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再出発日記

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2006年06月01日
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『ブッシュの戦争』を支えているものは何か、もしキリスト教信者が彼を支えているのだとしたら、キリストは教はブッシュを後押ししているのか、それとも見て見ぬ振りをしているのか、それとも反対の声を上げることの出来ないような状況にあるのか、というようなことをしばらく考えている。そのことは、アメリカの未来を考えることになるだろうと推測するからである。そしてそのことは、日本の未来を推測することになるだろうと思うからである。

もちろん戦争の原因に宗教を持ち出そうというわけではない。戦争原因の分析は他で十二分にしているだろう。私の知りたいのは個人の運命だ。私のキリスト教信者のイメージは例えば「賀川豊彦」自ら貧民街でもがき苦しみ、部落差別運動、生協運動のパイオニアとして、結果的には平和運動の先頭に立ってがんばった人。例えば「内村鑑三」明治時代キリスト教の理論で持って非戦の思想をうちたてた人だ。総じて彼らは平和主義者である。そのことと、ブッシュを支えているといわれているキリスト教右派というものの姿がどうしても重ならない。同じ聖書を読みながら何故違いが出るのだろう。

キリスト教の神学者である栗林輝夫氏の「キリスト教帝国アメリカ」(キリスト新聞社05.5月刊)を案内者として考えてみたい。

2001年9月20日、ブッシュは議会で次のように発言している。「自由と恐怖、正義と野蛮は絶えず抗争を続けてきた。そしてわれわれは、その間で神は中立的ではないことを知っている。」あるいは2003年の一般教書で「力がある。アメリカ国民の善の理想と信仰には奇跡を起こす力がある。」と演説した。この言葉をアメリカ国民は少なくともそのときは熱狂的に受け入れたのである。つまり救世主国家アメリカを神の位置にすえた善悪二元の神学なのである。ただしこの言葉自体はキリスト教の中では異端的な「マニ教主義のロジック」であるらしいのであるが、問題なのはいまだに保守的なキリスト教者たちはこの考えを受け入れているらしいのだ。アメリカは当然政教分離が原則である。しかし、素朴な信者たちはそのことは気にしない。

ブッシュが信者たちから支持されているのは、決してイラク戦争を戦ってきたからではないなあ、というのがこの本を読んでわかってきた。ブッシュやネオコンの願いは中東における石油利権の掌握にあるのかもしれないが、信者たちがブッシュに期待するのはそれとはあまり重ならない。

ブッシュを熱狂的に支持している層は、プロテスタントの福音派、あるいはキリスト教原理主義者だといわれている。彼らは(福音派は全てではないが)聖書に書いてあることは全て事実であるという考えを持っている。じつは2004年大統領選挙で争点になった内政問題は、財政赤字や教育、環境や社会福祉もさることながら、同性愛者同士の結婚を公的に認めるかどうかであった。道徳の退廃を彼らは一番恐れていたのである。イラク戦争の泥沼化、財政赤字で大統領選直前には敗退が予想されていたにもかかわらず、ブッシュが勝つことが出来たのは、まさにキリスト教福音派たちの頑張りによることが大きい。彼らはいろいろ問題はあるけれど、憲法を改正してまで同性愛結婚を禁止する案を構えているブッシュを支持したのである。大統領選とほぼ平行して行われた同性愛婚をめぐる住民投票では13州が反対の結果を出した。

ブッシュのキリスト教への傾倒は信頼できると彼らは見ている。ブッシュは中年のときに一次酒に溺れたのであるが、神の教えによって立ち直った経歴を持っている。「ボーン・アゲイン」といわれている。恐らくブッシュの信仰心(キリスト教の本旨に合っているかどうかはこの際検討しない)は、ホンモノなのだろう。

「宗教右派は、古きよきアメリカの伝統と価値、勤勉と倹約、骨身を惜しまない労働を復興したいと願っている。それはそれでいい。だが自助努力が必要だ。社会福祉は怠け者をつくるだけという文言が誰に向けられるかといえば、それは「少しも働かない黒人」や、社会福祉予算を食いつぶす「子沢山のヒスパニック系カトリック」の少数者である。聖書に立ち返れ、建国の美徳を復興せよ、家庭を守り勤勉であれ、宗教右派が口にするそれらのスローガンには、黒人や女性の社会進出を苦々しく思い、アメリカの現状に不満を抱く保守主義者、とりわけ白人のプロテスタントの福音派を大同団結させる力がある」(203P)

今年のアカデミー賞にノミネートされた作品群は、同性愛問題移民問題、政府と医療の癒着、マッカーシズム、中東問題パレスチナ問題女性の働く権利等々と一見全て別々の問題を扱っているように思える。政治作品がノミネートされたのは単なる偶然の様に思える。しかし、そうではなかった。これらの作品は全て一つのことでつながっている。全て、ブッシュを支持している層に対して、激しく「ノー」と言っている作品群なのだ。映画の世界では、アメリカはそういう動きを去年から(個別作品的には数年前から)始めている。そのことがやっとわかってきた。

映画だけではない。移民法に反対する何百万というデモ、ついに30%を切った政権の支持率、中南米でつぎつぎと誕生する反米政権、力をつけるユーロ、力をなくすドル、韓国における反米闘争の高まり……池澤夏樹が「最盛期は速やかに去る」と言うように、帝国アメリカの没落が始まっているのかもしれない。他国のことは他国で決めるのが民族自決の原則ではある。しかしその他国の衰退が直接自分の国の運命を握っているのだとしたら、無視することは出来ないだろう。とりわけ、他国の忠実な属国が自国なのだとしたら、衰退しつつある帝国はなりふり構わず、自国から収奪を始めるだろう。

自国の戦略はどのようにもてばいいか。2008年までの大統領選挙まで、これ以上かの国から略奪されないように防衛することがひとつあるだろう。「国際化」に関わるあらゆる法律(もちろん共謀罪もその中の一つではある)を通させない。これこそがもっとも焦眉の日本の課題である。





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最終更新日  2006年06月01日 09時01分51秒
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