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黒グラビモス 「さむい……こごえてしまう……バサル……いま……いま、ママが……かえるから……」
フルフル 「ふむ……ランゴスタの巣の中に入ったのか……反撃を受けたとみえるね」
クック 「どうしてそんなばかなことを!! しっかりするんだ、黒グラビさん!!」

ティガ兄 「どうしてって……おっさん、そりゃ、ランゴが集めてるキノコとかよ、ハチミツとかよ、それ狙ったんじゃね?」
ティガ弟 「あいつらそーとータメこんでっからな」
ティガ兄 「何だっけ? マンドラゴラとか、混沌茸とかよ、そういうヤクの元になるキノコがいっぱいあんだよ」

ティガ弟 「おいおいヤク分捕る前にラリっちまったか? ダッセェーなぁ!」
ティガ兄 「じごーじとくじゃね?」
ティガ弟 「違ェねぇ!! まぬけドラゴンだ! ゲヘヘ!!」

キリン 「…………(ピシャァァァン!!)」
ティガ兄 「(バリバリバリバリバリ)ギャァァァァ!」
ティガ弟 「(バリバリバリバリバリ)ビャァァァァ!」
クック 「キリンちゃん……雷を覚えたのか……!」
ティガ兄 「……(ビリ)………(ビリ)………」
ティガ弟 「……(ビリ)………(ビリ)………」
キリン 「この人たち、下品です……」

ティガ兄 「……(ビリ)………(ビリ)………」
ティガ弟 「……(ビリ)………(ビリ)………」
フルフル 「しかし、解毒剤なんてここにはないねェ。ランゴスタに刺されすぎて、毒が頭に回っちまったんだ……」

クック 「どうすればいい? 黒グラビさんは、子供のころから知っている。助けてやりたい!」
フルフル 「ランゴスタの毒は、はやり病のようなものだよ。クイーンが抗体を持っているはずさね……しかし……」
クック 「クイーンが……そんな……彼女は、ドド以上に話が通じないじゃないか」
フルフル 「うむ……そうさね……」

キリン 「その、クイーンさんに解毒剤を分けていただければ、おばさまは助かるの? なら、私行くわ!」
フルフル 「おやめ。同じ目に遭って、死ぬのが落ちだよ」
キリン 「どうして!? だってこのままじゃ、この人、熱で死んでしまうわ!!」
フルフル 「無論、黒グラビを見捨てたりはせぬよ。しかし、闇雲にランゴスタの巣に突っ込んでも、いかんともしがたいのよ」

クック 「どういうことだ?」
フルフル 「蜂族は、猿族以上に、敵か、同族かという目で判断をする。巣に近づく者はみな敵よ。話し合いなどできまい」
クック 「ぐぅ……」
フルフル 「それに、クイーン以外はたいした知性を持っていないのだよ。虫族とはそういうものだ」

クック 「では、クイーンと何とかして話をせねばなるまいな……」
フルフル 「だが、集会は一ヵ月後だからね……とても間に合うまいよ」
女児 「おじさん……この竜さん、どくでくるしいの?」
クック 「ああ。何とかしてやりたいのだが……」

女児 「目のまわりがはれてる……私、水でふいてあげるよ!」
クック 「やってあげてくれ。毒針が残っているかもしれないから、気をつけてな」
女児 「うん! ……わ……熱い……くるしそう……」
フルフル 「女児、あたしの後ろに湧き水があるよ。草に浸して使うがええ」
女児 「分かったよ、お婆ちゃん。黒い竜さん……今、ふいてあげるからね……」

黒グラビモス 「はぁ……はぁ……」
女児 「よいしょ……よいしょ……」
キリン 「女児ちゃん、私も手伝うわ。私の背中を台にして」
女児 「お姉ちゃん、ありがとう……」

キリン 「……お婆ちゃん、地獄兄弟さんたちにお願いすることはできないかしら……?」
フルフル 「さすがのこいつらも、巣に入ってはひとたまりもないだろうねェ」
ティガ兄 「……(ビリ)………(ビリ)………」
ティガ弟 「……(ビリ)………(ビリ)………」
キリン 「そうなの……じゃあ、どうしたら……」

