愛犬の臆病な性格を簡単に治せる方法は無いと言ってしまっては、臆病な愛犬を何とかして、普通の物怖じしない犬にしたい、できれば、ノーリードにして自由にのびのびと他の愛犬たちと仲良くあそべる愛犬にしたいと望んでいる愛犬家に申し訳がない。
人の場合も、一度出来上がった性格を変えることは至難の業だ。愛犬の場合も同じだ。だから、愛犬の社会性を習得させるためには、生後3~15週までの愛犬のしつけは大切であることは先のブログの随想「
社会性の豊かな愛犬にするには? 」 に書いた。
ここでは、その社会性習得に失敗して、臆病な愛犬にしてしまった愛犬家の対処の仕方を考えて見たい。噛み付き癖などがあるアルファー・シンドローム犬については「
愛犬の権勢症候群その2 」 に記述してある。ここでは触れない。
臆病な犬も散歩中に他の犬に出会うと吠えるが、攻撃的ではなく,防衛的に吠えている点が違う。飼い主の後ろに逃げ隠れしていることが多いから、すぐに見分けがつく。
生後4ヶ月くらいまで外に出さなかった犬に多い。
遅れて世の中に出てみたら、怖そうな大きな犬たちが沢山いるので、成犬になったら、アルファになろうという望みを失ってしまった犬たちだ。飼い主には忠実従順な犬が多い。
この臆病な犬は、攻撃的ではない他の犬達と根気よく付き合わせることにより、他の犬が怖い生き物ではないのだとわかるようになると、臆病な性格は徐々に治る。詳細は「
喧嘩犬を他の犬と仲良くする方法! 」に記述してある。
本来、犬は人間と同じように、群を作って生活する動物だ。他の犬とも仲良く遊べるのが、犬本来の習性だ。キツネのように一人で山中で暮らすのを習性としている動物とは違う。
だから、危害を受けるおそれがなく、怖くもないなら、他の犬たちと仲良く遊びたいのだ。その点を飼い主は考慮してあげる必要がある。
恐がるからと、かばってばかりいると、生涯臆病のまま過ごすことになる。怖がって震えている時に抱き上げてかばってやるのは最悪な対処法だ。
怖いのが当たり前だと、愛犬の行動、態度を飼い主が認めたと愛犬は受け取る。
やっぱり、怖い人であり、怖い犬なのだと自分の恐怖が正当なものであると思い込む。それではいつまでたっても、臆病は治らない。
愛犬のパナは生後50日から公園にデビューした。ノーリードで大小の犬や多くの子供達と喜んで遊んだ。たまに、大きな犬が嫌がらせのような行動をすることがあっても、遠くから注意深く見ているだけで、助けてやろうとしたことはない。
飼い主が助けてくれないのを知っているので、その嫌がらせをしている犬の飼い主に抱っこしてくれと助けを求めることもある。
初めて会ったオスのドーベルマンにメスの愛犬のパナはお尻をかぎ回られ、相当に嫌がっていた。二匹のドーベルマンの飼い主と犬の情報交換をしていたら、パナが20~30m離れた場所でひとり遊んでいる。呼んでも、直ぐには帰ってこようとしない。いやいやながら、帰って来た。
そのとき、お尻をかぐドーベルマンが怖いか、嫌なのだと気づいた。飼い主には助けを求めないのだ。自分で対処している。それが愛犬の自立だと思っている。
臆病な犬はノーリードにしても飼い主から遠く離れることはない。ノーリードにして自由にしてやり、自分の判断で他の犬と交わる術を学ばせるとよい。
人にも対人恐怖症、高所恐怖症、閉所恐怖症、犬恐怖症などのいろんな恐怖症がある。臆病犬も一種の恐怖症だ。その治療法で共通しているのは暴露療法(exposure)だ。その恐怖の対象に慣れることが最良の治療法だ。
注意すべき点は性急に慣れようとするのは逆効果になることもあるということだ。長い期間をかけて徐々に慣れることが大切だ。
他の人や他の犬が怖いものではないことを飼い主が態度で示してやることが最も大切なことだ。個々の出来事について、どう対処するかは、他の人や他の犬が怖いものではないことを愛犬に教えるように対処すればよい。臆病な犬は飼い主の根気で治せるのだ。すなわち、愛情と時間がかかる。
叱って治すのではなく、教えて治すのだ。必ず、治して見せると、明るい希望を持つことが大切だ。ノーリードで自由に遊べる愛犬は幸せだ。それを目標にしていただきたい。