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―火山、崩落時、中央エリア―

ヴォルガノス 「! (何ィ。洞窟が崩れかかってる)」
ヴォルガノス 「(人間か!)」
ヴォルガノス 「(何てことしやがるんでぇ。ここいらにはガブラスの集落があるってのに)」

ヴォルガノス 「(オカマトルムは、失敗したってこってか)」
ヴォルガノス 「(……溶岩の流れが変わってる……)」
ヴォルガノス 「(どっかの噴出口が崩れて、あふれ出したな……)」
ヴォルガノス 「(くわばら、こりゃあっしの遊泳力でも、逆らえそうにねェ)」

ヴォルガノス 「(クック氏には申し訳がつかねェが、あっしまで死んだらしょうがねェ)」
ヴォルガノス 「(ここいらで、避難させていただくとしやすか)」
ヴォルガノス 「(人間……)」
ヴォルガノス 「(クック氏は、シュレイド城の戦いで、家族を焼き殺されてるはずでせぇ……)」

ヴォルガノス 「(トトスは、悪い人間じゃあんめェつってたが……)」
ヴォルガノス 「(何故、今更人間の餓鬼なんざァ……)」
ヴォルガノス 「(クック氏にぁ、何の得もねぇはずでさ)」

ヴォルガノス 「(……!! 揺れが強ェ。鉱脈を崩したな)」
ヴォルガノス 「(こりゃ、予想以上に崩れが激しいぞ)」
ヴォルガノス 「(一旦、溶岩の上に出るしかねェ)」

ヴォルガノス 「ぶはぁッ(!! 何だこりゃァ……岩盤が粉々になってる)」
ヴォルガノス 「(人間がやったのか!?)」
アカムトルム 「!! ヴォル子!」
ヴォルガノス 「アカムの旦那! 一体何が……」

アカムトルム 「受け止めて、アタシじゃ待にあわない!!」
ヴォルガノス 「受け止める? 何を……」
アカムトルム 「上よ!!」
ヴォルガノス 「……! バサルの小僧……!」

ヴォルガノス 「(でもあいつァ、溶岩は平気なはず……)」
ヴォルガノス 「(確かに、高さはやべェが……)」
ヴォルガノス 「……!!」
ヴォルガノス 「(何か落ちた!)」
ヴォルガノス 「(人間……の、子供!)」

ヴォルガノス 「(このままでは、溶岩に直撃する)」
ヴォルガノス 「(ちっ……あっしにゃぁ、関係のないことなんだがねィ……)」
ヴォルガノス 「そぉい!(バシャァ!)」
女児 「………………(ヒュゥゥゥゥ)」

ヴォルガノス 「(体が熱気で焦げている……こりゃ……)」
ヴォルガノス 「(仕方ねェ!)」
ヴォルガノス 「(バクッ)」
アカムトルム 「! イエス! 落ちる前に、口の中に!」
ヴォルガノス 「(モゴモゴ)……(バシャァァァン)」

アカムトルム 「! ヴォル子! 危ないわ!」
ヴォルガノス 「!? (ドズゥゥゥッ!!) ギャッ!」
アカムトルム 「(落石が、ヴォルに……!)」
アカムトルム 「(一緒に沈んで……)」
アカムトルム 「ヴォル子おおお!!」
ヴォルガノス 「………………(ドプドプドプ)」

―崩落後、旧火山、テオとナナの巣―

ヴォルガノス 「………………」
ナナ・テスカトリ 「あ、目がさめましたか。良かった」
ヴォルガノス 「ここァ……ナナ先生? 先生の巣じゃ……痛ッ……」
ナナ・テスカトリ 「動かない方がいいですわ。まだ、頭の鱗がへこんでいます。相当強く打たれたのですね」

ヴォルガノス 「……ふぅ……」
ナナ・テスカトリ 「火山の中央を押し流されてきたのですよ、あなたは。随分と無茶をしましたね」
ヴォルガノス 「やろうとおもってやったんじゃぁねぇでさ。お見苦しいところをお見せしやす……」
ナナ・テスカトリ 「そんなに気をつかう間柄でもないでしょうに。しばらく見ない間に大きくなって」

