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カテゴリ:邦画(09~)
二度店で探したけれども、原作は既に売り切れ。もう一回細部を確かめて映画に望みたいと思ったけれども、まあ原作と比べるのも酷な話だったのかもしれない。
監督 : 岩本仁志 脚本 : 大石哲也 原作 : 手塚治虫 出演 : 玉木宏 、 山田孝之 、 石田ゆり子 、 石橋凌 、 山本裕典 見た感想としては、案外玉木の悪役の魅力がにじみ出ていて、悪くはなかった。しかし魅力はそれだけだった。反対に言うと、山田孝之の「良心」としての存在感があまりにも薄い。90%は玉木の使いっぱしりじゃないか。 この映画を、同じく米軍の存在が原因でとんでもない怪物を作ってしまった韓国映画「グエムル」と比べると、何が足りないかがよく分る。 一つ、米軍の存在がいかに危険なものかを「グエムル」は象徴的だが、明確に描いていたのに比べ、「MW」の場合はついには「米軍」という文字が出てこなかった。横田基地は「東京基地」というふうに言葉替えが行われ、この最悪の化学兵器が何故作られ、どのように日本政府と取引が行なわれ、どのように管理されていたのか、結局明確に描かれない。少しは想像できるけれども、手塚が何のためにこの作品を作ったのか、その半分以上はうやむやに終わっている。東京基地内で米軍司令官はなんと単なる警視庁の刑事に対して「君たちの問題だ。きみたちで処理したまえ」などとのたまう。ところが、実際には刑事の存在は全く意味がなく、最後にのっとり機を日本政府の許可も得ずに東京湾上で爆破したのも米軍なのである。それも全くノープロブレムみたいだ。 一つ、おそらくこの映画はこの夏数あるヒット作のうち中の下といったところだろう。全く不十分ながら、米軍犯罪を告発し、日本政府の共犯を示した作品はヒットしないだろう。ところが、「グエムル」は日本での評判はすこぶる悪かったが、韓国内ではダントツの観客の支持を得たのである。要は日本と韓国との観客の成熟度の違いが、二つの作品の出来にも反映していると見ることが出来るのかもしれない。 ところで、原作では二人の主人公は恋人関係にあった。まえ宣伝で、「タブーに挑戦する」とかあったので、濃厚なラブシーンはなくても、それに近いものはあるだろうと踏んでいたのだが、まるきりなかった。がっかりである。玉木の悪の魅力を出そうとすれば、金と暴力、そして○ックスが必要不可欠だと思うのだが、女性とのラブシーンさえなかった。玉木が度胸がないのか、監督が度胸がないのか。全く理解に苦しむ。 それでも、私は「久し振りの骨太映画だ」と評判の「ハゲタカ」よりも、こっちの方がよっぽど社会派映画だと思う。79点をあげてもいいかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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