまうのか。なぜ許してしまうのか。国民は今までの負担増と同じだと思っているからだ。 もうずっと前、一般医療費の一割負担が二割に上がろうとしたとき、私は岡山からバスに詰められて東京に行き、初めて10万人集まった集会とそこから始まる延々と続くデモ行進というのを体験した。地方の人間は早めにデモに出発できた。帰りのバスで高速を乗ったとき、まだ延々とデモ行進が続いているのを見ることが出来て感動したことを覚えている。マスメディアはほぼ無視をした。しかしあれが日本のデモ行進でおそらく最大のものだったのである。今回は全くといっていいほど反対運動を起こすことが出来なかった。確かに今は二割負担どころか三割になって、それでも日本国民は暴動をまだ起こしていないのだから、何とか我慢出来ているのだろう。でも、今回の負担増ははたして我慢出来るのだろうか。 老人医療費が一割から二割に上がるのは、一般医療費とは意味が違う。一般と老人では、年収は何倍も違うのだから。年金収入100万以下の老人は掃いて捨てるぐらい居るだろうし、これからはもっと増えるだろう。そして年収に対する負担率は今までの医療費の比ではない。しかし、かかる病気は老人のほうが間違いなく深刻だ。平均寿命は男76歳女84歳。これは、車も持たず、食品添加物も摂取せずに大人になった人たちの平均寿命のことで、現在40~75歳の男の二人に一人はメタボリック症候群(生活習慣病予備群)なのだから、老人になる前後に癌や脳卒中など高額医療の世話になると考えておいたほうが良い。今の中年たちは、アメリカのようにドンドン医療費破産が増えていくだろう。アリコやアフラックだけがドンドン肥えていくわけである。 ホテルコスト導入、障害者への負担強化、今回の医療改悪で減らされる年間の国費は、合計で約三千二百六十億円。一方在日米軍再編のためにつぎ込もうという3兆円を年間計画の6年で割ると、年5千億円。なんだ、要らないお金をアメリカにあげなけれりゃまかなえるじゃん。専門的なことはわからない。けれども、こんな負担増はばかげている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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