ヴォルガノス 「…………」
ナナ・テスカトリ 「あなたがくわえていた人間は、溶岩がかかったようで、右腕にだいぶ酷い火傷をしています」
ヴォルガノス 「……ちっ。しくじりやしたか……」
女児 「はぁ……はぁ……」
ナナ・テスカトリ 「今は鎮静剤を飲ませているので眠っていますが、きちんとした治療をしなければいけません」
ヴォルガノス 「…………」
ナナ・テスカトリ 「どうしてこんなことに? この子は、一体どうしたのですか?」

ヴォルガノス 「………………まぁ、そう言うわけで。あっしにもよくは分からねぇですな」
ナナ・テスカトリ 「そう……イャンクック様が保護された人間の娘さんとは、この子のことだったのですね……」
ヴォルガノス 「とっさに口の中に入れたんですがね、まぁあっしも急なことだったんで、どうしようもなかったってなわけで」
女児 「…………」

ナナ・テスカトリ 「オオナズチ君の皮を着ていたので、そんなに酷くはないのですが……」
ヴォルガノス 「むしろ、鱗もなにもねェ人間の童(わっぱ)が生きているってことでも、驚異的だと思いますがね」
ナナ・テスカトリ 「……この皮は、もう使いものにはなりませんね。随分焼け焦げています」

ヴォルガノス 「(ググ……)あっしは大丈夫でさ。これくらいどうということはありやせん」
ナナ・テスカトリ 「無理はしない方がいいわ。少なくとも、鱗が元に戻るまでは寝ていた方がいいです」
ヴォルガノス 「……頼まれたことはやりやした。あっしはもう(ぐらっ)」
ナナ・テスカトリ 「ほら、急に立ち上がるから……寝ていなさい」
ヴォルガノス 「………………」

ナナ・テスカトリ 「しかし……この人間の娘さんは、どうしたものでしょう……わたくし達は、火傷に効く薬など持っていませぬ」
ヴォルガノス 「人間のこたぁ、人間に任せるのが一番でさ。里の近くに放りだしてくりゃぁいいんです」
ナナ・テスカトリ 「そういうわけにはいかないでしょう……この子は仲間に迫害されていたという話ではないですか」
ヴォルガノス 「…………」
ナナ・テスカトリ 「それに、火山で人間が随分暴れまわったようで……今、人里には近づけません。相互共に危険です」

ヴォルガノス 「いっそのこたぁ、火傷にかかった腕ぇ切り離すってのぁ?」
ナナ・テスカトリ 「それも考えましたが、赤フルフルさんがご存命でしたら可能な手術です。わたくしには無理です」
ヴォルガノス 「…………そういえば先生、校長は?」
ナナ・テスカトリ 「先ほど、ガブラス君が、あの人は火山の瓦礫をどかす作業に入っていると」

ヴォルガノス 「(ギリ……)人間め……」
ナナ・テスカトリ 「ヴォル君、そう画一的なものの見方をしてはいけません。教えたでしょう?」
ヴォルガノス 「…………」
ナナ・テスカトリ 「人間にも、人間の事情があったのでしょう。すぐ怒っていては、また争いになるだけですよ」

ヴォルガノス 「……して、先生。この童はどうするんでさ?」
女児 「…………うう…………」
ナナ・テスカトリ 「猫さんにイャンクック様を探しに行ってもらったのですが、行方不明なのです。わたくしも考えあぐねています」
ヴォルガノス 「……崩落に巻き込まれたんですな。クック氏は、キリン嬢と火山にいやした」
ナナ・テスカトリ 「…………」

ヴォルガノス 「(人間の分際で熔岩になぞ近寄るから、こうなるんでぇ)」
ヴォルガノス 「(古龍の皮を被っていたのが、不幸中の幸いってとこかぃ)」
ヴォルガノス 「(火傷は……右腕全体か)」
ヴォルガノス 「(腐る前に切り離した方がいいと思うが……)」

