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2006年06月17日
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カテゴリ:考古学
6月17日付け朝日新聞の「単眼複眼」で、「人はなぜ花を愛でるのか?」という難問をテーマにしたシンポジウム(国立京都国際会館)についての記事があった。

人類学、考古学、動物学、造園学、美術史、昆虫学者が知恵を出し合ったが、結論は出なかったみたいだ。この記事の中にもあるが、すぐに思い出すのは、約6万年前のネアンデルタール人の墓の中からキク科などの花粉が大量に出たこと。多くの文学者はそのことに感動し、至る所で言及している。曰く。「人類は6万年前から死者をいたわる気持ちを持っていた。花を愛していた。」ところが、小山修三氏(考古学)はその思いに水を差す。「死者に花を供えていたと解釈する人もいれば、あとからたまたま流れ込んだという意見もある。今でも論争中だ。」なあんだ、がっかり……。
フランスのラスコーやスペインのアルタミラなど古い洞窟壁画には、動物は描かれているが、花は描かれていないらしい。日本でも、縄文土器には花は描かれていなかったという。

人類は自分が関心があるもの以外のものは愛さないのだろう。ただ、日本の場合は、実用的に利用された動物などは縄文時代から描かれるが、花を愛するようになるのは、飛鳥の万葉の時代まで待たないといけないのだろうか。最近の改良種はべつとして、梅や菊や萩、桜は人間のために綺麗に咲いているわけではない。もし花を愛するようになったのだとしたら、それは生活に余裕が出来た人間の、上手にいえば「進歩した心」、悪く言えば「上流階級の趣味」の問題なのだろうか。そうだとすると、人類数十万年の歴史の中で日本はたった1700年前から花を愛するようになったということになる。あまりにもさびしい。

小林正典記者は(昆虫と同じように)「人間にとっては、思いを乗せて相手に運ぶことが出来る貴重なメディア(媒介物)だからこそ、花を愛おしいと感じるのかもしれない。」と結んでいる。しかしこれではやはり、奈良・平安の上流階級の「花を愛でる」理由だろう。故・佐原真(考古学)はどこかの本で「縄文・弥生時代は、花は空気と同じようにいつもそばにあるものだった。もしかしたら、身近に、環境的に花が無くなっていくのと平行して、文化の中に花が現れるのかもしれない。」といっている。私はこの説に賛成したい。人類は「花を愛する心」をネアンデルタール人のころから持っていた。でも人は花をなくして初めてその気持ちに気がつく。その価値に気がつく。花だけではない。文明が始まって、いや、ひとりの人生の中でも、人は多くのものを失ってきた。無くなりかけているものは限りなく美しいく、愛おしい。


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最終更新日  2006年06月18日 01時44分45秒
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