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イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 第5章

副題:お兄ちゃんの体から、あの女の匂いがする

―数年前、旧密林、昼―

ナナ・テスカトリ 「いいですか? みなさん。今日はキノコの見分け方を勉強します」
ティガ兄 「ふぁぁぁぁ……あ゛ッ!」
ティガ弟 「兄者、今日の晩飯どうする?」

ティガ兄 「そういや、リオママが食いに来いって言ってたぞ」
ティガ弟 「まじでか! 今日はツイてるぜ」
ガノトトス 「君たち、授業中は静かにしてくれないか。先生の話が聞こえないじゃないか」
ティガ兄 「うるせー。キノコなんざ俺達は食わねェんだよ」
ティガ弟 「軟弱なてめーらにはお似合いだがな!! ゲッヘッヘ!」

ティガ兄 「おらどけよ!(ドンッ)」
ガノトトス 「うわっ」
ティガ弟 「ケッケッケッケ!(ズンズン)」
ガノトトス 「……何て乱暴な人たちだ……僕はやはり、彼らを好きにはなれないよ」
翠トトス 「ガノ、行きましょ。あの人達に構うことはないわよ」
ガノトトス 「……ふぅ。翠、体は大丈夫かい?」

翠トトス 「ええ。赤フルフルさんのお薬を飲んだから、今日は平気」
ガノトトス 「そうか、良かった。帰りにまた、おじいさんのところに行こう」
翠トトス 「そうね。ほら、先生が先に行ってしまうわ」
ガノトトス 「これはしまった。行こう」

ナナ・テスカトリ 「まずは、このキノコからです。みなさん、ここに集合してください」
ラージャン 「………………」
ガノトトス 「ラージャン君、どうしたんだい。ほら、みんな先に行ってしまうよ」
ラージャン 「…………(ドス、ドス)」

翠トトス 「あの人、いつも何を考えてるかわからないわよね」
ガノトトス 「無口なだけなんじゃないかな」
翠トトス 「でも、少し前に、低学年の子が身包み剥がされるっていう事件があったわ。その子の話では、猿族だったって……」
ガノトトス 「うーん……でも、先生達も言っていただろう。確証がないのに責めることをしてはいけないって」
翠トトス 「そうなのだけれど……」

ナナ・テスカトリ 「ここに生えているのは特選キノコです。こちらが厳選キノコ。違いが分かる人はいますか?」
ヴォルガノス 「…………」
ナナ・テスカトリ 「ヴォル君、分かります?」
ヴォルガノス 「特選は色が薄い。厳選は土の中に少し埋もれていて、色が濃い……と、記憶している」

ナナ・テスカトリ 「その通りです。よく勉強しているようですね。10点をあげましょう」
ヴォルガノス 「…………」
ティガ兄 「ケッ。それくらい俺らにも分かるぜ」
ティガ弟 「いい気になってんじゃねーぞ!」
ヴォルガノス 「…………」

ナナ・テスカトリ 「それじゃ、ティガ兄君。このキノコが何だか分かりますか?(ゴソゴソ)」
ティガ兄 「あァん? おいおい先生、俺をナメてんのか」
ナナ・テスカトリ 「見分けることができれば、30点です」
ティガ兄 「………………」

ティガ兄 「(ひそひそ)弟者、何だこれ」
ティガ弟 「(ひそひそ)知るかよ。ニトロダケじゃねぇか、赤いし」
ティガ兄 「(ひそひそ)でも変な臭いがするぞ」
ティガ弟 「(ひそひそ)腐ってんじゃね?」

クシャルダオラ 「……(ボソ)マンドラゴラの小さいの」
ティガ兄 「! マンドラゴラの小さいのだ!」
ナナ・テスカトリ 「あら! ティガ兄君、ちゃんと予習をしてきたのですね。よくできました。これはマンドラゴラの幼体です」
ティガ兄 「ケケケッ、簡単すぎて反吐が出るぜ!」

クシャルダオラ 「……(ニコニコ)」
錆クシャルダオラ 「……(ニコニコ)」
ティガ弟 「悪ィな」
錆クシャルダオラ 「……(ポッ)」
クシャルダオラ 「……(ポッ)」

ナナ・テスカトリ 「マンドラゴラは幼体ですと毒性は弱いのですが、成長したものを乾燥させると、強力な幻覚作用を発します」
ラージャン 「…………」
ナナ・テスカトリ 「ラオシャンロン様が、このキノコの無許可採集は禁止しています。間違って採ってきたりしてはいけませんよ」
ティガ兄 「へぇ。幻覚作用。ま、俺達にとっちゃ屁でもねぇけどよ!」
ティガ弟 「ゲッヒャッヒャッヒャ!」

ガノトトス 「まぁ、あの人達は、常時ラリってるようなものだからね……」
翠トトス 「本当。もう少し静かにできないのかしら……」
クシャルダオラ 「…………」
錆クシャルダオラ 「……(チッ)」

