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カテゴリ:水滸伝
弁当を忘れ定食初スイカ
せっかく朝弁当を作ったのに、ふと置き忘れて出て行ってしまった。ああ、最近こんなことばっか。久しぶりに近くの定食屋でランチ。今日はいつものフルーツはスイカだった。蒸し暑くてじっとしていても汗が流れる日だったのでちょっと幸福だった。禍福はあざなえる縄の如しである。 水滸伝(18(乾坤の章)) 北方水滸伝はついに最終巻までこれを入れてあと二巻。敵方の元帥童貫は強い。圧倒的な量。精強な軍隊。変幻自在の大将。けれども梁山泊も負けてはいない。局地戦では勝つのである。そしてついに、林冲に最期の時が来る。 「言うことを聞け、扈三娘」 「百里風ならまだ逃げれます」 「頼むから、乗って逃げてくれ。生涯に一度ぐらい、女を助けた男になりたい」 「林冲殿」 「俺は、女の命を救いたいのだ。女の命も救えない男に、俺をしないでくれ」 扈三娘が馬に跳び乗るのを、林冲は眼の端で捉えた。駆け去っていく。 いやあ、かっこいい。全巻完結後に出た読本の中でも吉川晃司が先ずはこの場面を言っています。もちろん林冲はただ死ぬわけじゃない。相手の副将の首はちゃんと獲っています。しかも、本人は意識していなかったが、彼の後釜もちゃんと彼が用意していた。そして死ぬときの彼の意識。あの満足げな顔が眼に見えるようだ。 何度でも言うようですが、「水滸伝」は負けて終わる物語です。けれども男たちは決して負けて死んでいくのではない。精一杯闘って死んでいくのである。 圧倒的に大きな権力を前に、蟻のような個人が闘って、それでも時々勝利をもぎ取るのが、人生と言うものなのでしょう。 何が言いたいかというと、現実世界ではこのようなことがありました。 じゅんさんの日記からです。 日々任命 政府は日雇い派遣を原則禁止にするという方針を打ち出したけれども、郵政の中で、ずっと前から日雇派遣とおなじように無権利、劣悪な労働条件で働かされていた人がいた。そのひとりからあいてを「告発」するという話をじゅんさんは聞いたようだ。 日々任命2 日々任命3 幾つか、得るとこあってん。 昼休みは遅れてもちゃんととらす、いいよった。 残業代も払う、いうてな。 ‥‥‥孤軍奮闘で闘うも、すこしづつ相手の牙城を崩していったらしい。 そして勝った! と言う記事に繋がる。 向うから、和解したい、言うて来よった。 告発だけはせんといてくれ、いうとる。 告発されたら、下手したら新聞載るやろ、局長刑務所入らんならんかもしれんやろ、 やめといてくれ、いうて。 おまえの言う条件、全部のむ、いうて。 おれの件は、東京行ってるらしいわ。 おまえみたいなキチガイしらんわ、いわれたわ。 昼休みの金も払う、パクッた残業代もみな払うから、言うとる。 それは、*さんの分だけ? いや違う、今後、全部のはなしや。 よかったねえ!すごいやん!! ほな、も一回雇てくれるようになったん? ハハ、そりゃムリや、立てついたおれは。 ゆうメイト全員の労働条件が変わるのでしょうか。そうみたい。画期的なことです。けれども本当は違法なことがほんの少し改まるだけのような気もします。大きな組織はこれではびくともしないと言う気もします。けれども彼を梁山泊の殿中にある英雄たちのお札に加えたいという気がします。 この記事だけでは、彼の闘いの全貌は見えてきません。けれども、紹介したのは、その闘いの教訓を明らかにする為ではなく、派遣、委託、そして彼のような「日々任命」社員が、非正規雇用労働者の闘いに至る一歩目を踏み出した、そのことがすべての労働者にとり大切なことだということを訴えたいが為である。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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