999522 ランダム
 ホーム | 日記 | プロフィール 【フォローする】 【ログイン】

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! --/--
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x

PR

サイド自由欄

カレンダー

コメント新着

バックナンバー

2024.05
2024.04
2024.03
2024.02
2024.01
2009.06.22
XML
カテゴリ:カテゴリ未分類
―人の里、夜中―

ハンマー 「……(ガチャガチャ)」
ネコート 「そこにいるのは、ハンマーかい」
ハンマー 「!?」
ネコート 「みなももう寝静まっている。お前、その怪我でどこに行くつもりだい?」
ハンマー 「ネコートさん……起きていらしたのですか
ネコート 「……お前が見かけたという、子供を捜しにいくつもりかい?」
ハンマー 「…………」
ネコート 「やめておきな。私たちは、今回ちょっとモンスターを刺激しすぎた。今行くのは、得策とはいえないね」

ハンマー 「しかし、もし俺が見たのが見間違いや幻ではないとしたら、あそこには確かに女の子がいたことになる……」
ネコート 「…………」
ネコート 「だが、その子は溶岩の中に落ちていったのだろう?」
ネコート 「もはや無事とは思いがたいがね」
ハンマー 「…………」
ハンマー 「しかし……それでも、やはり、気になる(ガチャリ)」
ハンマー 「もしかしたら……もしかしたら、モンスターが……あの子を助けてくれているかもしれない」
ハンマー 「だとしたら、同じ人間として……」
ハンマー 「俺は、あの子を迎えに行かねばならぬ」

ネコート 「……モンスターがかい」
ハンマー 「…………」
ネコート 「小さい頃、家族を殺されてから、がむしゃらにあいつらを狩ってきたお前が、モンスターに心があると言うのかい」
ハンマー 「……分からない」
ハンマー 「分からないが、しかし……」
ハンマー 「あの幻獣は、俺を助けてくれた。それに……」
ハンマー 「…………あの怪鳥…………」
ハンマー 「あの声、あの目は……」
ハンマー 「俺と、同じ目だったんだ……」
ネコート 「…………」

ハンマー 「何故、どうして……」
ハンマー 「行き場のない、答えのない憤り、苦しみ……」
ハンマー 「だれも答えてはくれない理不尽……」
ハンマー 「そこから抜け出せない痛み、辛さ……」
ハンマー 「しかし現実はなにも変わらず……」
ハンマー 「そんな、とても悲しい目を、あいつはしていた」
ハンマー 「その時、俺は思ったんだ……」
ネコート 「…………」
ハンマー 「俺と同じ苦しみを、悲しみを感じていても、それでも尚、生き続けなければいけない……」
ハンマー 「生きるために、何か犠牲にしなければいけない……」
ハンマー 「奴らと俺は、何か違うのだろうかと」
ハンマー 「ふと、そんなことをな……」

ネコート 「……だから、もう一度見に行きたいと言うのかい」
ハンマー 「…………(ガサゴソ)」
ネコート 「お待ち。お前、そんな安っぽい武器で行くつもりかい」
ハンマー 「! ネコートさん」
ネコート 「(ゴソゴソ)……こいつを持っていきなはれ」
ハンマー 「これは……メランジェ鉱石でコーティングされている……! それに、まるで水面のように研いである……!」
ネコート 「…………」
ハンマー 「……見事だ。こいつを、俺に……」
ネコート 「今回、お前さんが村にもたらしてくれた利益の見返りとしては、ちと過ぎた代物だがね……」

ネコート 「先代の村長の持ち物さね……」
ハンマー 「……! 先代の村長……俺の、祖父のか!?」
ネコート 「ああ。見事な業物だから、捨てるに忍びなくてね。私が毎日磨いてたんだよ」
ハンマー 「どうして、それを……」
ネコート 「…………彼は、モンスターの声を聞くことができる男じゃった」
ハンマー 「モンスターの、声を……?」
ネコート 「人間でありながら、モンスター達の言葉を感じることができたハンターは、私が知る限り彼だけだ」
ネコート 「もし、お前が、彼と同じように……」
ネコート 「モンスターから何かを感じるというのならば」
ネコート 「もしかしたら、それを持つ資格があるのかもしれん」

