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再出発日記

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2007年05月01日
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カテゴリ:水滸伝

「水滸伝5」集英社文庫 北方謙三(1~4については左のカテゴリー「水滸伝」をクリック)
5巻目にして、大きな山場が来た。
2回に分けて紹介する。
ひとつひとつの章が、非常に濃い密度で描かれている。宋江の立場、袁明、あるいは魯智深、あるいは石秀、李富の立場で記事を書いてみたいという誘惑にも駆られるが、そんなことまでするとキリが無い。

まずは前半の山場について書く。

最初の大きな戦いが起きた。宋江を捕らえるために2万の国軍が動き、3千の叛徒が救援に向かい、梁山泊の5千が動き、それをさらに3万の国軍が動いて釘付けにする。宋江たちは中州の基地に閉じこもり、じっと我慢をする。国軍はつまり青蓮寺は宋江ただ一人の命を狙って結局5万の兵を動かしたのだ。こんなにも早く梁山泊の急所に全力を突けてくるとは。これは圧倒的に梁山泊に不利なたたかいであった。国軍の指揮官は青蓮寺の官吏黄文ぺい(火編に丙)である。立場は江州の通判。しかして実態は軍司令官の役割を持つ。優秀な男であった。梁山泊と比べて国軍の軍規が弱いと見るや、将軍クラスを次々と磔をして殺した。時間が無いときは「恐怖」でもって統率を取る、ということを平気でやる男であった。考え方はまるきり役人の考え方だ。命じられた課題をいかにこなすか、それだけに集中できる男である。嫌いだけど、侮れない男である。しかし、宋江がこんなに早く死ぬはずが(きっと)無い。黄文ぺいは負けるだろうと私は思った。そのときの彼の最後を想像しながら読んだ。志を持たない彼の最後は、梁山泊に自分を売り込むのではないか、そうやって命乞いをするのではないか、と思った。確かに青蓮寺の情報は梁山泊側も喉から手が出るほどに欲しい筈だ。しかし、私のその想像がいかに卑しいものであったかを次の描写が明らかにする。

城郭は、すでに林冲の5百騎が城門付近を占拠していて、致死軍が入ると残っていた守兵も、逃走した。
迷わず、公孫勝は州庁の建物に入った。
知府の部屋は無人だった。通判の部屋に、一人だけがいた。小肥りの、商人のような男だが、眼の光はただ者ではなかった。
「黄文ぺいか」
問いかけると、男は口元にかすかな笑みを浮かべ、頷いた。
(略)
「青蓮寺のものか?」
「もう19年も、青蓮寺で働いてきた。いささか、疲れたと思っていたところだ。」
「ならば、ゆっくりと眠れ」
公孫勝は黄文ぺいの首を刎ねた。


敵ながら、この潔い最期には衝撃を受けた。知府のように逃げ出そうと思えば、逃げれたのだ。公孫勝も情報がほしいなどは一切思っていない。当たり前だろう。味方がこの男のためにどれほど殺されたか、一番知っている男なのだから。
敵は強い。やり方は、民衆を管理し、体制を守った上で改革をするという方法で頷ける者ではないが、しかし、強く、誇りがある。これからも厳しい戦いが続いていくに違いない。

手ごわい敵は青蓮寺だけにしてほしいものです。







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最終更新日  2007年05月02日 00時18分31秒
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