FET増幅回路の等価回路。gm、ゲート抵抗、負荷抵抗から増幅度を計算
<解答> このモデルを見ると、電流源が流し出すgmVgsの電流は、ドレイン抵抗rdと負荷抵抗RLの並列接続に入ります。従って、出力電圧Voutは、ドレイン電流をIdとすると、 Vout=Id{rdRL/(rd+RL)} …(a)ここで、Idは、 Id=gmVgs …(b)だから、(b)を(a)に代入して、 Vout=gmVgs{rdRL/(rd+RL)} …(c)となります。求める電圧利得Gは、G=Vout/Vgsなので、(c)をVgsで割ればよく、 G=gm{rdRL/(rd+RL)} …(a)となります。これに、問題の数値、gm=4 [mS], rd=15 [kΩ], RL=3 [kΩ]を代入すれば、G=10となるので、正解は2と分かります。[3]等価回路のツボ…丸の中に矢印が入った記号は「電流源」電流源の記号と動作の意味 丸の中に矢印が入った回路図記号は、回路関係(なかでもアナログ回路)の方でないとあまり馴染みがないかもしれませんので、少し説明をしておきます。この記号は「電流源」といって、常に指定された電流を流し出す電源の理想的なモデルを示しています。 もう少し詳しく説明しましょう。「指定された電流を流し出す電源」とは、例えば、1 [mA]流し出すような「電流源」があったとします。この電流源の両端に1 [kΩ]を繋げば、1 [mA]×1 [kΩ]で1 [V]が生じる、ということです。一定の電流を出力するわけですから、繋ぐ抵抗を変えてやれば、それに比例した電圧が抵抗の両端に生じます。 「理想的な」とは、上の例(Fig.HD0107_c)で、抵抗を1 [MΩ]に変えてみると、1 [mA]×1 [MΩ]で1 [kV]が両端に生じるはずです。実際には電源電圧を超える電圧は発生しないわけですが、ここで解くべき問題は「モデル=理想的な回路」であって、実際の回路ではないことに注意して下さい。逆に抵抗を小さくして、0Ω(ショート)にしても1 [mA]が流れるのは変わりありません。このように、理想的な動作をするため、この問題がオームの法則だけで解けるのです。 この問題では、電流源の横にgmVgsと書いてありますが、これは「この電流源はgmVgsの大きさのドレイン電流を発生するもの」という意味です。出典:FET増幅回路の等価回路。gm、ゲート抵抗、負荷抵抗から増幅度を計算