犬の係留(リ-ド)を規定している都道府県条例には犬を放し飼いにしたということだけで、罰金を取りますという規定はない。いわゆる罰則規定ではなく、努力規定だ。犬はリ-ドするように努力しましょうということだ。
罰則規定にしなかったのは、犬の係留については猟犬などについて例外規定がある外に、愛玩犬についても「人畜に危害を加えるおそれのない」犬の場合は係留しなくてもよいという規定があり、それらの例外規定とのバランスを考慮したものであろう。
法律の読解力のない人が、都道府県条例にも罰金が規定されると言い張ることがある。 係留(リ-ド)違反だけで、罰金刑が科されることはない。
知事の命令に従わない場合に、罰金刑が科される。
例えば、人身傷害事故を起こした犬の飼い主に対し、柵を作って、その中で、犬を飼うように知事が命令を出したにもかかわらず、その命令に従わない場合などである。
すなわち、条例に規定している知事の命令に違反した場合の罰金だ。
しかし、犬の放し飼いの取り締まりについては法律が一つある。
軽犯罪法が特異な犬について規定している。
即ち、「人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬」を解放し、又は逃がした者は拘留又は科料に処すと規定している。いわば、犬の前科者というか、前歴のある犬だ。
新聞テレビなどで、飼い主が警察の取り調べを受けることになったと報道しているのは、この軽犯罪法に関わる事件だ。
裁判で飼い主を拘留又は科料にするには、警察はその犬が「人畜に害を加える性癖のあることの明らかな犬」であることを文書で証明しなければならない。
危害の前歴のない場合は、訴状の作成は容易ではない。
なお、罰金は10,000円以上で、科料は1,000~10,000円である。
ただし、これは係留違反に関する科料の金額である。
他人に危害を加えて損害を与えた場合は民法709条による損害賠償金が請求される。大金を請求されることもありうる。
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