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カテゴリ:水滸伝
「私はあなたとは違うんです」という言葉が流行語大賞に選ばれそうな勢いである。この言葉の何が面白いのかと言うと、「大人気ない」ということに尽きるだろう。記者は何も自分の感想を言ったわけではない、一国の首相たる人の態度に対して国民が感じている感想を指摘したのである。それを誰にでも分る表情を抑えた怒りの言葉で返されたら堪らない。
さて、奔放な発言でマスコミにちやほやされている柔道金メダリストの石井に対して同じく金メダリストの内柴が一喝したらしい。 石井は先日、電撃辞任した福田元首相について「発表6日前に予感していた」など柔道関係者が聞いたらまゆをひそめる発言を連発。内柴は「世界一努力をしていることは認めるが、あまりにも簡単に世界一になったから、人の気持ちが分からない」とピシャリ。石井に「雄として戦いたい」と“異種格闘技対決”を求められた太田も「僕じゃ勝ち目はありませんから」と大人の対応で流していた。 (スポーツ報知) 金メダルを取った試合は大きく評価している私ですが、最近の発言は柔道の品位を落とすものとして「もう絶対石井にはしゃべらすな」と言う感じだったので胸がすく思いです。ここに「大人気ない」態度と正反対の態度があります。 やっとここから本題。 破軍の星 内容(「BOOK」データベースより) 建武の新政で後醍醐天皇により十六歳の若さで陸奥守に任じられた北畠顕家は奥州に下向、政治機構を整え、住民を掌握し、見事な成果をあげた。また、足利尊氏の反逆に際し、東海道を進撃、尊氏を敗走させる。しかし、勢力を回復した足利方の豪族に叛かれ苦境に立ち、さらに吉野へ逃れた後醍醐帝の命で、尊氏追討の軍を再び起こすが…。一瞬の閃光のように輝いた若き貴公子の短い、力強い生涯。柴田錬三郎賞受賞作。 皇族であること、若干16歳であること、それは必ずしも大人でない、ということを意味しない。小説的な脚色はもちろんあるだろうが、北畠顕家が歴史的に奥州を数年で見事に治めたのは確かであるし、負け戦直前の楠木・後醍醐側を、奥州から誰も想像し得なかった速さで舞い戻り、足利尊氏を敗走させたのも確かなのである。しかしいくら才能があろうと、天皇の臣下であることは顕家は逃れることができない。武家の戦いを理解できない皇族の戦略的失敗のなかで彼も敗れていく。 顕家は21歳で壮絶な最期を遂げるのであるが、最初から最後まで「大人」として描かれる。 小説のなかで、顕家は実は奥州の安倍一族から奥州独立国家の盟主にと望まれていたという設定になっている。一代の麒麟児として、それでもそのころはすでに何百年も続いた皇族の楔からは逃れ得ない顕家の悩みをも描いて、単なる軍記モノにはしていない北方の思いが溢れた傑作ではある。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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