

b>「あの日からのマンガ」しりあがり寿
マンガの大きな役割の一つに「風刺」というものがある。いや、漫画の役割とはそれだけだ、とまでかつて手塚治虫は言ったことがある。
それならば、この大震災の時にマンガがその役割を果たさなかったとすれば、それは漫画の劣化以外のなにものでもないだろう。残念ながら漫画は臆病にもあまり役割を果たさなかった。これから果たすのだ、という意見もあるかもしれない。充分な準備をした後、大震災の「真実」をこれから見せていくのだ、と。しかし、それはもう映画や小説やテレビが始めている。「風刺」という以上、本当にいち早く作品を作らなければならない。特に3-4月の間に、TVが原発報道一色に固まっていた時期、本屋に行っても原発関連の本は数えるぐらいにしかなかった時期、一番知りたいと思っていた時に情報が届かなかった時期に、漫画だから語れる「一目でわかる情報」を届けなければならなかった。
しりあがり寿は朝日で四コマ漫画を持っている。また月刊誌なども持っていた。そして彼はなんだかよく分からない時期に、良く分からないまま、しかしほとんど時々だがその「本質」を描き出した。そういう意味で彼の仕事は貴重だった。
右上の4月12日(火)に掲載された四コマ漫画はあの当時の雰囲気を見事に写し取っていると思う。

これも4月12日に書かれたらしい。コミック「ビーム」の五月号に掲載された。
―舞台は50年後の世界である。電気社会は崩壊していて、みんな貧しく暮らしている。おじいちゃんは「昔は良かった」とお怒り気味だ。
そして、子どもの時だけ「翼」が生えるように人間は進化(!?)している。
「ねえ、ゲンパツってなんなの?」
「こわれることで、新しいことが始まった」(と、大人の受け売りをしゃべりながら)子どもたちは冒険をして禁じられた地域に飛んでいく。その先は……。ちょっと鳥肌がたったショットだった。

さて、5月2日に、作者は思い立って東北にボランティアに行く。庶民が初めて現場に入った時のショックが伝わる。