カテゴリ:ほのぼの とした 話
◆
人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ^-^◆ 優しい孫娘と …… 老人 「因幡うどん」……街ではけっこう有名なうどん屋に入った。 おいしい月見うどんを食べおわる頃に、隣の席に年配の男性と 子供が入ってきた。 80歳近い年齢だろうか……。 体付きのがっちりした武道家のような方だ。 子供は女の子。小学校低学年の感じ……。 「……ごぼう天うどん、ふたつ……」 お冷やを持ってきた店員さんにその老人が言った。 「……それからイナリ一皿……」 下を向いていた女の子が、老人の顔を見上げて、 モジモジッと……はにかんだ。いなり寿司が好きらしい。 老人もほんのちょっとだが……ほほえんだ。 互いに言葉は一言も交わさないが、 通いあう肉親の情が伝わってくる……。 いなり寿司はすぐ来た。 ガラスケースにあらかじめ用意してあるから……早い。 小振りの上品なイナリが3つ、皿に乗っていて、その横に、 シソの葉っぱが、ちょこんと添えてある。 席が近いので、いやがおうでも全部見えてしまう。 パクパクッと老人は二口、三口で、一個食べて箸を置いた。 遠くを見るような目で、静かに水を飲んでいる。 おいしそうにもぐもぐと一個食べおわった女の子が、 箸を持ったまま老人を見上げた。 老人は気付いて「食べなさい」というように 残りの一個に目をやって、あごをしゃくってうなづいた。 女の子が喜んで食べるかと思ったら……一瞬躊躇している。 「食べていいよ」 初めて、老人が女の子に言葉をかけた。 「じいちゃんは?」 「いいから、いいから」 好きなイナリらしいが……遠慮深い子だ。 でも……、ちゃんと許しが出たので喜んで箸をつけた女の子。 しかし中々イナリが持ち上がらない……。 ……のではない……。 彼女はイナリを箸でふたつに分けようとしているではないか。 しかし、ぎこちない箸使いなのでうまくいかない。 気付いた老人が「いいから、食べな……」と優しくいった。 ……が、その子は分割作業を止めない。必死だ……。 イナリの形が崩れそうだ……。 呆れたような顔をして老人が手を差し伸べた。 正確に……ではないがイナリが二分された。 ほほえんで、半分を口の辺りに持っていって、 じっと老人を見上げる女の子……。 「……ハイ、ハイ……」といって、老人が残り半分を、 ほおばった。「もう、仕方のない子だ」という顔で、 ……相好が崩れている。 安心したように、女の子は、………モグモグ…モグモグ。 ホントに好きなんだろう……。足をプラプラ動かして、 おいしそうに食べる……。……目を輝かせて…………。 いい子だなぁー……と、しみじみ感じた。 街で出会った、老人とお孫さんの、 ちょっとした、ほほえましい一コマであるが、 自分の心が和むのを実感した。 ありがとう…………嬢ちゃん……。 人気ランキングに参加しています。良かったらお願いします。 にほんブログ村 ====================================================== ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ 12年間蓄積した本ブログの一部を抜粋して本にしました。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中巻・下巻)』です。 それぞれ200円です。(^-^) AMAZON公式サイトで「愛ことば」で検索して下さい。 良かったら、どうぞ。よろしく、お願いします。 『愛ことば・心の散歩路(ビジネス編上巻・中・下巻)』 ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[ほのぼの とした 話] カテゴリの最新記事
|
|