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カテゴリ:洋画(11~)
この作品がアカデミー作品賞監督賞脚本賞主演男優賞を獲った次の日に観に行った。なかなかの入りだったと思う。ともかくも本来は怪物的な現代を淡々と描いているだけの「ソーシャル・ネットワーク」がアカデミー賞を獲らなくて良かったと思いながら、今作を見たのではある。
悪い作品ではない。けれども傑作ではない。最近のアカデミー賞にはこんなのが多いなあ。私的には「ソーシャル……」よりこっちのほうがお気に入りです。 本来個性的な役が多いヘレナ・ボナム=カーターとジェフリー・ラッシュが派手な化粧もせずに誠実に役作りをしているのが大変印象に残る。 監督 トム・フーパー 出演 コリン・ファース (King George VI) ジェフリー・ラッシュ (Lionel Logue) ヘレナ・ボナム=カーター (Queen Elizabeth) ガイ・ピアース (King Edward VIII) ティモシー・スポール (Winston Churchill) 吃音症のジョージ6世が1939年に感動的な対ドイツ宣戦布告放送をするまでを描いているのであるが、これも淡々と時代の雰囲気を映しながら、英国王室秘話を綴っていく。しかしながら、歴史モノは、現代モノとは違い、歴史を俯瞰する視点がどうしてもわれわれに身についている。だから、淡々とある誠実な青年のコンプレックス克服秘話に陥りがちな話が、同時に非常に洗練されたファシズム宣伝の雄ヒトラーと対比して、自由陣営の少しどもりながらも誠実なジョージ6世の対する映画として終わっているので、普遍性を持ったというわけだ。この時代から既に世界は「宣伝」の時代に入っていると、支配者たちが強く自覚していたということも、大変興味深い。翻って、日本は宣戦布告にとうとう天皇は一言も発しなかった。神聖帝王として、国民の目に見えないところで、ずっと国民にプレッシャーを与えていた。それは結局、現代にも続いている。 この映画で初めてエドワード8世の「世紀の恋」の状況が分かった。まったく現皇太子君と状況が同じだ。今度はどのように決着がつくのだろうか。そろそろエリザベス女王も寿命が尽きるだろうに。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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