TBS株の19.86%を保有する楽天が、今年4月に株式を21%程度まで買い増すと宣言したことを受けて、買収防衛策を発動すべきかどうかを検討していたTBSの第三者機関「企業価値評価特別委員会」は、9月7日、これを発動しないようTBSに勧告した。
これは、楽天側が「今後10年間はTBS株の保有比率を20%を若干超える程度にとどめ、大幅に買い増す意図はない」と口頭で明言したため、「楽天が濫用的買収者である可能性は否定できないが、株式の保有比率が21%以下にとどまる限りは、TBSの企業価値を損なうとは言いにくい」と判断されたためだ。
但し、楽天側がこの方針を変更した場合は、委員会への約束違反となるため、改めて対応を検討するとしている。
TBSでは、委員会の勧告を受けて、9月12日の取締役会で買収防衛策発動の手続きを見送ることを正式決定し、10月中旬に買収防衛策発動のための決議を予定していた臨時株主総会の開催を中止した。
もし、TBSの臨時株主総会における特別決議(三分の二以上)で買収防衛策の発動が可決された場合には、楽天は発動の差し止め訴訟を提起する構えで、特別決議にも関わらず差し止めが認められるという見方もあった。
そのため、TBSでは、訴訟リスクを回避しながら楽天の株式買い増しへ歯止めをかけるという実利を手にしたといえる。
「ネットと放送の融合」を掲げる楽天が、TBS株の20%超の買い増しを宣言したのは、TBSを連結決算上の持分法適用会社とすることで、TBSの収益を楽天の決算に反映させることが狙いとされているが、持分法適用に伴う「のれん代償却費」を差し引くと収益面でも大したプラスにはならないという分析もある。
TBSの買収防衛策の発動そのものは見送られたが、楽天による大幅な株式の買い増しの道は閉ざされた格好となり、必ずしも楽天が勝利したとはいえない。
また、TBS側の楽天への不信感は根強いものがあり、楽天が求める業務提携には応じない構えで、6月に開催されたTBSの定時株主総会でも、楽天側が提出した取締役の派遣案が既に否決されている。
今後も両社の「勝者なき消耗戦」は続くこととなる。
ところで、日本の放送業界については、第三者名義や系列グループ企業間での株式の持ち合いなど、マスメディア集中排除原則を形骸化させてきた経緯があるため、TBSは買収防衛策を発動しないとしても、本当の資本構成など経営情報の公開を進めて視聴者に説明し理解を得ていくことなど、放送局の中立性を確保する手段を考える必要があるとの指摘もある。
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Last updated
September 13, 2007 23:04:04