ハンマー 「(ブン)……ふむ。手になじむ」
ネコート 「もともとお前の血筋のものだ」
ネコート 「モンスターを倒すためではなく、何かを助けに行きたいというのならば」
ネコート 「持っといで」
ハンマー 「すまない。恩に着る(スチャ)」
ネコート 「ハンマーよ」
ハンマー 「……?」
ネコート 「確かにモンスターはモンスターだ。今回ガンランスがとった行動は間違いではなかったかもしれん」
ハンマー 「…………」
ネコート 「やらねばやられていただろう。人間やネコとは、違う生き物なのだ」
ネコート 「だがね、ハンマー。忘れてはいけないのはね」
ネコート 「モンスターにも親がいて、友人がいて……」
ネコート 「教えを広める教師だっている……」
ネコート 「別の生き物だろうと、それは確かなことなんだ」
ネコート 「それをどうとるかは、お前達ハンターの技量だがね……」
ハンマー 「…………」

ネコート 「火山に向かう道は不安定で危ない。砦の方から行きな」
ネコート 「それに、お前はまだ足が治っているわけではない」
ネコート 「もし何かがあっても、戦うのは避けるのだ」
ハンマー 「分かっている。少し、様子を見てくるだけだ」
ハンマー 「それじゃ」
ネコート 「…………」
ネコート 「(迎えに……か……)」
ネコート 「(顔も、素性も分からず、生きているかどうかも分からない相手を……)」
ネコート 「(やれやれ……)」
ネコート 「(折角助かった命を、また危険な場所に置こうとするとは……)」
ネコート 「(若い男の考えることは、よく分からぬ)」


―砂漠、深夜半―

クック 「……何ということだ……それでは、女児は……本当に、目が見えなくなってしまったのか……」
女児 「うん……でも……」
女児 「でも、私、もう一回おじさんにあえて、嬉しい」
女児 「お姉ちゃんにも、バサル君にもあえた……」
クック 「……くっ……こんな小さな子供に……」
キリン 「…………女児ちゃん、かわいそう…………人間がよこした薬も、怪我した人を助けるために使っちゃったし……」
女児 「人間が?」
キリン 「ええ……少し前に、埋もれてた人を助けたの」

キリン 「…………そういうことがあって…………」
女児 「ふふっ……」
キリン 「? どうしたの?」
女児 「人間にも、優しい人がいるんだねぇ」
キリン 「…………ええ、そうね」
キリン 「(あの人間の言葉、私には良く分からなかった……)」
キリン 「(女児ちゃんが、特別なのかな……)」
クック 「何とかならないのだろうか……この歳でめしいとは、あまりに不憫すぎる」
バサルモス 「女児……ごめん。本当に……俺のせいで……」
女児 「バサル君のせいじゃないよ。それに、私目が見えなくても……」
女児 「みんなが迎えに来てくれただけで、それだけでいいよ」
バサルモス 「ご……ごめん……うっ……(ぼろぼろ)」
女児 「泣かないでバサル君。バサル君が泣いてると、私まで悲しくなって……」
ドスガレオス 「そうだよ泣くなバサルっち。目が見えなくったって、いつかいいことあるさ」
バサルモス 「君は相変わらず軽いね…………」

