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「おまえが気づかず、また興味がないにしても、この風には秋の爽やかな味がするし、もくせい の花の香が匂っている。」
山本周五郎の「さぶ」のなかの言葉、 いずこからか花の香りがする、2~3週間前からふと気がつくとそんな毎日でした。 金木犀は花の姿に気がつく前に、香りで気がつく花です。 時には気がつかないまま通り過ぎることも良くある。 今はだんだんと香りが少なくなっているので、尚更です。 でも目に見えないところで、花は可憐に咲いているのです。 目の前のことで精一杯の栄二はさぶの献身に全然気がつかなかった。 この一言で、やっと栄二は独りで生きているのではない、ということを知る。 いずこからか花の香りがする。それはその気にならなければ、気がつかない匂いではあった。 「栄二にはぼんやりとではあるが、その言葉の意味がわかるように思えた。 ことによるとおれは、いままでこの人たちを本当に見ていなかったのかもしれないな。 風に もくせい が匂っていても嗅ぎわける気がなかったように」 秋になると、いつも自戒しています。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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