従来から、透明性が低く、限りなく『簿記』の世界のままであると批判されてきた日本独自の会計基準が、2011年までに『国際会計基準(IAS)』と全面的に共通化されることになった。
これは、8月3日に、国内の会計基準の作成を担う企業会計基準委員会と国際的な会計基準の作成を担う国際会計基準理事会(IASB)の双方が、2011年までに『国際会計基準』との間のすべての相違点を解消することに関して、大筋で合意したためだ。
実は、2006年5月1日に施行された「会社法」及び「会社計算規則」には、『国際会計基準』で認められている『資本控除』が採用されており、会社設立の際の創業費等の繰延資産を資本金の額に計上しないことも認められていたことから、【資本金0円】として株式会社を設立することも可能となっていた。
ところが、2006年8月11日に企業会計基準委員会が公表した「実務対応報告第19号(繰延資産の会計処理に関する当面の取扱い)」において、繰延資産の『資本控除』を認めない方針が示されたため、「会社計算規則」が改正され(2006年12月22日公布・2007年1月20日施行)、【資本金0円会社】が"凍結"されてしまったという経緯が過去にはある。
今回の『国際会計基準』との全面共通化により、【資本金0円会社】が"復活"することになりそうだ。
また、これまでは、官主導により会計基準が作成されてきたことを受けて『法形式』が重要視されてきた日本独自の会計基準が、投資家や債権者の保護という視点に立って自己責任で投資判断を行うことを可能にするために、企業の『実態』を『適正に表示』することを大原則とする『国際会計基準(IAS)』と全面的に共通化される結果、日本の企業会計の透明性が高まることから、今後の国際的なM&Aにも大きく影響を与えることになりそうだ。
たとえば、日本独自の会計基準においては、合併される会社の資産を時価評価せずに帳簿価格のままで合算する『簿価方式』が採用されている一方、『国際会計基準(IAS)』や『米国会計基準(GAAP)』においては、『簿価方式』では含み損を使った経営者側の操作が入りやすいとして『時価方式』が採用されている。
また、M&Aの際の実際の投資額と時価評価された純資産額との差額である『のれん代』については、日本独自の会計基準においては、『のれん代』の要素であるブランド価値は減少していくという前提に立ち、資産として計上した『のれん代』を最長20年で毎年一定額を費用として計上することが義務付けられている一方、『国際会計基準』においては、ブランド価値は原則的には変わらないものとして、買収した事業の価値が大幅に減少した場合にのみ損失処理を行っている。
この『のれん代』の定期的な消却が不要になれば、買収する側の企業の経営者は期間損失への負担を気にせずに買収を検討することができるため、M&Aを利用して事業規模の拡大を狙うベンチャー企業にとっては、非常にメリットが大きいといえるだろう。
このように、日本の企業会計の透明性が高まる結果として、今後、日本企業をターゲットとした国際的なM&Aが急増するとみられるため、なんとも皮肉である。
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Last updated
August 11, 2007 10:55:40