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2007/05/21 楽天プロフィール Add to Google XML

リンパ肉腫補足
[ カテゴリ未分類 ]    

リンパ(肉)腫に関しましては、前回書きました様に、日生研の犬と猫のリンパ腫治療マニュアル-その基本から最新の動向まで-を見るだけでほぼ足りる、と思います。

ただ、読み返して見ますと、治療法の主流である化学療法が中心で、外科的療法や放射線療法には殆ど触れていませんので、この点は注意が必要かと思います。


外科手術は勿論実施されていますし、高カルシウム血症2の後半で触れましたように、放射線療法はリンパ腫に対して感受性が高いようです。
口腔内や鼻腔等の治療例が多いようです。
但し、前記放射線治療の事例では、追跡調査を行っていませんので、再発の可能性や、化学療法を併用・継続した場合の成績等は不明です。


また、最近では免疫療法を行う動物病院も増えてきていることはご存知と思います。
獣医再生医療研究会の治療法についてを見ますと、腹部皮膚の腫瘍両後肢リンパ腫大や舌のリンパ肉腫等の事例が見られます。

上記サイトやテッツ犬猫病院 の、免疫療法 → 実際の症例  を見ましても、高価な割には成績はいいとは言えないかもしれませんけれど、私は
『言い方は悪いかもしれませんが末期癌でもいい死に方をしてくれます。
亡くなる直前まで結構元気で、食欲もあり、あまり苦しむことなく すっ と亡くなる場合が多いです。』
という部分が非常に気に掛かっています。

化学療法は大きな副作用や苦痛等は少ない場合が多い、と記載されているサイトが多いと思いますけれど、個人のブログやHP等を見ますと、かなり苦しむ場合もあるようですので。




治療プロトコルに関しましては、日生研のレポートの中でも、L―アスパラギナーゼを使用することによって生存期間が有意に長くなるということは証明されていない、とありました。

Influence of asparaginase on a combination chemotherapy protocol for canine multicentric lymphoma.では、42頭及び34頭のコントロール犬の比較調査の結果、臨床的な寛解の増加あるいは、初期の無進行期間を延長させないかも知れない、としています。

また、IDoes L-asparaginase influence efficacy or toxicity when added to a standard CHOP protocol for dogs with lymphoma?も同様の調査・研究を行い、L-アスパラギナーゼを加えなくても効果に大きな違いは見られないと思われるので、導入が失敗している犬の再発に備えて取っておく方がいいかもしれない、としています。




リンパ腫の再発時におけるレスキュー療法に関しましては、日生研のレポートには
『どのレスキュー療法が一般的に最も優れているとは言えず,ほとんどの治療法において,その反応率は40~50%,反応期間は1.5~2ヶ月といったところが標準のようである。』
とありました。

Dexamethasone, Melphalan, Actinomycin D, Cytosine Arabinoside (DMAC) Protocol for Dogs with Relapsed LymphomaはDMAC(デキサメサゾン、メルファラン、アクチノマイシンD、シトシンアラビノシド)プロトコルの有効性を検証しています。
72%の犬に寛解が見られ、内訳は、完全寛解44%、部分寛解28%で、安定状態は11%、進行性疾患は17%という結果です。
寛解期間の中央値約61日(2-467+ 日)で、完全寛解、部分寛解、安定状態の寛解期間中央値はそれぞれ112、44、27日、ということです。
血小板減少は56%の犬に見られ、好中球減少は17%。胃腸管中毒は22%とあります。

2005年 World Small Animal Veterinary Association World Congress のRescue Treatment of Canine Lymphomaに、このDMACプロトコルを含むレスキュー療法の詳細な解説があります。

また、このレポートでは、アスパラギナーゼに付いて言及があります。
アスパラギナーゼ単独で使用すると、多くの場合は完全寛解を得られるけれど、その期間は通常は短い、それゆえ、他の薬剤とのコンビネーション(薬剤管理)が必要、ということで、このことが上記IDoes L-asparaginase influence efficacy or toxicity when added to a standard CHOP protocol for dogs with lymphoma?の、再発に備えて取っておこう、という発想に繋がるようです。




最後に、動物病院や獣医療関係のサイトでは殆ど記載がありませんので信頼性はよくわかりませんけれど、犬の病気・猫の病気大辞典のリンパ腫には、食事に関して

『がん細胞のなかでも、とくにリンパ腫およびリンパ肉腫には、炭水化物で異常増殖する細胞があるというデータがあります。よって、炭水化物を豊富に含む食事を避け、かわりに高脂肪 の食事を勧める場合もあります。』
『 この種の食事は味もよく、高エネルギーです。高脂肪の食事を長期固犬に与えることによって、脂肪を自身のエネルギーに利用できなくなったがん細胞は、死滅する可能性があります。』

という記載があります。

日本でも、人間のがんの場合は炭水化物を減らす食事療法に言及するサイトがかなりありますけれど、犬の場合は動物病院でもあまり見当りません。


海外の文献を検索してみましたけれど、評価は定まっていないようです(否定的なレポートも多い)。

炭水化物ではありませんけれど、Effect of fish oil, arginine, and doxorubicin chemotherapy on remission and survival time for dogs with lymphoma: a double-blind, randomized placebo-controlled studyは、DHAやEPA等のオメガ3不飽和脂肪酸がドキソルビシンによる治療効果や寛解期に与える影響を二重盲検により検証したものです。
結論は、有意に効果あり、というものです。

一方、Energy expenditure in dogs with lymphoma fed two specialized dietsは高炭水化物食と高脂肪食の二重盲検で、上記例と同様ドキソルビシンによる治療に与える効果の検証です。
結論は、食事による有意な差は見られない、ということです。


一時期のビタミン・サプリメントの評価の様な感じで、病勢や治療法等、様々な条件が多すぎて上手く整理できていないのではないか、という気もします。

必ずしも効果を否定するものではありませんけれど、少なくとも治療法の一部として確立されているとは言い難いと思います。

癌と食事に関しましては、2002年 World Small Animal Veterinary Association World Congress のNutrition and Cancer: Exciting Advances for 2002!が比較的纏まっています。

上記オメガ3不飽和脂肪酸以外にも、アルギニン、シスチン、グルタミンは価値があるかも知れない、等とあります。



最終更新日  2007/05/21 09:54:41 AM
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