ナナ・テスカトリ 「駄目ですよ、この毒性は悪影響しかありません。依存性もあるので、興味本位で手を出してはいけません」
ティガ兄 「関係ねぇぜ。先生俺達をナメんなよ」
ティガ弟 「これくらいどーってことねぇよ(バッ)」
ナナ・テスカトリ 「あ、こら!」

ティガ弟 「(ごくり)ゲヒャヒャヒャ! ……グッ!」
ティガ兄 「弟者!」
ナナ・テスカトリ 「ああ……耐性もないのに、そんなことをするから……」
ティガ弟 「(ぐるん)…………(ドサリ)」
クシャルダオラ 「!!」
錆クシャルダオラ 「小兄様!」

ヴォルガノス 「…………」
ガノトトス 「バカだね」
翠トトス 「ええ、バカね」
ナナ・テスカトリ 「はぁ……みなさん、少し自由行動にします。わたくしは、ティガ弟君を泉に運びますから(ぐいっ)」

錆クシャルダオラ 「私もお手伝いします!」
ナナ・テスカトリ 「お願いできるかしら。ティガ兄君も、ほら早く尻尾を持って」
ティガ兄 「あ……ああ」
クシャルダオラ 「お兄ちゃん、私も行く」

ヴォルガノス 「…………」
ラージャン 「…………」
ガノトトス 「兄さん、あっちの方で休もう」
翠トトス 「私、釣りカエルを持ってきたわ」
ガノトトス 「いいねェ! ラージャン君も一緒にどうだい?」
ラージャン 「…………」
ヴォルガノス 「…………(ずい)」

ラージャン 「……何だ? 俺に何か文句でもあるのか?」
ヴォルガノス 「…………」
ラージャン 「何とか言え(グッ)……何だその目は……」
ヴォルガノス 「手ェ……離してくんねェか……猿臭ェ」
ラージャン 「…………」
ガノトトス 「兄さん! ラージャン君も、こんなところで喧嘩はいけないよ!」

ヴォルガノス 「や……ただ、ちょっと……先日あっしの弟弟子が、旧砂漠でカツアゲ喰らったって話ィ聞いたンで」
ラージャン 「…………」
ヴォルガノス 「金色の毛の猿が見えたってなことだったんでねィ。あらま、そっくりさんがおるわ思ったわけよ」
ラージャン 「…………」

ヴォルガノス 「その金色の猿は、どうやら、弟弟子の竜玉を奪ってったらしいんだわ」
ラージャン 「…………」
ヴォルガノス 「あっしはそれを探してるんでね」

ラージャン 「(バッ)…………」
ヴォルガノス 「どっかに落ちてたら、あっしまで届けてくんねェもんかと思っただけよ」
ラージャン 「……知らねェな。てめぇの頼みを聞く気もねェ」
ヴォルガノス 「や、見つかったらの話よ。見つかったらのな」
ラージャン 「……(ドス、ドス)」

ガノトトス 「兄さん! いきなり喧嘩を売ることはないだろう。彼がやったという証拠はないんだよ」
ヴォルガノス 「…………」
翠トトス 「でも、モノブロス君、大事な竜玉を無くして相当落ち込んでいるわ。もしラージャンさんがやったとしたら、酷い話よ」
ガノトトス 「それはそうだけど……先生達も、彼に随分話を聞いたみたいじゃないか。僕達が、余計に手を出すことはないよ」
ヴォルガノス 「…………」

ガノトトス 「それに、僕は彼にあげようと思って、新しい竜玉を作ってるんだ。ほら」
翠トトス 「まぁ! 隠れてそんなことをしてたの?」
ガノトトス 「兄さん、ラージャン君はブランゴ一族の御曹司だから、争ってもいいことはないよ」
ヴォルガノス 「………………」

ガノトトス 「ほら、釣りカエルがあるよ。一緒に食べよう」
ヴォルガノス 「武士はそんなもの食わん……」
ガノトトス 「好き嫌いは良くないよ。カエルはこんなに美味しいのに」
翠トトス 「まだまだあるわ」
ガノトトス 「ヒャァ!」
ヴォルガノス 「………………」

ヴォルガノス 「(ナナ先生、何故あそこでマンドラゴラなんてものを出した……?)」
ヴォルガノス 「(ありゃァ、麻薬……)」
ヴォルガノス 「(それに、わざとバカ弟が取りやすい位置に置いていたように見える……)」

ヴォルガノス 「(幼体キノコだから、毒素は薄いはずだがィ……)」
ヴォルガノス 「(今時、バカじゃなければ、あれが危険なモンだってァ知っている)」
ヴォルガノス 「(牽制か……やっぱ……)」
ヴォルガノス 「(ラージャン………………)」

次回に続きます

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最終更新日  2009.06.06 22:15:04
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