|
カテゴリ:邦画(08)
TVドラマをリアルタイムで最初から最後まで見たのはもしかしたら生まれて初めてかもしれない。HDD録画機のおかげなのであるが、そもそも私は日本のTVドラマや多くのTV番組を日常見ない。そうやって映画と読書の時間を確保してきた。(得たものも大きいが、失った物も幾つかはある)
「風のガーデン」が歴史的な大傑作だとは思わない。幾つかの偶然が重なってこのドラマを見ることが出来たのだ。録画機の購入。主人公と同じすい臓がんで今春父を看取ったこと。倉本「北の国から」のファンだったこと。そして第一回放送直前に緒形拳がガンで死亡し、遺作になったこと。 非常に素晴らしい作品だった。 最初貞美(中井貴一)が余命を知ってほとんど取り乱さなかったことに物足りなさを感じたのは確かだ。重松清の小説では告知前に文字通り身悶えていたし、映画「象の背中」ではトイレの中で身悶えるシーンがある。韓国映画の中では珍しく大げさな表現のない「8月のクリスマス」でも酔いつぶれる場面と、夜中に独り泣く場面がある。貞美は若い恋人茜(平原綾香)を突然抱きしめたくらいで、ほとんど葛藤を見せない。どうやら作者は意図をしてそういう映像を作っていたらしい。父貞三(緒形拳)が息子の余命を知って姉のところに相談に行く。たんたんと話す貞三であるが「私はいま混乱しています」という。説得力のある演技だった。普通ドラマの山場となるようなところを、映像としていつもあっさりと流してしまう。貞美と貞三の森の中での和解の場面がある。どうやらリハーサルなしの一発撮りだったらしい。緒形拳の肩にずっとトンボが止まっていた。なんとも自然で凄い場面だった。 最終回は、貞美が緒形拳に、そして私の父に重なって見えて仕方なかった。泣きはしない。けれども次の日に長いドライブの途中に不覚にも‥‥‥。 「私は娘に何もしてやれなかった」 「これからお前の闘っているさまを娘に見せるのじゃないか」 「‥‥‥そうですね、ホントそうですね」 (この場面、緒形直人なんかはぼろぼろ泣きながら見ていたのではないか) 本当の終末医療をすれば、なくなる一ヶ月前まで娘とバージンロードを歩くことが出来るのか。貞美は麻酔医という設定だったので、そのような展開も受け入れたのではあるが、私の父との比較ではあまりにも違っていて(父は4ヵ月ほんとに苦しんだ)、もう少し研究したい。明日はわが身ではある。 しかし、これが日本のテレビドラマだといっていいのだろうか。 ずっと韓国ドラマを見てきたので、最後の最後まで二転三転のドラマがまるきりなく、むしろ起承承結というドラマの作り方、しかしじっくりと見せる作り方にずっと唸りとおしだった。韓国の人に見せてみたい。どんな反応を示すだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[邦画(08)] カテゴリの最新記事
|
|