テオ・テスカトル 「ふむ……老師秘蔵の滋養水を使ったのか。確かに、人の身では強すぎるかもしれないな……」
テオ・テスカトル 「むしろ生きているのが不思議なくらいだ。無茶をする」
クック 「テオ殿。どうにかならないだろうか。この通りだ」
テオ・テスカトル 「クック殿、お止めなさい、子供の前で、大人が頭を下げてはならぬ」
クック 「いや、何か手立てがあるというのなら、私は何度でも、誰にでも頭を下げよう」
女児 「おじさん……」
テオ・テスカトル 「……クック殿、それに女児。失ったものを確実に元に戻す方法は、この世には何一つとしてありはしない」
クック 「…………」
テオ・テスカトル 「しかし、一度堕ちたものを改善に向かわせる努力なら、することができる」
テオ・テスカトル 「(ガブリ)」
クック 「! テオ殿、いきなり何を……」
テオ・テスカトル 「我々古龍は、特別な体に加え、特別な血を持っている」
テオ・テスカトル 「私やナナの血は、熱いから適さないかもしれないが……」
テオ・テスカトル 「定期的に服用することで、もしかしたら視力が回復するかもしれない」
テオ・テスカトル 「怪我ではなく、おそらくは神経が焼ききれているのだ。通常の薬ではいかんともしがたい」

テオ・テスカトル 「私たちの血はすぐに蒸発する。早く舐めてみなさい。ここだ(スッ)」
女児 「こ……これ……?(ぺろ……)」
女児 「!!! げほっ、げほっ!!」
女児 「あ……熱っ…………!!」
クック 「女児!?」
テオ・テスカトル 「大丈夫か? やはり少し、人間には厳しいようだな……」
クック 「では、どうすれば……」
××××× 「そそ……そういうことなら……ぼぼ、ぼくの血を、舐めればいいんだな……」
キリン 「!?」

テオ・テスカトル 「ナズチ君! 追いついたのか!?」
バサルモス 「え? 誰かいるの?」
ドスガレス 「何も見えねぇですけど」
キリン 「もう! オオナズチ君。人前ではもっと堂々とするって、いつも言ってるでしょう?」
女児 「(あ……いきなり、何か大きい気配が近くに……)」
女児 「(そういえば、おじさん達に会ってから、ずっと一人多いような気が……)」
オオナズチ 「(スゥゥ)ご、ごめんなんだな……」
バサルモス 「ひぃぇ! 何か出た!」
ドスガレオス 「うわぁあ! バケモノ!!」
クック 「オオナズチ君! 透明になって、追いかけてきてくれたのか!!」
オオナズチ 「ぼぼ……ぼくはバケモノじゃないんだな……地味に傷つくんだな……」

オオナズチ 「…………」
キリン 「こら、あなた達。彼、傷つきやすいんだから、あんまり刺激しないであげて」
バサルモス 「ご……ごめんなさい……」
ドスガレオス 「は……はい」
オオナズチ 「キ……キリンちゃん、しし、しばらく会いにこれなくてごめんなんだな」
オオナズチ 「ヤ、ヤマツカミ様が……なかなか、そそ、外に出してくれなかったんだな」
オオナズチ 「ここ、校長先生も、久しぶりなんだな」
テオ・テスカトル 「大きくなったな。見違えたよ。ヤマツカミ様のところでの仕事は、上手くいっているかい?」
オオナズチ 「つつ……つらいことも多いけど……ぼぼ、ぼくは頑張るんだな」

女児 「あ……あなたが、オオナズチさん?」
オオナズチ 「そ、そ、そ、そういう君は……誰なんだな?」
クック 「ゆえあって、私の娘として育てることになった子だ」
オオナズチ 「ふへぇ、大人の世界は、む、難しくてよくわかんないんだな」
女児 「あなたの皮のおかげで、命が助かったの。ありがとう(スッ)」
オオナズチ 「(ナデナデ)ほ……ほほっ! そこを掻いてもらうと、き、気持ちいいんだな」
オオナズチ 「さ、最近はキリンちゃんが、や、やってくれないから、痒いんだな」
キリン 「もう、オオナズチ君、そういう話は……」

次回へ続きます

イャンクック 「旧沼地で人間を拾ったんだが」 目次へ





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009.06.22 16:09:16
コメント(0) | コメントを書く



© Rakuten Group, Inc.