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2007年08月21日
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カテゴリ:邦画(07)
昨日の「ボルベール」では「女はこわい」と書いた私ですが、今日の「怪談」では、「女は怖い」といわせていただきます。昨日も書きましたが、「慾と愛憎さえ絡まなければ、女は女を裏切らない」反対に言えば、慾と愛憎、特に愛憎が入ってくると、いやあ怖い、恐ろしい。
けれども、もっと恐ろしいのは「因果」なのでございます‥‥‥。

監督 : 中田秀夫
原作 : 三遊亭円朝
出演 : 尾上菊之助 、 黒木瞳 、 井上真央 、 麻生久美子 、 木村多江

以下、私は決して粗筋は書かないが、読みようによっては決定的なネタバレになっているところあり。そういうのが嫌な方は以下は読まないように。

原作の「真景累ヶ淵」はまるでオペラである。誰もがその題名や、豊志賀、新吉の名前くらいは聞いたことがあるのだが、誰も全体像を知らない。ましてや円朝の語りを全部聞こうとなると、一晩かかる。でも映画を見て一番思ったのは、これを落語家の本格語りで最初から最後まで聞いてみたいということだ。なるほど、これは確かに古典だ。日本的だ。どこの国もまねできない。

原作は読んだことがないので、この映画にかぎって美点を拾ってみる。

ひとつは呪いの仕掛けが非常に間接的であるということ。呪いの本体(宋悦)は最初に出てきたきりあとあと決して登場してこない、と言うことである。眉間の傷と鎌、そして累ヶ淵が最初から最後まで出てくる。映像ではほとんどの方は見えなかったかもしれないが、あの鎌の後ろにはほのかに宋悦の顔が‥‥‥、やはり見えませんでした。

もうひとつ、「親の因果が子に報い」を絵に描いたような展開。まあ確かに浮気心の罪はあるのだけど、それでああいう風になったのではない。不幸は決して新吉や豊志賀のせいではない。超自然的な「因果」があるのである。もちろんキリスト教的な「罪」の意識とは無縁である。新吉は最後の最後まで罪の意識を持たずに死んでいっただろう。人は不幸が何故やってくるのか理由は知らない。この怪談を聞く私たちはその不幸(呪い)の源は貧乏侍の新佐江門が金貸し宋悦に金を返すのがいやで切り捨てたためだと知っている。「そうかこうやって不幸はやってくるのか」怪談を聞いた観客たちはそのように納得して小屋を出て、ふと自分の人生を思い、心胆寒からしめるのである。

中田監督はそれに「愛のスパイス」や「大仰な立ち回り」をくっつけて、世界市場に売れる作品を作った。そのために真の怪談の色は薄れてはいる。

私なら最後はこのように終わらす。
新吉の子供は跡取り息子として大事に育てられた。ある日、池の傍で商売をする豊志賀の妹のお園に出会う。事故があってその子供の眉間の古傷から血が出てくる。その傷を介抱しながらお園の瞳は妖しく光るのであった。





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最終更新日  2007年08月21日 23時24分21秒
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