ナナ・テスカトリ 「この歳で片腕になるのは、人間とはいえ酷いですわ。何とか処置をしてあげたいのです」
ヴォルガノス 「赤フルフル氏は、二年前にくたばっちまってますからねェ」
ナナ・テスカトリ 「早く何とかしないと、手遅れになってしまいます。かといって不用意に動かすわけにもいきません」
ヴォルガノス 「そうですな……ここは、師匠に相談するのが手っ取り早いかと」

ナナ・テスカトリ 「師匠……? ディアブロス老師のことですか! そうですね、その手がありました。彼ならいい手を……」
ヴォルガノス 「先生、落ち着いて考えりゃぁ、どうにかなりやす。あなたは優しいが、大事な時に取り乱しすぎる」
ナナ・テスカトリ 「……確かに、違いありません。ありがとうヴォル君。わたくし、砂漠に行ってまいります」

ヴォルガノス 「待ちなせぇ。師匠は、門下生としかお話になりやせん。あっしも行きましょう」
ナナ・テスカトリ 「でも、ヴォル君、その傷では……」
ヴォルガノス 「これくらいの傷で寝ていたと知れちゃァ、どっちにしろブッ飛ばされまさぁ(ググ……)」
ナナ・テスカトリ 「……分かりました。この子は、わたくしの背中にくくりつけましょう」

ヴォルガノス 「呼吸が荒いな……熱が出てやすねェ。こりゃあ、長くねぇかもしれやせん」
女児 「…………」
ナナ・テスカトリ 「熔岩内を通ることはできませんが、ここには、砂漠に繋がる抜け道があるのです。行きましょう」
ヴォルガノス 「(よっ)……先生、くくりつけやした」
ナナ・テスカトリ 「ありがとう。あなたは、無理をしないように、私の後についてきてください」

ヴォルガノス 「…………!!(バッ)」
ナナ・テスカトリ 「どうかしましたか?」
ヴォルガノス 「………………」
ヴォルガノス 「や、何やら妙な気配を感じましてね……」
ナナ・テスカトリ 「妙な……? ここには、わたくし達しかおりませんが……」

ヴォルガノス 「(今の気配は、殺気……?)」
ヴォルガノス 「(先生は平和主義者だ……気づかんとも無理はねぇ)」
ヴォルガノス 「(あっしと、この人間に向けられていた……)」
ヴォルガノス 「(やはり、ここは離れるべきさねェ)」

ヴォルガノス 「(ぐい)行きまさぁ、先生。あっしが後ろにつきますわ」
ナナ・テスカトリ 「ちょ……ヴォル君、近いのでは……」
ヴォルガノス 「………………(ぎろ)」
ナナ・テスカトリ 「……? ヴォル君?」
ヴォルガノス 「先生、クシャルか、ティガの居場所は知りやせんか?」

ナナ・テスカトリ 「クシャルさんたちは、今夫と火山へ行っています。ティガさんたちは分かりませんね」
ヴォルガノス 「途中で、砂漠入り口のクロネコ飛脚便詰め所に寄ってくだせぇ。奴らを呼びやす」
ナナ・テスカトリ 「え? どうして?」
ヴォルガノス 「(ズンズン)」
ナナ・テスカトリ 「あ、待ってください!」

―テオ・ナナの巣、入り口―

××××× 「…………」
××××× 「(あれは、ヴォルガノス……)」
××××× 「(先生……? 何故、奴らと……)」
××××× 「(人間なんぞを……)」
××××× 「(裏切るつもりか……)」

××××× 「(話は、本当だったのか……)」
××××× 「(先生は、奴らと共に、人間の側につくという……)」
××××× 「(そんなことはさせん……)」
××××× 「(許さんぞ…………)」

次回に続きます

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 目次へ





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最終更新日  2009.06.06 22:16:10
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