カテゴリ:証券業
北尾 吉孝(きたお・よしたか)さん SBIホールディングス(株)【東証1部:8473】代表取締役CEO 1951年兵庫県生まれ。74年慶應義塾大卒。野村證券に入社し、20年以上M&Aを手がける。ソフトバンクを担当したのがきっかけで、95年、孫正義氏に招かれ同社常務取締役に。99年、ソフトバンク・インベストメント(現SBIホールディングス)を設立し、社長に就任。 多くの革新的な企業を傘下に持ち、金融、不動産、生活関連サービスなど幅広い事業を展開する北尾さん。ニッポン放送の経営権を巡るフジテレビジョンとライブドアの攻防では、「ホワイトナイト(白馬の騎士)」として注目を集めた。一昨年の「何のために働くのか」に続き、先月「君子を目指せ 小人になるな」(ともに致知出版社)を出版し、古典から学んだ仕事観や人生観、リーダー論を語っている。 「君子」目指し努力することが大事 私は、何のために生まれてきたのか。この世に生まれた使命は何か。その答えを見いだすために「論語」など中国の古典を読み、おぼろげながら分かってきました。最近の若い人たちは、どう生きるべきかを知らない、考えないことが大きな問題だと思います。狭くて資源もない日本が将来、世界に飛躍するには「人物」を育てる以外にない。孔子は50歳で、人を育て、教えるという「天命」を知りました。私も自分で学ぶだけでなく、自身の古典遍歴を公開することで何かの役に立てれば――と考えたのが、本を書いたきっかけです。 孔子がどういう人物を「君子」と考えたのか――それは私自身の長年のテーマでした。加地伸行先生(大阪大名誉教授)は、君子を「教養人」と訳しています。自己犠牲を発揮して「何か社会のためにやろう」という気持ちを持っている人たちです。日本で一番求められるのは、そうした君子ではないのか。私は本の中で、君子の条件を6つ挙げました。私自身まだ途上ですが、君子を目指して努力し続けることが一番大事です。 49歳で「天命」を知る 幸運にも、私は49歳で天命を知ることができたと思っています。インターネットで様々な顧客中心の金融サービス事業を展開し、それらのサービスを消費者や投資家により安く提供し、社会に貢献する。そうした事業を通じて、共に働く人たちの経済的厚生を高めるとともに、得られた資産を使って恵まれない子どもたちのための施設を作り、私が父から受けたような徳育を行うことです。 天命や天職は、なかなか分かりません。ですから、探し続けるとともに、素直になることが非常に大事です。人に巡り合って何かを薦められた時、素直に一度受けてみることです。本気で天職を見つけたいなら、与えられた仕事を素直に受け入れ、熱意と強い意志を持って一心不乱に続ける覚悟が必要です。 「論語」をめくり決断 私の決断が社会や会社に重大な影響を及ぼしうると判断した時、論語をめくってみるんです。「あの時、こんなことが出ていたな」と、もう一度そこを読み、決断を下します。2005年の「ホリエモン事件」の時もそうでした。台湾の李登輝・元総統も、「重大問題で孤高の決断をしなければならない時、聖書をパッと開く。そこに答えがあるということがよくある」と本に書いています。 今、「100年に一度」の世界的な経済危機と言われていますが、日本は終戦時に比べれば大騒ぎすることはない。米欧は、日本よりはるかに甚大な影響を受けています。わが国は貯蓄余剰国で、国民の金融資産は1400兆円ほどある。こんな時こそ、世界に羽ばたき、強い円で安くなった世界の株を買うくらいの気持ちがなければ成長は期待できない。BRICsなど今後成長する国に投資すれば、それらの国はドル不足で困っているので大いに喜びます。(談) <メモ>SBIホールディングス ベンチャー企業の起業支援をするSBIインベストメント、オンライン証券のSBI証券、ネット専業の住信SBIネット銀行、SBI損保、SBIアクサ生命などを傘下に持つ総合企業グループ。 (2009年2月4日 読売新聞) バックナンバー 北尾吉孝の経営道場 - 2008年07月08日 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年02月09日 17時55分16秒
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