フルフル 「その道の専門家に頼むしかあるまいね」
キリン 「専門家……?」
フルフル 「ああ。旧密林に、蜂どもも食べてしまう、猫の奇面王がおる。奴に警護してもらえば、中まで入れるだろう」
クック 「チャチャブーの王(キング)か! そうだな! 彼に頼めば、道を開いてくれるかもしれない!!」

キリン 「じゃあ私、すぐに旧密林に行く!」
フルフル 「この吹雪じゃぁ無理だ。お前たちも遭難しちまう。朝になれば、少し収まるだろう。その時に行きな」
女児 「私も行く!」
キリン 「女児ちゃん……」
クック 「だめだ」
女児 「え……」

クック 「女児は、ここに残るんだ。キリンちゃんもだ。私が行ってこよう」
キリン 「そ……そんな……」
女児 「おじさん……! けががまだ、ぜんぶなおってないのに! 私もいっしょに……」
クック 「お前は、ここでフルフルさんと一緒にいるんだ。フルフルさん、頼む」
フルフル 「ああ、その方がいいだろうねェ」

女児 「やだ! おじさんとはなれたくない!!」
キリン 「私もご一緒するわ!」
クック 「黒グラビさんの命がかかっているんだ。虫が相手では、お前達を、危険から守る暇がないかもしれない」
女児 「いやだよ……私も……」
クック 「聞き分けてくれ。みすみす危険だと分かっている場所に、子供たちを連れて行きたくないのだ」

女児 「(ぐす……)」
フルフル 「あとは、黒グラビが、吹雪が弱まるまでもつかどうか……」
キリン 「おばさま……」
黒グラビモス 「……はぁ…………くるしい……うぅ…………」

フルフル 「とにかく、刺されたところを拭いてやったら、体を温めようぞ。クック、火を起こしておくれ」
クック 「分かった……ところで、地獄兄弟はまだ感電しているのか?」
ティガ兄 「……(ビリ)………(ビリ)………」
ティガ弟 「……(ビリ)………(ビリ)………」
キリン 「ちょっと強く雷を落としすぎたかしら…………」

―朝―

キリン 「雪が収まってきたわ……」
女児 「黒い竜さん、がんばって。わたし、ずっとおいのりしてる! だから、もうちょっとだけがんばって!」
黒グラビモス 「はぁ…………はぁ…………に…………人間…………ちゃん………………」
女児 「お婆ちゃん! 黒い竜さんが、しゃべった!!」

フルフル 「おぉ。良かったわぃ……まだ大丈夫そうだな……」
黒グラビモス 「ありがとう……ありがとう…………」
フルフル 「解毒剤が来るまで、あんたは余計な体力を使うんじゃないよ。喋ンなくともいいさね」
黒グラビモス 「バサルを…………息子を…………ひとり、で…………火山に……………………」
フルフル 「バサル坊主がどうしたぃ?」

黒グラビモス 「あの人…………………………バサルを………………(ゲホッ! ゲホッ!!)」
女児 「しっかりして! しゃべっちゃだめだよ!!」
フルフル 「うぅむ……キリンや、水を汲んできておやり。木の実の殻を使うがええ」
キリン 「分かったわ、お婆ちゃん」

クック 「だいぶ雪が弱まったな……よし、それでは、そろそろ旧密林のチャチャブーの国に行ってくる」
フルフル 「あァ。とは言っても、まだ視界は悪いかんね。十二分に気をつけな」
クック 「分かっている。みんな、黒グラビさんを、頼むぞ……女児、心配するな」
女児 「うん………………おじさん…………」

フルフル 「待ちなクック。キングと取り巻きどもに、こいつを渡してやんなよ」
クック 「これは……高級マタタビじゃないか!」
フルフル 「あいつらは物欲に滅法弱いのよ。最初に全部渡しちゃァいけんよ。少しだけちらつかせりゃ、言うことを聞く」
クック 「助かる。かたじけない」
フルフル 「あとは、この婆の名前でも出せばいいさ。あたしは、ここで黒グラビと子供たちを見てるから、安心して行ってきな」
クック 「ああ。すぐに戻ってくる!」

