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再出発日記

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2010年10月27日
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カテゴリ:邦画(09~)
最初の20分で井伊直弼は討たれてしまうので、はたしてこれで「変」の歴史的背景は分かるのだろうかと心配していたら、頻繁に過去に戻りながら整理していたので、とりあえず基本的なところは分かるようになっている。(以下時間がなくて私なりの歴史観で記述します。歴史的事実で間違いがあればご指摘ください)

監督 : 佐藤純彌
原作 : 吉村昭
出演 : 大沢たかお 、 長谷川京子 、 柄本明 、 生瀬勝久 、 加藤清史郎 、 西村雅彦 、 伊武雅刀 、 北大路欣也

私も知らなかったのだが、この歴史的なテロ事件は未完のクーデター事件だったんですね。なるほど、子供の喧嘩じゃないんだから、ひどいやつだから殺す、だけじゃ出来ないことですものね。井伊暗殺の後は薩摩藩が京都を落として朝廷を担ぎ、一気に倒幕に走るとという「尊皇攘夷」の行動だったらしい。しかし島津斉彬が死んで次の殿さんはそれには反対、呼応せず(西郷はこれで島流しになる)頓挫、係わった水戸藩士はほとんどが斬首というのが歴史の真相らしい。

冒頭と最後に国会議事堂が映るのであるが、製作者の意図は「若者よ、もっと国を憂えよ!」であることは明らか。一人ひとりの死に様を全員名前と享年を上げながら延々と映す。しかし、一人ひとりの性格設定や思想描写が出来ているわけではない。それなのに、延々と映すことをするというやり方はひとえに「靖国的発想」である。「そもそも彼らは国を憂えて(?)命を賭して非常手段にでたのだ!だから彼らの死を記憶しなければならないのだ」といわんばかりな作りである。

歴史に詳しくない者や、少し歴史をかじってサッカーの試合で君が代を一緒に歌っているような人には、映画で涙したかもしれない。私は「NO」と言う。

彼らは「記憶」に値するだけ、「涙」に値するだけの「歴史的価値」があるのか?

「国のため」というが、彼らの計画は杜撰そのものだ。映画を見るだけで分かる。薩摩藩主が死亡した時点で、すぐに情報収集するのが当然の処置であった。薩摩の政策が変わっている可能性があるのに、行動に移すとは馬鹿としか言いようがない。いや、それより前にあのクーデター計画は薩摩以外は鳥取藩しか同調しなかった、それでもしようとしたのであり、基本的に「子供の喧嘩」の域をでていないと言われても仕方ない。彼らのテロに対しては幕府はもちろんのこと、薩摩も水戸も冷静な判断、あと処理をしている。(吉田松陰や橋本佐内は彼らのクーデター計画のとばっちりを受けて殺されたともいえるかもしれない。非常に残念である)

計画が杜撰だからというだけで「NO」というわけではない。もう少し長いスパンで歴史を見る必要がある。確かに国内の借金財政、国際情勢を見ると「体制変革」は必要だったかもしれない。時代の制約があるから、もちろん代議制でそれを決定させるわけには行かないから、武力倒幕というのは、ひとつの大きな選択肢だっただろう。そういう意味では江戸の無血開城は見事だった。しかし、結局「上からの革命」によって、(単純に言えば)「尊皇攘夷」と「佐幕開国」を折衷した「尊王開国」という離れ業で日本の植民地化を防ぐことになる。明治維新は商人階級が参加しない中途半端な革命だった。「良くやった」という面と、桜田門外からたった8年で「体制変革」まで持っていった彼らは急ぎすぎた、という面と二つあると思う。

大沢たかお演じる関は「変」がきっかけを作ったと言う。「倒幕は不可避だ」とあたかも時代が見えているかのごとく映画では描く。彼らは時代の変革のために犠牲になったのだ、と。しかし本当は、関は時代を大きく見誤っていた。映画を見るだけで、私はそういう印象を受ける。原作を読むとまた違った感想になるかもしれない。ともかく、そんな関を持上げるこの映画の「意図」を私は大いに疑いながら見るものである。

ところで、「パッチギLOVE&PEACE」の中村ゆりがちゃんとラブシーンと汚れ役をやっていた。あの映画のときにこれをやる度胸を監督が見せていたならば、彼女も今頃はもう少し明るいところに居ることが出来たのに。私的には一番印象に残ったのは、中村ゆりの「元気な姿」を見ることが出来たことかな。





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最終更新日  2010年10月28日 02時20分08秒
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