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テーマ:映画館で観た映画(8347)
カテゴリ:シネマ感想:か行
公式サイト:空気人形 ※若干ネタバレ気味ですので、未見の方はご注意ください。 よく立ち読みする映画雑誌「この映画がすごい!」で褒められていたので、観たいな~と思っていました。高校のとき渋沢龍彦先生の「少女コレクション序説」を愛読していたんですが、あるライターさんが、本作の前半部分はまるで「少女コレクション序説」!とコメントしていたのも惹かれた一因です。あと、ぺ・ドゥナちゃん結構好きなもので・・・。 新宿バルト9は、レディースデー実施してないけど平日午後は1200円なんですね~。こりゃ平日が休みだったら通っちゃうかも。客層は、圧倒的に学生風の若者でした。それに混じって初老の男性がポツリポツリいたのが印象的。妹に、「空気人形をソロで観に行く」と言ったら、「あれって一人で観ると凹むらしいよ」と言われました・・・。 感想は・・・うーん・・・いいとか悪いとか、よく判断できないです・・・。映画としては間違いなくいい作品に入るとは思うけど、私が空気を抜かれた空気人形みたいになってしまって、プシュー・・・という感じです。が、思ったままを書いてみようと思います。 空気人形の持ち主は、ファミレス店員の板尾。このキャスティングだけでグッと来ます。板尾さんはブサメンではないけど、社会に適合できない雰囲気を持っているのでいいですね。人形との夜の営みはドン引きです。この場面で映画に付いて来られなくなった人がいるんじゃないかと心配してしまいました。あやうく私も脱落しかけましたが・・・。 人形から心を持った人間(?)になったドゥナちゃんは最高にかわいいです。彼女が好奇心に目を見開きながら外を歩くシーンは透明感に溢れ、「なんだ、けっこういい世界じゃないか」とさえ思えます。そして、レンタルビデオ店の店員、ARATAに一目ぼれしてしまう空気人形。いつの間にかバイトを始めてしまいます。ここで、日本語も話せない映画の知識もないメイドルックの人を雇っても大丈夫なんでしょうか・・・という疑問が。どうしたって違和感のある空気人形が意外と実社会にすぐ入っていけるのが「??」でしたが・・・。ファンタジーなのでここは無視してオッケーなんですかね。 「わたしは、こころを、持ってしまいました」と空気人形の独白。訛り萌えの私としては、ドゥナちゃんの訛りがたまりません。バイトを通してARATAと親しくなる空気人形。誕生日の意味を知らない人形にもARATAは優しく、かつ詩的な表現でなんでも教えてくれます。ここで、また違和感がありますが二人のやりとりはずっとこんな感じなので次第に慣れて来ます。 ARATAが好きな空気人形は持ち主の板尾に、嫌悪感のようなものを抱く描写があるんですが、自分の人形がある日、本物の女の子になるというのは持ち主にとってピグマリオンみたいで究極の夢だと思うんですが、それでも自分のことは好きになってもらえないんですね。ちょっと板尾さんが不憫になる場面です。 ある日、バイト中に事故で手に傷をつくってしまった空気人形。そこから空気が漏れてぺしゃんこになってしまいます。「見ないで!」という空気人形。ARATAは大急ぎでセロテープを持ってきて傷口をふさぎます。この時点でセロテープの応急処置ということは、ドゥナちゃんが空気人形だと気が付いているってこと・・・ですよね?そしておへその空気穴から空気を吹き込み、次第に息を吹き返す空気人形。インタビューで是枝監督が、原作漫画にあるこのシーンを表現したかったと言っていましたが、なるほど、なんとも奇妙でエロチックな異形の愛のシーンだと思いました。 人形に息を吹き込む行為、そして中で息が満たされるにしたがって反り返る人形はメイクラブ(叶姉妹風)のメタファーなんですね。でもこのメタファーに、少し男性側のエゴみたいなものを感じてしまうのは私だけでしょうか・・・。そして「何をしてもいい」と言う空気人形に、空気を抜いたり入れたりさせて欲しいというARATA。ベッドの上で裸になって、二人でする行為は空気を抜いたり入れたりの繰り返し・・・。 「なんだ、ARATAが一番変態じゃないか」と思ったのは私だけでしょうか・・・。しかし、空気を抜いたり入れたりの行為は、普通のベッドシーンよりもエロく切ないです。だって、それは自己の確認作業。ARATAもやはり孤独を抱える人間だったということですね・・・。反り返る美しい空気人形の肢体は、なんか見てはいけないものを見てしまった・・・という得体の知れない美しさです。でも好きな人の息で自分が満たされるって、なんだかとっても多幸感がありますね。 そして!「僕も空気人形のようなものだから」と言った台詞が伏線となって、ARATAは・・・。えー、こういう展開ー?!?びっくりした・・・。そしてシュールすぎる・・・。飛んでいくタンポポの綿毛・・・。はあー、へえー、そうですかー・・・。この映画について、したり顔で語ることも出来るでしょう。現代人こそが空気人形だとか、コミュニケーション不足はいけないとか、みんな実際孤独なんだとか・・・しかし・・・しかし・・・やっぱりよくわかりません。そして、妹が言ったとおりになんだかちょっと凹みました。 この映画、1回じゃよくわかんないように出来てませんか?数回観ないと真髄には触れられないような、そんな気がします・・・。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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