ある地方紙の抜粋
〈夏目漱石の癇癪が腑に落ちません(略)勉強でもしすぎて、どっか身体なり頭なりに異状のあるのではあるまいか〉。夏目漱石の妻、鏡子の『漱石の思い出』には漱石の欠点がさらけ出されている。同書の発表で、鏡子は門下生らから悪妻呼ばわりされたという。だが、漱石の孫の半藤末利子さんは、鏡子が「いろんな男の人をみてきたけれど、あたしゃお父様が一番いいねぇ」と漏らした言葉を聞いている。「恐妻とは愛妻のいわれなり」の名言を残したのはNHK会長を務めた安部真之助だ。坂口安吾は「悪妻論」で〈夫婦は愛し合うと共に憎み合うのが当然〉と書いた。夫婦の数だけ夫婦の形はあるのだろう。今日は「いい夫婦の日」。明治安田生命保険のアンケートで理想の夫婦は三浦友和さんと山口百恵さん夫婦が6年連続で一位となった。夫婦が「縁」なら、就職も似たようなものか。お見合い(面接)を経て、婚約(内定)にこぎつけた来春卒業予定の大学生は59.9%(10月1日現在)。調査開始以降、最低だった前年同期よりやや改善した。とはいえ約17万人が依然内定を得られていないと推計される。内定者は厳しい状況下で結ばれた縁を大切にしてほしい。 長い歳月の中で熟成され得られる「幸」もある。