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再出発日記

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2007年01月13日
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カテゴリ:洋画(07)
「麦の穂をゆらす風」 
1001367_02.jpg
監督 : ケン・ローチ
出演 : キリアン・マーフィ 、 ポーリック・デラニー 、 リーアム・カニンガム 、 オーラ・フィッツジェラルド
IRA(アイルランド共和軍)の歴史は複雑だ。 アイルランド独立戦争の現代史を評価しようとすると、 袋小路に入り込み出てこれない。
ひとつだけわかるのは、アイルランドに独立の大義はある。ということだ。民族独立権は、人類が獲得してきた歴史的な権利であると、私は思う。大英帝国が冒頭に示すような集会禁止条例を盾にした暴行等、数限りない民族独立権への侵害には怒りを覚える。主人公デミアンも結局それらに我慢できずにIRAに身を投じる。

しかし、映画は独立の大義を高らかにうたわない。デミアンは「僕は一線を越えたかもしれない」とつぶやく。イギリス軍兵士を初めて殺したときではない。情報を敵に漏らした友を命令のために射殺したときである。

大義はどこかで微妙に歪められる。(いや、歪められているかどうかという判断もこの独立戦争に対して私は判断できない。)兄弟は個人の力ではどうしようもないところに自分をおいてしまう。それが歴史の中を生きる、ということなのだろう。

同じように兄弟相殺しあう映画としては朝鮮戦争を扱った「ブラザーフッド」があり、圧倒的な暴力描写で私を押し切ってしまった(この年の私のベスト3)。あるいはギリシャの内戦で双子の兄弟が殺しあうことになった「エレニの旅」では、丘の上の会話の神話的な描写がある(この年のマイベスト1)。そして、この作品では、IRAと自由国軍との内戦は非常にリアルスティック、そしてドキュメント的に表現される。ただし、デミアンが兄の最後の説得を冷たい目で見る目にはぞっとさせられる。やりきれないラストだ。

2006年12月30日、イラク政府は「われわれは自主的に、正当な手続きを踏み、前イラク大統領フセインを処刑した」と発表した。その直後からシーア派に対する無差別テロが頻発する。そしてイラク政府はアメリカとともに大規模な掃討作戦を決定する。米軍は二万人の増兵を決定する。この作品の中身は明確にそれまでのイラク戦争を反映しているし、映画が完成した後の世界を予言している。この映画の中身は「今まさにそこにある悲劇」だ。

「一線を越えたんだ」この言葉の意味は大きい。





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最終更新日  2007年10月07日 22時52分09秒
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