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ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

ネイティブスピーカーも知らない!英語のヒ・ミ・ツ

とにかく主語!

さて、英語と日本語の違いとしてよく言われることが、日本語は主語を”省略”するが、英語では命令文を除き、基本的には省略しない、ということだ。

じつは、日本語では主語を省略しているのではなく、そもそも日本語には主語が「ない」、という説すらある。少なくとも、英語の文で「S」(Subject=主語)と呼ばれている役割のものはないのである、と。

え? それじゃ、「私はあなたが好きです」とか言うときの「私は」は主語じゃないの?
「日本語主語なし説」によれば、その場合の「私は」は「主題」だ、というのである。てにをはのうちの「~は(~が)」は、「私についてのことを言えば」という「主題の提示」の役割を果たすのだというのだ。

そう言われてみると、納得がいくことが多い。「私はあなたが好きです」という文の「私は」は、英語で言う「S」(主語)と合致しているが、
「きのうは家にいました」
「仕事が忙しい」
「ラーメンが好きです」
「(私には)子供はいません」
というような文では、「~は」の部分は英文の主語としては使えない。
(「仕事が忙しい」は、My work is busy.と言うこともできるが、厳密にはbusyの意味がやや違う。仕事が「たてこんでいる」というような意味となり、「私は仕事で忙しい」という意味と、まあ同じといえば同じだが、厳密には異なる)



ま、厳密な文法用語や概念はどうでもいいのであるが、とにかく日本語では英語のような形・意味での主語がないことが多い。ところが英語では主語がないとオハナシにならない。そして主語は通常は文頭に来ることになっている。
そういうわけで、日本人学習者はしょっぱなからつまずいてしまうのである。

上の例に出した「~は(が)」がついているのに主語ではない、という紛らわしいものではないとしても、とにかく日本人的には文の構造とかお構いなしに、その時点で念頭に出てきたものから文章を始めるクセがある。日本語では問題ないが、英語ではNGである。
「花を持ってきたんですよ」
いきなり Flower が口に出てしまう。その後が続かない。
「ビール飲みたいな」
いきなり Beer から文を始めようとしてしまう。行き詰まる。

それを修正するためには、再三言っているように、リズミカルに口に出しながら例文を覚え、応用できる文型を「体得」しなければならないのだが、そういうトレーニングには多少時間がかかるので、とりあえず間に合わせの応急処置を伝授(前項でも書いたが)。

「花を持ってきたんですよ」でFlowerがいきなり口に出てしまっても、慌てない。
それは「主題の提示」をしたのだ、と割り切り、仕切り直す。
「Flower……、I brought it(them)」
「ビール飲みたいな」
「Beer……I want it」

それができれば苦労しないよ、という声も聞こえてきそうだが、最初に口に出した言葉からむりやり文章を構築しようとする方がよほど大変なのである。最初に頭に浮かんだ言葉は「主題」だと思って、その後は「仕切り直す」。これを意識してみるだけでけっこう違ってくると思う。
学校のテストなどではあたりまえに出来ることが、口に出して話す、となると途端にできなくなる。それを「意識するだけで違ってくる」というのは、あまりにお手軽すぎるのでは、と思う向きもあろうが、意識するポイントを明確にすることで頭の整理がつきやすくなるというのは確かにあるのだ。

主語についての話はまだしばらく続く。

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