ティガ兄 「んじゃ、俺らはここでオサラバするかンな? オサラバするかンな!?」
ティガ弟 「兄者、もー無理だって。太陽昇っちまったじゃん」
ティガ兄 「桜レイアちゃんは……待っていてくれる! 待っていてくれるはずなんだよォ!!」
ティガ弟 「……あ゛ー駄目だこりゃ……」
フルフル 「地獄兄弟よ、出来りゃぁ、クックについてってやってくれるとありがたいんだがねェ」
ティガ兄 「あぁぁぁあん!? ン馬鹿言うなやァァ! 俺達ァこれから予定があンだよ!! 勝手にやってろ!!」
ティガ弟 「俺は別に何もねーけどな」
ティガ兄 「弟者ァ! 貴様ァァ!!」

フルフル 「別に、無理にとは言わんよ。ただ、リオレウス家族の洞穴は、丁度チャチャブー王国の近くにあると思ってね」
クック 「地獄兄弟、共に来てくれれば、これほど心強い味方はいない。頼めないか?」
ティガ弟 「……まァ、確かにリオ家は密林にある。でもな……てめぇら、ナメてんのか?」
ティガ兄 「くそババァ……俺らをパシりと勘違いしてやがんじゃぁねぇだろうな?」
ティガ弟 「おぅともよ。おっさん、悪ィけどもう俺らにゃぁ関係ねェ。やるならあんたらだけでやれや。特に予定はねーけどな」
ティガ兄 「俺はあるンだよ!!」

フルフル 「そうかい……残念だねェ。ナナ・テスカトリにあんた達の後見人を頼まれて、はや十年……そろそろ潮時かねェ」
ティガ兄 「なっ……ババァ! 何企んでやがる!?」
ティガ弟 「先生を使って脅しても無駄だぜ! しわくちゃ労害くそばばぁ!!」
フルフル 「いや、何。あたしは別にいいのだよ。あんた達の暴れっぷりにはホトホト手を焼いてるかんねェ」
ティガ弟 「ちょっ……何するつもりだ!」
ティガ兄 「何をチクる気だァァ!!」

フルフル 「そういえば、先々週、ボボの家族が泣きながらここに来たねェ……」
ティガ兄 「!!」
ティガ弟 「!!」
フルフル 「ドス一族のギアノス兄ちゃんも、確か…………」
ティガ兄 「くっ……汚ねェぞ!」
ティガ弟 「チ……チクる気ならやってみやがれ! こ……怖くもなんともねェぞ!!」
フルフル 「あァ。あたしはね……別に、いいのだよ? ナナに『あのこと』を言ってもねェ」
ティガ兄 「……!!」
ティガ弟 「……!!」

ティガ弟 「(ひそひそ)兄者……このババァ、まさか『あのこと』を……」
ティガ兄 「(ひそひそ)弟者……いや、バレてねぇはずだ……じゃあ『あのこと』か?」
ティガ弟 「(ひそひそ)どのことだよ……心当たりが多すぎて分かんねぇ」
ティガ兄 「(ひそひそ)まったくだぜ……でも、もしかしたら適当抜かしてんじゃねェのか……」
ティガ弟 「(ひそひそ)いやでもよ……万が一ってこともあるじゃねぇか……『あのこと』がバレたらヤベェって……」
ティガ兄 「(ひそひそ)『あのこと』も知ったら、先生怒るよな……」
ティガ弟 「(ひそひそ)『あのこと』もな……洒落になんねェぞ……ドス一族は随分虐めたからな……」
フルフル 「…………」
ティガ兄 「…………」
ティガ弟 「…………」

キリン 「地獄兄弟さんたち、私からもお願いします。おじさまを、助けて……」
フルフル 「キリン……」
クック 「キリンちゃん……」
キリン 「おじさまに協力してくださったら、私のたてがみでも、角でも、何でも差し上げますから……」
ティガ兄 「……!!」
ティガ弟 「……!!」

キリン 「お願い……あなたたちの強さを、信じさせて……!!」
ティガ兄 「……がッ!! やめろねえちゃん! 頭なんて下げンなァァ!!」
ティガ弟 「女に頭下げられたァァ!!」
ティガ兄 「地獄の権威が地に落ちるゥゥゥ!! 俺たちが! よりにもよって!」
ティガ弟 「感謝されて! しかも頼られているゥゥゥゥ!! 女に!! 気持ち悪ゥゥゥゥ!!」

次回へ続きます

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 目次へ





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最終更新日  2009.05.26 13:22:48
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